94話目
あけましておめでとうございます!
今年も御贔屓のほどよろしくお願いいたします。
・・・は!?
いけないいけない!
目の前で起きている現実から目をそらしてしまっていました。
領主様はすでに・・・どうやらどこかの夢の世界へと飛んで行っているのは
理解しております。
・・・現実を見たくないのはわかりますけど、
とりあえず現実に、目の前のことに向き合ってくださいね。
・・・あ、私もそういえばお茶をだしていなかったですね!!
そう思って、今はテーブルに座られている領主様の後ろにいる位置から
一歩離れようとしたとき、
ぐぅ!!!
思いっきり私の裾をつかむ・・・領主の手があった!
「ど、どこに行くつもりだ!!!」
その声には焦りとも、おびえても、なんとも言えない空気が含まれている。
「いえ、皆様がお越しになっているのに
お茶も出していないことに今更ながらに気づきまして、
すぐにお茶でも・・・。」
そこまで言ったところで、食い気味に領主様は、
「俺を放っていくというのか!?」
そんな・・・今度はまるで子犬がこちらを見てくる目で
こちらを見てくるのであった。
・・・残念ながら子犬のかわいらしさはみじんもないですけど・・・
むさい男からそんな哀願の目でこちらを見られても・・・
私はすぐに掴まれていた手を払う!
するとすぐにまた・・・あ、今度は両手に変わってますね!!
その力も先ほどまでに比べて全然違うだけの力が込められています!!
「頼む後生だ!!俺のそばにいてくれ!!」
そういって、目を潤ませて私の裾を引っ張る領主様・・・
こうされると母性本能が働いてほおっておけなくなるのですね・・・
だけど・・・
私は全く湧きませんけどね!!
そもそも私は領主様にみじんも愛情が湧いておりませんから!
私は掴まれていた両手をまた払って、今度こそその場を去ろうとするのだけど・・・
「待て!いや、待ってください!!サーター様!!」
そういって、今度は椅子から転げ落ちるようにして、
私の足にしがみついてくるのであった・・・
・・・そんなに・・・
必死なんですか!?
・・・いや・・・
私も必死なんですけどね!!
即、この状況から逃げ出したいんです!!
そんな私の空気が伝わってますよね?
だから、こんなに必死に私にしがみついてくるんですよね?
「お、お前だけ逃げるなんて・・・。」
そんなものすごい強い恨み節を籠めた声でうならなくても・・・
「大丈夫ですよ、お茶をご用意したらすぐに戻ってきますから。」
笑顔で領主様にそういうのだけど・・・
「いいや!お前は絶対に戻ってこない!!
すぐって何分だよ!?いつだよ!?何回俺がサーターと心の中で叫ぶ間だよ!!」
そういって、私にしがみついてくる力が、また一段と力強くなっていく。
・・・そんなに細かいこと気にしたことないですよね?
どうしてこんな時に限って細かいんですかね?
っていうか、最後のはなんですか?
領主様が私の名前を何回叫んだらって・・・
そんな時間のはかり方って初めて聞きましたよ!!
斬新!!
「・・・それだけ頭が回るのであれば、この局面も難なく過ごせるかと・・・。」
そこまで言いかけたところで、
「それとこれとは話が違う!!
俺のキャパを完全に超えているのはわかっているだろう?
なのに・・・どうしてお前は行こうとするんだよ!!」
「・・・私のキャパも超えているので・・・。」
「サーターのキャパを超えることなんか、俺には無理だ!!
そうだ!俺がお茶をふるまうぞ!それだ!そうしよう!!」
目を輝かせてそんなことを言い出す領主に対して、私は、
「そんなことを領主様にさせては、私は執事失格です!
・・・いや、それもありですかね。」
そうだ!
ここで失格の烙印を押されてしまえば、
今後この領主様にかかわる必要がなくなりますね!
いい案ではないですか!!
そう思った矢先に、
「お前に執事失格なんていう免罪符を渡すわけないだろう!!
絶対にだめだ!俺が死んでもだめだ!!
俺のそばにいろ!!絶対に離れるな!!!」
そう力強く宣言する領主様・・・
私は・・・
男なのですが・・・
「それは・・・ご自分の結婚するべきお方に
言うセリフだと思われますが?」
そういって、私は、ある方向へと視線を向ける。
だけど、領主はその視線の方向へと自分の視線を向けることはない。
・・・どうしてって?
だって、その方向に今のおびえる領主様の現況が・・・
いるのですからね・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




