再び狩りへ
今回は少し長めです。
あれ、忙しいって言ったのになあ。。
あらすじ
レナさんとカイ君と三人で狩りに行くことになりました。
「今日は、せっかく三人もいるし、エルフの国の国境近くまで行ってみましょうか。」
エルフの国の国境付近の森は、動植物がのびのびと成長できる環境が整っているから、その近くでは良質な獲物が期待できる。ただ、獲物の大きさや移動距離が増えるので、いつものように一人だと、帰りが大変なんそうだ。
エルフの国まで行くと丸一日はかかる。
ただ、エルフの管理する森というのが東の森の1/3にまで及び、一般に国境線と呼ばれているのがここまでなんだって。それで、エルフの管理する森は、通りやすいような道があまり整備されていないから、通り抜けるのに結構時間がかかる。
だから、国境あたりまでなら往復しても時間が余るらしい。
「やった!それじゃあ、エルフにも会えるかなぁ。」
「うーん、かなり運が良ければ、会えることもあるかな。
エルフってあんまり自分達の森から出てこないから。」
私がテンションあげあげで言うと、カイ君が優しく教えてくれる。
取り敢えず頭を撫でて、よしよししておいた。
結構気持ち良かったようで、目を細めた可愛さがもはや凶器だ。
胸が締め付けられるので、きっと人も殺せると思う。
もう死んでも良い、本気でそう思った。
「今日はレイに負けないくらいの大物、捕るわよ!二人とも気合い入れてね。」
レナさんはかなりやる気のようだ。
丈夫そうな縄を肩にかけている。結構重そうだけど、獣人にとっては大したものではないらしい。
ちなみに、カイ君も大きめのかごを背負っている。採集にも力を入れるみたいだ。
うん、今日もご馳走になりそう。
「頑張りまーす。荷物運びはむしろ足を引っ張るかもですけど、魔法で処理できるところは、任せてください!」
「荷物は私とカイの二人で持てるくらいにするから、ミツキは魔法に専念してくれればいいよ。」
「そろそろ、国境付近だ。カイ、サーチよろしく!」
「うん、任せて。______サーチ!」
少し集中してから呪文を唱えた。カイ君が光ったと思ったら、その光が周囲に広がって見えなくなっていた。きっとあの光でどうにかして獲物を探すんだね。ちょっと難しそう。でも、便利そうだしせっかくだから今度教えてもらおう。
二人っきりでもふもふ天国、、、げふんげふん。とっても有意義な時間を過ごせそうだ。
「うーん、近くには小さい魔物しかいないみたい。でも、いい薬草がたくさん生えてるみたいだから、まずはそっちを先に終わらせちゃった方が良さそう。」
「そう、、、。まあ、薬草の方は早々に終わりそうだから、終われば、魔物に専念できそうね。」
「カイ君、私も手伝いたいし、薬草について教えてくれる?私まだ、スープのハーブしか知らないから。」
「もちろんです。ぜひお願いします。」
「カイ、これじゃない?」
「レナ姉は、魔物が近づいてきていないか警戒をお願い。(レナ姉は昔から植物の区別とか、絶望的なんだよなぁ。)」
「え、さっき近くに魔物はいないって」
「小さい魔物とか、足の速い魔物とかいるからね。僕は薬草取りに集中したいから、お願い、レナ姉。」
▹カイ君、上目遣いでの頼ってますアピール!
…効果は抜群だ。
「わかった。お姉ちゃんが守ってあげるから、安心して集中してな。」
カイ君がレナさんをうまくあしらってる?! 末恐ろしい子だな。あはは、・・・・。
あんまりカイ君に迷惑かけないようにしよう。
「ミツキさんこれとこの薬草、お願いします。火傷や腫れによく効くんです。あ、根っこも使うから、できるだけ丁寧に抜いてください。」
「はーい。あれ、結構難しいね。」
「見ててください。こう、くいくいっと無理に力を入れずに持ち上げるんですよ。」
「___こんな感じかな?よっと。お、うまくいった。カイ君こんな感じ?」
「すごいです、ミツキさん!レナ姉と違って、のみ込みが早いですね」
(あれ、いま軽くレナさんをディスった?、、うん。レナさんには聞こえてないみたいだし、聞かなかったことにしよう。そうしよう。)
だいぶ慣れてきた。
そろそろ篭もいっぱいになってきたし、あと少し採れば薬草はもういいかな。
そんなことを思っていると、
「!っっっカイ!!」
いきなり、レナさんがすごい勢いでカイ君に飛びかかる。
私は驚いてレナさんに駆け寄ろうとする。
と、
ひゅんっ
さっきまでカイ君のいた場所を、黒い影がものすごい速さで通り抜けていく。と同時に目の前に血が飛ぶ。
大きく鋭い爪、赤くギラつく眼光。頭に一本角が生えた大きな鷹の魔物だ。体全体が紫がかった黒い色をしている。
「レナさん、カイ君!!」
「大丈夫。右足に少し掠っただけだから。」
レナさんは右足を押さえながら、魔物をじっと睨む。
「くそ。あいつ、私からいちばん遠いカイを狙いやがった。」
レナさんの言葉使いが・・・。カイ君を狙われて、そうとうキてるみたいだ。
「レナ姉、、、。」
「お姉ちゃんが守ってあげるって言ったでしょ。」
「うん、、ありがとう。」
少し顔をゆがめて、カイ君も魔物をじっと睨む。
二人ともかなりの殺気だ。少なくとも、ど素人の私にもわかる程には。
鷹の魔物は私たちの頭上を旋回しながら、様子を伺っている。
_____どうやら、次のターゲットは私みたいだ。
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次回更新はは少し空くかもしれません。
すみません。