湯煙る極楽
と、遠くない。遠くない。
1ヶ月は、遠くない!
_|\○_
こ、今回は面白いから!
多分、きっと!!
前回の分、読みにくかったのでちょっと直しました。
「はじめまして。
湯浴みのお手伝いをさせて頂きます。
ルーナと申します。」
「マリンと申します。」
「シトリと申します。」
「よろしくお願い致します。」
正面のルーナに合わせ向かって左のマリン右のシトリらもまた、ピシッと音が聞こえてきそうな程タイミング角度共に綺麗に揃った礼をする。
ルーナはぱっと見40~50代程だろうか。色の残った白髪をゆるく纏めて上げ、柔らかくも芯のある気品に満ちた女性だ。ミツキよりは少し背が高く見上げると優しそうな笑顔を見せてくれる。
マリンは冷たい水を思わせる長身の女性。長く真っ直ぐな薄青髪を作業の邪魔にならない様に纏めている。時折見せる笑顔に射抜かれないよう気をしっかり持つべし。
シトリはルーナと同じくらいの背丈で明るくふわっと笑う女性だ。肩までのゆるい癖っ毛を布で隠すように後ろに纏めている。太陽に透けちらりと見える落ち着いた色のストロベリーブロンドが、彼女の笑顔と相まって目に眩しい。
軍隊張りに揃った動きと三者三様の笑顔に囲まれ、ミツキは声も発せず本能的に後ずさる。
肉食獣に睨まれた仔うさぎが如く小さく震えるその姿は、哀愁すらも感じさせる。ぴゃいっなどと悲鳴を漏らさなかっただけ褒めてあげても良いかもしれない。
返事をしようにも漏れ出る声はか細く震え聞き取って貰えそうになく、声を張っても要らぬ声が漏れそうで、上半身を僅かに前に倒す事でなんとか礼に応えてみせた。
そんなミツキにルーナは優しく微笑むと、マリン、シトリに向かい意味深に柔らかく目を細めてからミツキの低い目線に合わせて少し屈んだ。
そうして静かにミツキに語る。
「お嬢様、これから手早く衣服を脱ぎ身を清めてから湯に浸かって頂きます。途中、身体が冷えます。出来る限り早くお湯に浸かって頂くため、少しの間私たちに身を委ねて頂きたいのです。ご協力をお願いできますでしょうか。」
震えるミツキは、壊れかけの機械のようにただコクンっと頷く事しか出来なかった。
立ち上がり、互いに頷き合う3人の侍女。
走る緊張。
詰まる息。
寒さと時間との戦いが、今、はじまる。
~~~~~
かぽーん。
「あー、極楽ー。
温かいお湯が摺れた心に沁みわたるー。
なんだろう。何か大切、でもないかもしれない何かを、失ったような、そうでもないような。
このえも言われぬ喪失感が、このお湯に、温められホグされ溶けていく。
はあ、この脱力感。至福ー。」
いやまあ、何やかんやありまして。記憶がちょっと定かではないけれど、何やかんやありまして。
私のちっぽけな女としての尊厳とか、端から見たらどうでも良いかもしれないような人としての尊厳だとか。よく考えたら別にそこまでして守らないといけない訳じゃないけども、やっぱり守りたい尊厳だとか。
そんなものを手放してしまったような、失ったような、奪われてしまったような。
決意する前に戦いが終わってた、みたいな。覚悟する前に終わってた、みたいな。自分の知らないところで楽しげなイベントが終わってた、みたいな。あれ、でもよく思い出してみたらそんな会話してたかも、みたいな。誘われてたかも、聞き流してたかも、みたいな。まあ、かといって行ったら行ったで楽しめた気はしないしな、みたいな。けどやっぱ行っとけば良かったかな、みたいな。
湯気で前が霞んで見えにくいや。
あれ、頬にお湯跳ねたかな。ちょっとしょっぱい。温泉なのかな、このお湯。
「お嬢様、お湯加減はいかがですか」
「ルーナさん。心地いいです、すごく。」
「御髪をこちらに。清めさせて頂きます。」
おかしいな。ルーナさんの優しい笑顔に強張った笑顔でしか返せないや。何でだろう。
いいか、今は。
ただ、この心地よさに身を委ねよう。
何も考えず。至福の時間に。
あー、極楽。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
少しでも面白いと思って頂けたら嬉しいです。
また短くてごめんなさい。
また遠くないうちに上げようと思います。
べ、別にフラグとかじゃないんだからね!




