お散歩2
あらすじ
ちびもふたちをつれて草原へお散歩に行く模様です。
朝から変わらぬ大仰な態度のまま、ちびもふたちを連れて森に差し掛かる。
「よーし、今日はみんなで草原にいこう!」
「「「「「やったー」」」」」
草原と聞いてみんなが飛んで喜ぶ。
思いのほかみんな乗り気みたいだ。
ふはは、私の偉大なるもふもふ計画が、ほかのだれにも邪魔されることなく実行に移せそうだ。ぐふふふ。もしかして私って、天才?
おっと、いかんいかん。邪な気持ちはみんなに気付かれないように、あくまで心のうちだけにとどめておかないと。顔に出ないように、気を付けないとね。
私はみんなのいいお姉ちゃんなんだから。
「ミツキ。あれ、みてー!」
そんなことを考えているうちに草原が見えてきたみたいだ。
「「ひゃっほーい!!」」
「みんな、きょうは思う存分、かけまわっていいぞー!」
私が言う前に、すでに2人飛び出している、ウィルとウィズだ。まさしくガキンチョである。
もちっと、じっとしてられないのかな?すこしはフィリップを見習った方がいいと思う、いや本当に。
まあ、そのフィリップも私の方をちらちら見つつ、前のめりになってそんな2人を目で追っているんだけど。
尻尾をぶんぶん振りながら、今にも駆け出したそうだ。「もう行っていい?いい??」かな。声が聞こえてきそうだ。全部顔に出てる。
でもうん、えらい。えらいぞー!ちゃんと私の許可を待っているんだね。
私は、満面の笑みでフィリップにうなずいてやる。
待っていました!と言わんばかりに、フィリップが思い切り地面を踏みしめて、きれいなスタートダッシュをきめ、見る見るうちにその姿が小さくなっていった。
後には、踏み込みで足がめり込み抉れた土の跡と、1メートルほど後ろにいた私たちにも届くくらいの、土埃の風を残して。
子供は風の子っていうけど、まさしくそうだと思う。ホントに。
あっという間にウィルとウィズに追いついたフィリップは、2人に交じり草原を転げまわって遊んでいる。
ふいに、ずっと私の裾をつかんでたフィリーに右腕を引かれる。
「ミツキ、いっしょにいこ?」
なんて言ってきた。それも少し躊躇うように、上目遣いで。
▹フィリーの精神攻撃!
▹効果は抜群だ。ミツキに大ダメージ!
ふと、後ろから荒い息遣いが聞こえた。レオだ。
腕を組んで片目だけこっちに向けている。ゆっくりと先が毛玉のような尻尾を揺らし、何かを堪える様に小刻みに震えている。やっぱり、レオも前の3人に混ざりたいんだね。
ここはお姉ちゃんである私が引っ張ってあげよう!
「よーし、じゃあフィリップたちのとこまで、3人できょうそうだ!」
そう言って、笑顔でレオに左手を差し出す。
フィリーに右腕を引かれているので、レオには少し届かない。
「し、しかたねぇな。。」
レオは、少しほほを赤く染めながら私の手を握る。同時にフィリーが走り出した。
つられるように私も、レオも、一緒になって走り出す。
あ、ちょ、まっ・・・
_______
はぁ、はぁ、はぁ・・
・・・やっぱり獣人って足早いんだね。
フィリーは鷹だからってちょっと侮ってた。。
「「あはは、ミツキつかれすぎー」」
ガキンチョどもが笑ってる。
むぅ。さすがにちょっとムカッとくるな。
覚えてろよ。いずれ絶対ぎゃふんと言わせてやる!
でも、ちょっと鍛えないとだめだな。体力もだけど、せっかくだしいろいろと教えてもらおう。ちょっとした護身術なんかも知っておいた方が良さそうだからね。
魔法についても詳しく教わりたいなぁ。本来ならライさんとかカナさんの方が適任なんだろうだけど、一家や村の代表で忙しいだろうし・・
うん、せっかくだから気軽にもふもふさせてくれそうなレイとカイ君にお願いしよう、そうしよう。そう、手取り足取り。。もふもふ天国、、ぐふふふふ
「ミツキ、つかれてるのに笑ってるー!」
「「へんなのー」」
さっきまで転げまわってたフィリップが、私の顔をのぞき込んで嬉しそうに言う。
「ミツキ、たのしい?」
「うん、すっごく!」
軽く息を整えて、フィリップに笑顔を向けて言って、ぎゅーっと抱きしめる。
「んふふー、かわいいやつめ」
ついでに、わしゃわしゃと撫でまくる。
一瞬だけフィリップの力が抜けたと思ったら、ぎゅっと抱き返してきて、すごい勢いで尻尾が揺れる。
破壊的な可愛さだ。
ついでに双子をもふもふしがてら両手に抱え、ぐるぐる回してやる。意外と重いな。
「そーれ!」
ガキンチョどもにちょっと睨みを効かせたつもりだったけど、なんか2人ともきゃーきゃー言って楽しそうだった。
まぁ、これはこれでいいか。
無邪気に笑ってれば、可愛いんだよなぁ。
ついでにフィリーとレオもひとりづつぎゅーっと抱きしめる。2人ともちょっと恥ずかしそうにしてたのが、なんかすごく可愛かった。
そこからは、みんなで草原をゴロゴロ転げまわって、それはもう、もふもふしまくった。
ぐふ、ぐふふ、ぐふふふふふ!なんて幸せな時間なんだ!!
その時の私は完全に忘れていた。今日、自分がどんな格好をしてきたのかを。
その時の私は知らなかった。このあとにあの恐ろしい時間が待っているということを。。。
少しでも面白いと感じて頂けたら幸いです。
その際は是非、コメントや感想、ブックマーク等、よろしくお願いします。
反応があること自体が嬉しいので、誤字脱字修正なども大歓迎です。
皆様からの反応があると、作者がとても喜びます。