わしが、やる。
お待たせしました!
ようやく、現在に追いつきます!
、、、現在っていつだ!
闇の魔法使いが現れてから4日。
老人会の小僧どもが動いて僅か1日足らず。
昨日のうちに、やつらは集めた情報を統括し、即座にそれに見合う作戦を立て、早々に全ての指示を出し終えていた。
これだけ早く準備を整えられたのは、地の利。現場が庭と言って差し支えない、この森だったというのもあったじゃろう。
じゃが、森の地形を考え、仕掛ける場所、戦うべき場所を予測し、それらを元に若い者らに指示を出し、最適な罠を張り巡らせる。
その手腕。その采配。
実に見事である。
しつこい迄に入念な罠のかけ様。
さすがというよりは、わしをして一種の気持ち悪さを感じるほどじゃ。
もはや変態ともいえる。
わしの弟子として、まあ、及第点。いやほんの少し褒めてやってもええくらいかの。
褒めんがな。変態じゃしの。
ただし、一つ。
一つだけ、頂けん事がある。
遠距離攻撃魔法『ホーリーレイ』
エルフの森の聖なる光。
その、使い方。
確かに、相手が相手。倒すために何でも使う。その心意気は間違っておらん。
むしろ正しい。
我らエルフの英智の結晶。最強の魔法。
やつを倒すひとつの手として、用いるならば。
使い方さえ違わなければ。
決死の覚悟。それもいい。
彼我の力量の差を、自覚しているということじゃから。
問題なのは、道連れなんぞという腑抜けきったその思考。
それは諦めともいうべきもの。
その役目は、小僧ごときにはまだ早い。
その覚悟は、小僧ごときではまだ軽い。
その役目は、わしが負うと決めている。
闇魔法。これはわしが片を付けるべきもの。
わしが背負い、踏みにじってきた、わしの業。
小僧どもに渡す気など、端からない。
とはいえ、悔しいが、わし一人では荷が勝ちすぎるのもまた事実。魔力も技術も全く足りぬ。
故に、利用させてもらうぞ小僧ども。
その魔力。その技術力。
わしの弟子足るおぬしらの、最高の魔法。
『ホーリーレイ』
小僧どもが魔法陣から離れた隙に、少し細工をさせてもらった。
美しい陣へと無駄なく繊細に巡らされた、成長した莫迦弟子ども6人分の膨大なその魔力。
発動前に凝縮され、一点へと注がれるその力。
それら全てがわしの支配下となるように。
そして強大な魔法の力が、さらに、内へ内へと圧縮していくように。
それだけで、威力は格段に増していく。
その分、制御が途方もなく難しくなるのは必然。いや制御などできないに等しくなるじゃろう。
ひたすらに内へと向かう膨大な魔法の力は、圧縮され凝縮し極限まで小さくなったその先で、耐えきれず、暴発する。
その爆発的な破壊力。
それを、利用する。
暴発する魔力を闇魔法使いにぶつけ、巻き込み滅する。
難点は、被害を極力出さぬ為に、ぶつける力を空へと向けなければならん事。
つまり、敵の懐、直接に触れられるほど近くでなくては、敵を確実に滅することも、暴発する魔力を被害の少ない空へ向けることもできんということ。
離れられては、巻き込むことはできれど、滅することは難しい。
敵を追って照準を下げれば、森は焼け飛び、子らへ被害が出てしまう。
そしてもうひとつ。一方向へと暴発をとどめきれるか、どうか。
小僧どもとはいえ6人分。圧縮されたその魔力。わしひとりで抑え切らねばならん。
暴発をとどめる事ができなければ、当然、周囲に甚大な被害が出てしまう。
この魔法は、一種の賭けだ。
小僧どもの作戦で済むのならば、それもよかった。
ただしホーリーレイは使わせぬ。
この魔法は、わしがもらう。
小僧どもは最後の最後まで小僧どもを信じておった。
魔法の発動を、迎えたとしても、それは変わらぬのじゃろう。
それもまた、正しい。
それこそが、正しいのかもしれん。
一人で背負うと言いながら、子らに被害を出すかもしれぬ方策を取った。
わし一人では踏み切れなかったから。
子らの為、失敗できない状況を自ら作り出してまで。
そこから後ろに引けぬように。
自分のために子らを巻き込んだ。
なんとも情けない。
一度仕舞った冷徹の仮面を、着けたくないと。
逃げ出したいとすら。
一人だけでは着けられなくなってしまった。
一人だけでは、逃げてしまう。
じゃから、巻き込んだ。
子らで逃げ道を塞いだ。
わしは卑怯者じゃ。
それでも。
じゃからこそ。
失敗はしない。
逃げもしない。
仮面も着けよう。
わしが、やる。
たとえ相手が、敵意のない女子であろうと。
何も知らぬ、子どもであろうと。
あの日、誓ったのだから。
友であろうと。
家族であろうと。
全て、滅すると。
愛するこの森を。
友を。
家族を。
護る為ならば。
必ず、滅すると。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
少しでも面白いと思っていただけたら、嬉しいです。
気長な皆さんの、背後からの後光が眩しくて眩しくて、、
本当に、ありがとうございます。
また近いうちにお会いできたら、いいなぁ。
、、、。




