80話目
「・・・なぜあなたがいるのかしらね?」
そういって、私は昼食会に来たアイリスへと視線を向ける。
「・・・え?今朝、アーサー様の使いの方が来られて、
今日のお昼はバリティッシュ男爵様の屋敷にて
昼食会をすると伺ったので、こちらに来させていただいたのですが・・・。」
そういって、アーサーの方へと視線を向けるアイリス。
・・・またアーサーか・・・
しかもなぜ、朝一にアイリスに使いの者をを送っているのでしょうか?
こいつ・・・
絶対に先を見越して使いを出しましたわね!!
そうじゃないとおかしいですわ!!!
ふつふつと湧いてくる怒りを抑えながら、
「今日は我が王家の御用達のシェフがこちらに来ておりまして、
昼食をご用意しようとしていたところですわ。
いつも仲良くさせていただいているアイリスですから、
どうぞご一緒に昼食を食べて行ってくださいね。」
その言葉に驚くアイリス・・・
その反応を見て、この子も被害者なのだということを理解した。
きっとバリティッシュ男爵様が用意した昼食会とでも思っていたか、
一応体裁はアーサーが用意する昼食会となっていたのかもしれませんわね。
それなのに来てみれば私が用意する昼食会になっているとなれば、
驚いてしまうのは仕方がないですわ。
それにアイリスはそれならと辞退しようとしたくらいなのですから、
本当に何も知らない被害者なのでしょう。
ホント、アーサーは・・・イライラが募りながらも
その心の内がバレないように優雅にお茶を飲みながら、
お昼を迎えるまで談笑をしていくのであった。
「こ、こんな肉は食べたことがないです。」
そういって、目を見開いて驚くバリティッシュ男爵様。
そうでしょうね・・・
下級貴族などでは一生口にすることが出来ないお肉ですからね。
そう思っていたところに、
「だけど、これに負けない食材がバリティッシュ領にはあるだろう?」
そんなことをアーサーが言い出すのである。
その言葉を聞いて、一瞬悩んでいたバリティッシュ男爵様であったが、
アーサーが何をいっているのかをすぐに理解したようで、
「アレのことを言っているのか?
だけど、アレは一応、バリティッシュ家の規則があって、
特定の時期にしか採れないことになっているからな~。」
・・・この王家御用達の牛肉よりも美味しいものがあるといっているのですか?
ちょっとムッとしてしまう発言を聞いてしまって、
私はそのアレとやらに大変興味がそそられて、
「アレとは一体何がこの領にはあるのでしょうか?」
バリティッシュ男爵様に尋ねると、
その質問になぜかアーサーが応える。
「バリティッシュ領には、ある風習があるのですよ。」
その言い方!!腹が立つ!!!
何であんたがそんなもったいぶった言い方をするのよ!!
・・・いけない・・・こんなはしたない言葉が頭の中を過るなんて・・・
反省しつつも、アーサーに対するいら立ちはおさまることはない。
こいつに聞いたら、イラつきがおさまりそうにないため
意図してバリティッシュ男爵様に尋ねる、
「どのような風習があるのですか?」
「それはですね風習として、バリティッシュ家に嫁ぐにあたっての試練がございまして・・。」
「・・・試練・・・ですか?」
「はい、それをクリアした方に嫁ぐ権利を与えるというもので・・・・。」
そこまでバリティッシュ男爵様がいったところで、
なぜかアーサーが会話に加わってきて、
「その試練はある魔物の討伐なのですよ。
そして、その討伐された魔物を皆で食べるという風習が
バリティッシュ家にはあるのですよ。」
・・・だから、なんであなたが言うのよ!!
落ち着いて・・・落ち着いて・・・
はい、深呼吸・・・吸って、吐いて、吸って、吐いて・・・・
よし!落ち着いた!!
アーサーのことはガン無視して、今の情報だけを吸い上げる。
どうやらバリティッシュ家には嫁ぐための条件があるようで、
それは特定の魔物を討伐することが条件のようですわね。
そして、討伐した魔物を料理して振舞う風習があって、
どうやら理由かは分からないけど、アーサーも食したことがあると・・・
まあ、そんなことはどうでもいいわ!
アーサーのことなんて考える必要もない!
今欲しいのは、その特定の魔物が何なのかです!
その魔物が分かれば、いっきに嫁ぐことが出来るようになるということですわね!!
その魔物を討伐すれば、
変な駆け引きもなく、嫁ぐことが出来るということ!!
そんな裏ルート的なことがあるなら、
喜んでそちらを選びますわよ!!
こんなバリティッシュ男爵様に時間を掛ける必要がないということです!!
恋愛をして、好きになってもらう必要などない!!
そして、嫁いで、すぐにソウルイーターを振るわせて、
寿命を尽きてもらえれば、すぐに私は別の男の元へと身を寄せることができますわ!!
何てことでしょう!!
すぐにでも魔物を聞き出して、冒険者や、兵士達に・・・
・・・・あ!?
そこになって、私はあることに気づいた。
それは私が今滞在しているフエゴ領でのことである。
思い出した瞬間にアーサーの方を見ると、
私の視線を感じてニヤニヤしているのであった。
・・・こいつは確信犯だ・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




