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魔獣襲来

5月中旬から、リアルの方で詰めに入るので更新速度が落ちます。のんびりとお待ちください。



あらすじ

ミツキが過去の自分にケリをつけました。


そして何故か突然のバトル展開です。




 私は今、自分の部屋にいる。


 レナさんに呼ばれて下に降り、夕ご飯のあとの後片付けを済ませて、すぐに部屋に戻ってきた。


 まだ寝るには少し早いけど、体を拭き終え、寝巻に着替えてベッドに転がった。


 

 今日も本当に疲れた。


 当たり前だ。このところ起きてる間はずっと動き回ってた気がする。


 朝起きてから寝るまで、毎日だ。

 掃除に洗濯と、肉体労働もそれなりだ。

 仕事はきついし、休みもない。まぁ、一週間だけなんだけど。

 ほとんどニートだった自分には、結構辛い。


 最初の2、3日は全身筋肉痛で動くのも大変だった。高校の部活以来、ちゃんと運動してこなかったしね。

 それも今日で5日だ。

 多少は慣れたけど、まだ筋肉痛が残ってる。



 でも、途中で投げ出すつもりはない。そんなことはできないし、したくない。

 それはきっと、また裏切ることと同じだから。


 ここでまた皆の信頼を裏切ってしまったら、きっともう2度と立ち直れない。

 自分で自分を許せなくなる。


 それに何より、またあんな顔を見るなんて、まっぴらごめんだ。



 あの時、どうしてレナさんがあんな顔をしたのか、よく分からなかった。



 けど、今ならなんとなくわかる。



 私は二人に馬鹿にされるのが嫌だったから、自分の失敗を隠そうとした。

 馬鹿にされて、軽蔑されてしまうのが嫌だったから。


 でも、口で馬鹿にされることと、心から軽蔑されることは違う。

 きっと、前者はあっても、後者はあり得なかった。


 ただ、あの時の私は、そうは思えなかった。


 それはつまり、二人を信用できなかったということだ。

 私は二人を疑った。



 だから、レナさんは。

 きっと、カイ君だって。



 私だって今回はかなり(こた)えたんだ。

 反省してるし、また同じような事を繰り返すつもりもない。


 だから、毎日心を込めて雑用をこなしている。

 皆の信用を裏切るような行為をしたことへの謝罪と、それを許してくれて、まだ一緒にいていいと言ってくれたことへの感謝を込めて。


 こんな私を許し、仕事を、居場所を与えてくれた。

 それは、嬉しいと同時にとても重いことだ。責任も感じる。


 ただ今は、心から楽しいと思える。

 だって、人のために頑張る充足感を知れたから。

 みんなが教えてくれた。


 どんなに大変でも、それが楽しいんだ。嬉しいんだ。

 こんな日常も悪くない、そう思えるんだ。



 なんか、歳取ったなぁ。はは。



 そういえば、あとから聞いた話だけど


 私がやらかしたとき、朝ごはん時だったことが幸いして、誰かに目撃されることは無かったそうだ。

 内容が内容なだけに、レナさんもそこだけは黙っててくれたみたいだ。


 置いてけぼりを食らったちびもふたちも、「私が急用に慌てて、皆に一声掛けるのを忘れたまま帰ってきた」と説明したらすぐに納得したらしい。


 うん、納得してくれたんだね。まぁ、それはいい。いや、良くは無いけど。

 ・・そんな直ぐに納得してくれちゃった?


 やっぱり私ってそういう風に見られてるんだ・・・



 またひとつ、忘れられない黒歴史ができてしまった。

 それも何重にも重なった黒歴史が。。


 ほとんど町の皆に知られちゃったんだよね。あんな幼稚な失態が。。ああぁぁ。。


 ひとつはレナさんしか知らないのだけど。



 ん?


 それってつまり、レナさんに弱みを握 ら れ・・



 んむぅう゛う゛あ゛あ゛ああああぁぁ!!!



 ミツキはベッドの上を転げまわって、声にならない声で叫んだ。




 ~~~~~~~~~~



「__ッキ! ミツキ!!」



 あれから、気づかぬ間に眠っていたらしい。

 窓からは月明かりもあまり入ってきていない。朝に近い真夜中だ。


 警鐘が鳴っている。

 下から、いや、町中から慌ただしく動く人の声が、足音が聞こえる。

 遠くからは怒声や悲鳴まで聞こえる。


 何が起こっているのだろう。


 まだ眠い頭を無理やり動かして、急いで着替えて装備をつける。

 何となくそうした方が良いような気がしたからだ。


 ミツキは、不思議とそういう勘がよく働く。


 カイ君に教わり、まとめておいた薬草セットを鞄に押し込み、レナさんの声がした玄関の方へ駆け降りる。


「すみません、お待たせしました!」


「遅い!」


 そう言って振り返ったレナさんは、少しだけ驚いて


「着替えてきたの。装備まで。

 話が早いわ。

 東の森の北の方から魔獣が溢れ出してきてるの。

 こんなこと今まで無かったんだけど。

 今は、非戦闘員や女子供を守る者を残して、戦える大人が総出で食い止めてるわ。

 私も皆の避難を終えて、これから加勢に行くところ。

 でも、数が多い上にかなり強い魔獣も何体もいるらしくて。戦線の維持もそろそろ限界らしいの。


 ミツキ。

 お願い。手を貸して。

 あなたの力が必要なの。

 前に出なくても、後ろを守ってくれるだけで十分だから。」


 あのレナさんが、私に頭を下げて助けを求めている。

 答えなんて、考えるまでもない。


「もちろん、前に出ますよ。

 私も、大切な家族を守りたいですから。」


 笑顔で答え、走り出す。


 東の森の北。戦場と化したその場所へ。



「ちょ、ミツキ!」


 レナは驚いた。

 これまで誰よりも早くへばり、誰よりも森を駆けるのが遅かったミツキ。

 しかし今、獣人、それも犬ベースの自分が全力で走っても、ミツキに追い付くことすらできない。



 ミツキの急ぐ気持ちが、無意識のうちに風魔法となってミツキの身体を覆い、およそ重さというものを全く感じさせない速さで駆けることを可能にしていた。


 結果。ミツキは獣人をも遥かに越える速さで、戦場へとたどり着いた。





少しでも面白いと感じて頂けたら幸いです。

その際は是非、コメントや感想、ブックマーク等、よろしくお願いします。

皆様からの反応があると、作者がとても喜びます。



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