ミツキ、裏工作をする
お待たせしました!
あらすじ
ミツキが草原でやらかした模様
しまった・・・
そう思った時には時既に遅く、ただただ、過ぎた事への後悔と迫りくる脅威への焦燥感だけが募っていく。
つい今朝がた心に決めたはずだというのに、私は・・。いったい何度、同じ過ちを繰り返せば気が済むのだろうか。
いや、まだ間に合うはずだ。まだ諦めてはいけない。考えろ。何か手は無いか。何か、すべてを無かったことにできるような、何か。
・・・・・・・・
!!
全てを無かった事にしてしまえばいい!それも誰にも気付かれぬように。そう、そうだ。証拠も残さず、さも何事も無かったかのように振る舞えばいい。
まだ、間に合う。まだ、諦める時間じゃない。
肝心なのは、どうやって証拠を隠滅するか、だ。あのレナさんが相手だ。多少の事では誤魔化されてはくれないだろう。カイ君だってなかなかに鋭い。そう。ここで重要視すべきなのは、あの二人なのだ。観察力に優れ、頭の回転も速い。そんな二人に中途半端な隠ぺいは逆効果、むしろ見破られるきっかけを与えるだけだ。この裏工作は不自然のない完璧なものでなければならない。あの二人に、如何にそれと気付かれないように行動し事なきを得るか。それが重要になってくる。
二人の目を欺き、すべての証拠を隠滅し、いつも通りを装う。そうして何事も無くすべてを終えることだけが、私が生き延びるためのたった一つの道だ。
このミッション。決して失敗は許されない。
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さて。もふもふに夢中で汚してしまった、この白く綺麗だったシャツをどうするべきか。
さすがに、ちびっ子の前で隠ぺい工作などできなので、今はとにかく気配を消して、草原から見えない森の中に避難中だ。子供たちには疲れたから少し休むと言ってある。フィリーに引き留められはしたが、私とだけじゃなく皆とも仲良くしなくちゃね、というありがちな言い訳で逃げてきた。30分もないお散歩時間もそう延ばせるものでも無い。帰りに5分かかるとして残り10分、あまり時間はかけられない。
捨てるか?
いや。今朝出かけるときに、レナさんとカナさんに今日のこの格好を見られている。
二人とも水汲み場からそう遠くない場所で、洗濯物をしていた。裏の梯子から降りた時に目立ったはずだし、それでなくとも騒がしい子供たちと一緒にいたのだ。目に付かないわけがない。
気付いた二人に着替えた理由を聞かれてしまえば、それまでだ。
白く染める?
方法が無い。できても茶色く濁ってしまって一目瞭然だ。
いっそのこと別の色に染めるか?
許可もなくそんな事はできない。何よりも不自然すぎる。
急いで戻って洗って汚れを落とす?
朝食の用意をしている今、水汲み場は窓を開けた調理場から丸見えだ。
何食わぬ顔で戻って、問題を後回し?
それじゃ意味がない。
だめだ。まともな案が浮かばない。こうしてる間にも時間は刻一刻と迫ってきてる。何か、何か良いアイディア・・・
_______魔法!!
魔法を使えばこの白かったシャツを元に戻せるんじゃないか!
どんな魔法がいい?元に戻す、元に戻す・・・
時間!!
シャツの時間よ一日戻れ!
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変化が無い。
さすがにそんな都合のいい魔法は無いか。
あああ、だめだ。焦れば焦るほど、何も思いつかなくなる。
!!
魔法無しのさっきの案は何がだめだった?
白く染める。
うまくいくか分からない。色味の違いやムラ、不安要素が多すぎる。だめだ。
別の色に、だめだ。
戻って洗濯。
瞬間移動?不可視化魔法?
移動は怖いから足で良い。でも不可視化ができれば、何とか!
身体よ見えなくなーれ!
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お?自分の手が見えない、体も、服も。これなら!
待てよ。見えないものをどうやって洗う?いや、体から離せば見えるか。
腰のナイフを手探りで抜き、地面に置いてみる。
手を放すと抜かれたナイフがその姿を露わにする。
見える!よし、これで。
ナイフを腰に戻す。
・・・だめだ。持っているものが見えないんじゃあ、洗ってる服も汚れも自分で確認できない。
元に戻れ。よし。
はぁ。
あとは、問題を後回し、か。
一時凌ぎでいいなら。。。幻覚魔法とか?
だめだ。魔法の持続時間がわからない。試してる暇もない。
染めるのもだめ。洗濯もだめ。後回しもだめ。全部だめだ。どうしたら。
ん?洗濯?
わざわざ戻らなくてもここで洗ってしまえば?
水と風、火を少し使えば・・・いける!これしか無い!
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私は、この時の自分の行いを、大いに後悔することとなった。
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