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黄昏刻


あらすじ

ミツキが、過去と向き合いました



 そっか、私


 変わりたかったのか



 今になって気がついた

 もう遅いかもしれない

 いや、もう遅いんだ


 あの世界へはもう帰れない


 あの世界でやり残してきた事がたくさんある

 やらなきゃいけなかったことが、たくさん



 迷惑をかけた人に謝りたい

 嘘をついた人に謝りたい


 誇張も卑下もしない、自分自身の言葉で


 親に、兄弟(あにたち)に、友達に、先生に、恩師に

 私に関わったすべての人に

 世間に、世界に

 精一杯、謝りたい


 愛してくれた人に感謝を伝えたかった

 優しくしてくれた人に感謝を伝えたかった


 等身大の、自分自身の言葉で


 怒ってくれた、泣いてくれた、悲しんでくれた、笑ってくれた、喜んでくれた

 一緒にいてくれた人に

 私に関わってくれたすべての人に

 精一杯、感謝を伝えたかった


 そうしてもし、誰かの為にできることがあるなら

 私に、できることがあるのなら

 そうしたい


 今の自分に何ができるかわからない

 それでも


 何でも良い

 何か自分にも返せるものがあるのなら、自分のすべてをさらけ出してでも返したい

 


 これまでの私は

 周りを見てるようで見ていなかった

 周りの「目」を通した、自分を見ていただけだ


 だから今度は

 ちゃんと正面から相手を見て、相手の目を見て話がしたい


 同じ景色を見て、聞いて、感じて


 相手の感じる世界を少しでも知れたら

 相手の気持ちを少しでも知れたら




 だけど


 今度なんてない


 もう2度と、戻れないのだから

 帰れないのだから


 再び会うことは叶わない

 繋がることも、伝えることも

 見ることも、聞くことも、感じることも


 もう2度と、できないのだから



 私が彼らにできることは、何もない

 「想う」ことしかできない



 できるのは

 この世界で、過去と同じ過ちを犯さないこと

 ありのままの、等身大の自分で、正面から精一杯ぶつかっていくこと


 そして、「想う」こと


 私の大嫌いだった世界を

 憎んでいた世界を

 投げ出した世界を


 それでも

 愛していた世界を

 大好きだった世界を


 決して忘れないこと


 この「想い」を、決して忘れないこと



 今、ここに誓おう


 私が投げ出した、大嫌いだった自分自身に

 私が投げ出した、大好きだった世界に



 私は誓う。


 決して忘れないことを


 この想いを

 貰ったものを、失ったものを、変わらず持ち続けているものを


 決して忘れない


 私がそこで生きた時間を

 そこで生きている人たちを


 決して忘れない


 私の大好きなふるさと(世界)




 過去に得たもの

 たくさんの愛情、優しさ、想い


 失ったもの

 信頼、ふるさと、自分自身


 変わらないもの

 生きてきた時間、自分自身



 一度は捨てて、拾いあげた

 それでも

 変わらないもの


 変わりたくて変われなかった、自分自身


 初めから何も変わらない

 私は、私だった



 嫌われたって構わない

 好かれなくたって良い

 もう、自分に嘘は吐かない

 ありのままの私で、正面から相手にぶつかっていこう



 私はもう振り返らない

 後ろばかりみてたら、転んじゃうから

 私はもう下を向かない

 俯いていたって、周りもよく見えないから

 私はもう上を向かない

 目指すべきものは、前にあるから



 ここで私は、私になろう


 ふるさとに恥じない私に

 胸を張って私は私だと言えるように



 私はもう、迷わない





~~~~~~~~~~~~



「ミツキー!そろそろ夕飯の準備、手伝ってー!」


 1階からレナさんがミツキを呼ぶ声がする。



「はーい!すぐ行きまーす!」



 階段を駆け降りるミツキの顔は、何処かすっきりとしていた。



 窓から、沈んでいく太陽の、最後の光が入り込む。


「んっ」


 ミツキは、不意に差し込んできたその光に目を細め、外を見る。



 茜色に染まっていた空が、夜の色へと変わっていく。


 夕闇に覆われていくその空を

 光に向かって1羽の鳥が、鳴き声だけを残して飛び去って行った。


 その光景は、やけに空々しく

 けれど、瞼の奥に焼き付いて離れなかった。







少しでも面白いと感じて頂けたら幸いです。

その際は是非、コメントや感想、ブックマーク等、よろしくお願いします。

反応があること自体が嬉しいので、誤字脱字修正なども大歓迎です。

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