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姉弟の決意

前回短かった分、少し長めです。


2021/03/13

ずっと気持ち悪かったので直しました!

カイくん、君の口調おかしくないかい?


あらすじ

休憩を挟んで狩りから帰ってます。






「充分休めたし、そろそろ行きますか!」


 ここの切り株はなんだか座り心地が良くて、これ以上ここにいたらお尻に根が張りそうなので、勢いよく立ち上がる。


「え、ああ。そうね。そろそろ行かなくちゃね。」

「ここって、疲れたときにくると離れたくなくなっちゃうよね。でも、すぐに疲れが取れるからちょっと不思議。」


 そう言いながら二人も立ち上がる。カイ君の言う通り、今までの疲れが嘘のように体が軽い。まるで回復魔法か何かを受けたようで(受けたことないけど)、本当に不思議だ。レナさんも半分意識飛んでたみたいだし。この切り株、相当気持ち良かったんだろうなぁ。

 荷物も心なしか軽い気がする。いや、そうでもないか。


「ほら、ミツキ置いてくわよ。」


 そんなことを考えていると、二人はもう歩き出して私を待っていた。


「あ、ごめん。」


 私はすぐに二人に追いつく。

 そういえば、森で歩いたり走ったり、最初はもっと遅かったよなぁ。たった二、三日だけど、だいぶ慣れたなぁ。

 最初はただただ森を歩き回って。昨日は、レイが私に合わせてゆっくり歩いてくれてたけど、狩りのために走ったりもして。今日は少し急いで森を往復してる。このままいくと一週間後には森を走って往復、何てことになってたりして。はは。ないか。


ぶべっ!


「ミツキ姉!?」

「大丈夫?もう、考え事なんてしてるからよ。」


 木の根に(つまず)いて思いっきり転んだ。痛い。。


「あいたたた、顔にも土が。ん、む。…あ!ごめんなさい。薬草が…。」


 転んだ勢いで、薬草が背負っていた篭から飛び出て地面に散らばってしまったみたいだ。


「それよりミツキ姉、怪我は?」


「私は大丈夫だけど、薬草がぁ。。」


「軽く土を払えば平気よ。ミツキ、すごい泥だらけだけど本当に大丈夫?」


「うん、土が柔らかくてクッションになってくれたみたいで。ちょっと湿ってるから汚れが取れにくいけど。せっかくレナさんに貰ったのにぃ…。」


「良いのよ、私のお古だし。暗い色だから汚れもそんなに目立たないでしょ。あとで私がキレイに洗ってあげるわ。」


「それにしてもミツキ姉、気持ち良いほど凄い勢いで転んだね!」


 カイ君が今日いちばんの笑顔で言ってくれる。


「カイ君・・・。」


 ちょっと複雑だ。

 後ろでレナさんが笑いを堪えてるのがわかる。。



 皆で薬草の土を払って篭に戻し、今度こそ帰路につく。




_____________


「そろそろね。もうじき町が見えるわ。」

「今日は色々あったなぁ。」

「レナ姉、足は大丈夫?」

「大丈夫よ。()()()()()()()元気も出たしね!」

「そっか。そうだね。()()()()()()()()今日は楽しかったよ。」

「ねぇ、それって素直に喜んで良いの?」


 姉弟(きょうだい)は顔を見合わせてから、真面目な顔で私の方に振り返る。


「今日はありがとう。ミツキ姉。」

「ありがとう、ミツキ。あなたがいてくれて良かったわ。」


 二人が笑う。


「いや、そんな。改まってお礼を言われるようなことは、何も」



「そんなことないよ、ミツキ姉」


( レナ姉の足の怪我、正直切断だって覚悟するようなものだった。ミツキ姉がいなかったら危なかったかもしれない。水もキレイな布も無かった。それに冷静さだって。あのまま大した処置もせずに家まで帰ってたら、レナ姉は足を失うことになってた。少なくとも両の足では走れなく。

 ミツキ姉がいなかったら、僕は、僕らは怒りで我を忘れたままで魔物に向かってた。お姉ちゃんが傷つくのが怖くて、失うのが怖くて。あのまま戦いが長引いて、レナ姉の出血も酷くなっていたかもしれない。

 ミツキ姉がいなかったらきっと、今こんな風に笑えてなかった。

 もう家族を失いたくない。


 僕はもっと、強くなる。)



「本当に。でも、ミツキらしいわね。」


( カイを傷つけられて我を忘れてた時、ミツキの声が聞こえたんだ。だから、少しだけ冷静になれた。

 図らずも、ミツキが(おとり)になってくれたから、呪文を唱える時間もできた。あの時、傷を負ったままの持久戦だって覚悟してた。なのにあんな短時間で戦いを終わらせられたのは、ミツキがいたから。

 ちゃんとした応急処置もミツキがしてくれた。人なのに、私の代わりに重い荷物を持ってここまで運んでくれた。休憩したときだって、張りつめていた緊張を解いてくれた。あれは狙ってじゃないでしょうけど。

 ミツキがいなかったらきっと、今こんな風に笑えてなかった。

 もう2度と、誰にも、何者にも大切なものを奪わせない。


 もっと、強くなる。

 大事なものを全部、守れるように。)



「そ、それってどういう、、?

 笑顔が眩しい!なのに何故か含みを感じる、、。

 はっ!

 もしかしなくても私、バカにされてます?バカにされてますよね?!」




「・・・あ、町が見えたわよ!日が暮れる前に戻れたわね。」

「うん、皆にミツキ姉のこと話さなきゃね!」

「そうね、話すことがありすぎて一日じゃ無理かもね。」


「ちょっと?カイ君、レナさん、今あからさまに話()らしましたよね?その上皆に一体何を話すつもりですか?!」



「「そりゃあもう、()()()()と!」」



 あらいやだ。息ぴったり!

 二人の笑顔、含みたっぷり!


 この姉弟、怖いよぉ!




 まちの方へと傾いた真っ赤に燃える太陽が、前を行く二人を後ろから照らし出す。


 清々しいほど破顔した眩しい眩しい二人の笑顔に、燃えるような逆光が絶妙に影を落として見せている。

 ああ、きっと、この光景は忘れない。



 悪戯っぽい二人の笑顔。


 赤く照らされ影を引く、二人の幸せそうな満面の笑み。


 私は今、どんな顔をしてるんだろう。





ミツキはいじり甲斐がありそうです。



ここまで読んでいただきありがとうございます。

少しでも面白いと思っていただけたら幸いです。

その際は是非、感想やコメント、評価、ブックマーク等をよろしくお願いします。

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