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現代チートでオレ無双! あれ? なんか違う……。

作者: サドル泥棒

 転生、最近よく耳にする単語だ。

 主人公が異世界に行き、ハーレムを築いたり、とんでもないチートスキルをもらい無双したり、現代知識で異世界を豊かにしたりと様々な物語が存在する。


 誰もが一度は憧れるだろう。

 オレもその一人だ。まあ、それは過去の話。

 聞いて驚け! オレは転生することになったのだ!

 うらやましいだろう! 崇めるがいい!

 そしてひれ伏すがいい、愚民ども!


 そう思ってた時代もありました。


 ハァ……。


 オレは辺境の小さな村のごく普通の家庭に生を受けることに。

 生まれたてのころから自我はあり、言葉を覚えるのも歩くのも同年代の子たちよりはものすごく早かった。

 現代の知識をフル活用し、収穫量が増えたり衛生環境を整えたりして村の人たちからは「神童だ!」と、持て囃されるのがたまらなく嬉しかった。

 幼少期から、そんな生活をしていたおかげか、「オレが世界を豊かにしてやる」という目標をひそかに夢想する。


 少年期になると、剣は村にはなかったため、木の枝を剣に見立てて、それをがむしゃらに振った。

 転生の特典か、魔力もあったため、魔法は教えてくれる人が村にいなかったが、魔力を身体に纏わせる身体強化を習得することにも成功した。

 そのおかげで、村で一番強くなったんだぜ!

 

 そして、十五歳。成人だ。

 まずは、冒険者になって名を轟かせ、現代知識で「オレが世界を平和にしてやる!」と意気込み、一番近い大きな街に行くことにした。


 

 街について最初に思った。

 あれ?

 あれれ?

 なんか思ってたのと違くない?


 普通に電車通ってるし……。

 あれは車か? なんか飛んでるんですけど?

 歩く人たちを見てみると、浮かぶディスプレイを手で操作もしてるし。


 このとき思ったね。

 オレの出る幕なくね?


 なんかあるでしょ。って思うかもしれないけど、ほんとになにもなかった。


 紙を作ってウハウハしようにも、浮かぶディスプレイを常用してる人に紙を売ってもねぇ……。

 スイーツも考えたけど、なんかすでにオレの知らないものすごく美味しいのがファーストフードで売ってるし……。


 火力発電所を作って電力を供給しよう! と行動しようとしたけど、コンビニの情報誌を立ち読みしてたら、諦めた。

 え? なんて? 魔力核融合炉?

 オレの出る幕はなかったよ……。


 オレはその日のうちに村への帰路に着いたよ。


 調子に乗って、すみませんでした!!!

 そりゃあ少し考えたらわかることでした!


 転生がある世界ってことは、オレ以外にもいるってこと。そして、それは同じ文明じゃなくて、古い文明とかオレがいた文明よりも先の文明人もいるってことを。

 失念しておりました。


 村に帰り、温かく迎えられたオレはそこで骨を埋めるのであった。


 めでたし、めでたし。



ありがとうございます。

たまにはこういうのもいいかと思って書いてみました。

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