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86話目

私はショックで怒りを覚えながらも、

まっすぐに自分の目指すべき部屋へと向かっていく。


・・・あの人に会った時に果たして私は、

まともに会話ができるのでしょうか?


自分にそんな自問自答をしながらも

私はいつもどおりのスピードで歩いている自分を感じて、

きっと大丈夫だと思いながら、

ついに目的の部屋の扉の前までたどり着いた・・・



“コンコン”


私はいつも通りにその部屋の扉をノックしていた。



「どうぞ」


部屋の中からは、いつも聞く優しい声が響いてきたので、

私はその言葉に従い室内へと入っていく。



「失礼します。」


「ふふふ、いつも通り固い返事をするね・・・


 アンブリッジ。」


・・・名前を呼ばれたことで、自分の体が軽く震えて、

体温が数度高くなるように感じる。



「・・・私は・・・ジョセフィーヌ王女様の侍女ですから・・・。」


「侍女としての務めなんて、僕と一緒にいる時は忘れたらいいのに。」


そういって、にっこりと笑みを浮かべて、

先ほどまでおられた自分の席から立ちあがり、

私のそばまで歩いてくる。


その歩く姿を見て・・・


それも私を目指して歩いてくるアーサー様の姿を見て、

また私の体温が上がっていくのを感じるのであった・・・


侍女である私に対して、

笑みを浮かべて歩いてきてくれる。


絶対に交わることがないと思っていた世界が

そこに・・・現実に目の前にあるのである!


所詮使用人と主の恋・・・


いいえ、正確には私の主はジョセフィーヌ王女様であり、

その主の宿敵・・・異性なはずなのに・・・

狙っている人が一緒であり、宿敵になっている?


そんな人・・・アーサー様であるのに、

私はかなわぬ恋をしていた・・・


いいえ、わかっているのです。

恋多き男性であるアーサー様にとっては、

私は通り過ぎていく小石の存在だとしても・・・


それでももしかしたら、万が一の可能性にかけて

私はこの道を選択したのです!!



・・・たとえ・・・


それが自分の主を裏切ることになったとしてもです!!!



だって・・・


ロマンがあるじゃない!!


私がどんなに頑張っても下流貴族のお手付きが精いっぱいなのに

目の前に餌が垂らされたのなら・・・


つかみにかかるのは当然です!!!


チャンスを目の前にして逃すわけにはいきませんもの!!


これもジョセフィーヌ王女様付になったことの幸運なら

その幸運を全開に使わせていただきます!!



・・・え?


使用人の風上にもおけない?


・・・それなら代わっていただけますか?


先日のことです。


どうやら、ジョセフィーヌ王女様がこちらのフエゴ領に来ていることは、

お城内ではかん口令が敷かれているようで誰も知らないようなのですが、

そのことを知らなかったジョセフィーヌ王女様の恋人・・・元恋人ですね!


そう名乗る方がお城に来て、騒ぎ立てていたそうです。


まあ、王族の失態の部分でもあるためお城勤めの兵士たちではなく、

私のような王族に使える使用人・・・


今回の場合はジョセフィーヌ王女様に仕える使用人たちが

対応することになったとのことですが・・・


当初執事と2人の侍女が対応していたとのことですが・・・



執事は深い傷を負って重傷!!


そばにいた侍女二人のうち一人は死亡!!


もう一人は、危険を感じて衛兵に声をかけに行っていて、

九死に一生を得たとのことですが・・・


一歩間違っていれば、そうなっていたのは私ですからね!?


・・・そんな危険な職場にただいまどっぷりとつかっております・・・


正直に言っていいですか?


そんな職場なら役得があってもいいじゃないですか!!


アーサー様は確かにひどい噂を聞きます!!


・・・いいえ、すでに噂ではないことは・・・実感してます・・・


寝言を言えば、



「アンジェリカ・・・いけない子猫ちゃんだな。ベッドの上で再度調教が必要だね。」


そんなハッキリと寝言を言われているのを聞いたことが

何度もあります・・・


そのたびに女性の名前が変わっているという・・・


すでに二桁では足りないくらいなのですが・・・


間違いなく、私に対しては、ジョセフィーヌ王女様の侍女ということで

手を出されているのはわかっております!!


寝言で聞いた女性の中で思い当たる女性が数百人該当されますが、

皆様超絶美人といわれる方々です・・・


自分で言うのもなんですが・・・


並ですよ私・・・


そんな私にアーサー様からの幸せが来るとは思っておりません!!


・・・0とは言い切れませんけど・・・

気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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