7話目
「ハリスさん、それでは解体をしますので、お手伝いお願いできますか?」
「はい、喜んでさせていただきます、サーター様。」
私はサーター様の横で、肉や革を受け取れるように皿の準備をする。
長男のハリーは受け取りに来た村人たちを整理して、並べている。
手際よく、解体していくサーター様を尻目に並んでいる村人たちは看板を見て、
「ハリス様、ここには何が書かれているんですか?」
看板の内容を私に尋ねてくるのだ。
それもそのはずで、この村の識字率は1%以下だ。
そもそも文字が読めるのは、領主、サーター様、私とその息子ハリーのみだ。
だから、看板などを立てても誰も何が書かれているのかがわからないのだ・・・
それすらわからない領主・・・
ただの無駄な板切れになってしまっているのだ・・・
これを作って立てるのにも人手を使ったと聞いているのだが・・・
そんなことをさせるくらいなら、
畑仕事や猟にでも行かせればいいものを・・・
あのバカは領民のことを何も知らないし、
何も知ろうともしない。
自分のことしか考えていないようなクズなんだな・・・
だから、私は村人たちからの質問にはこう答える、
「サーター様が討伐されたのだよ。」
「「「「「うぉおお!!!」」」」」
村人たちからは、歓声が上がる。
ただ、サーター様は今、捌くのに集中しているようで
村人たちからの歓声は聞こえてないようだ。
「ただし!サーター様の仕える領主にも、みな一応尊敬を込めるようにな!」
「「「「「えぇ~・・・。」」」」」
「・・・その気持ちは分かるが、あの 領主 がへそを曲げると
我らが尊敬するサーター様にご迷惑をおかけしてしまうんだ!
いいかお前達、ちゃんと気をつけるんだぞ!」
「「「「「・・・はい・・・・。」」」」」
不承不承という感じで同意してくれる村人たちに
私は思わず苦笑してしまう。
「・・・何をふきこんでるんですか?」
苦笑しながら私に尋ねてくるサーター様。
「いいえ、こちらのことです。作業は終わられたのですか?」
「ええ、それぞれ持ってきた皿や鍋を出してください。」
「かしこまりました。」
息子のハリーに言って、村人たちの持ってきた皿や鍋に
次々と魔物肉を入れていくのであった。
「久しぶりの肉だ!!」
みなが歓喜の声を上げて、持って帰るのである。
「ただ、一部余ってしまう肉がございますが・・・。」
「それは肉屋に行って買い取らせてあげてください。
ただし!値段は通常の半値でかまいません。」
「半値ですか!?」」
「ええ、利益は求めておりません。
ただ、村人たちのためになればいいんですから。
それと牙や爪、骨ですが・・・・。」
「そちらはサーター様や領主がお持ちになられた方がよろしいのではないでしょうか?」
「まあ、それも考えていますが、一部をハリスたちにも渡しておきます。」
そう言って、骨や牙を私達に渡すのだ!?
「い、いえ!?これはさすがに受け取れません!?」
「なぁ~に、これから忙しくなりますから、その時にきっとお金の入り用になるでしょう。
その足しにしてもらえればいいのです。」
そう言って、一部を持ってまた領主の館へと戻っていくサーター様・・・
その姿を我々はただただ頭を下げて見送るのであった・・・
サーター様が領主の館にたどり着き、扉を閉める音が聞こえて、
私と息子のハリーは頭を上げるのだが、
「・・・おやじ・・・一つだけ気になる点があるんだが・・・。」
「・・・なんだ?」
「サーター様・・・魔石を取りだして、
すぐに自分のポケットにしまわれていたよな・・・。」
それはこの村の中心に運んでくる前の時である。
猪の魔物を倒して、喜んでいた領主を尻目に、
「生きてるかどうかを確認してきます。」
そう言って、一番最初にサーター様が魔物へと近づいていったのだが、
その時に、
一瞬の出来事である!
魔物を切り裂いたかと思ったら、
赤い宝石を魔物から抜き取っていたのである!!
「・・・お前も見ていたか・・・。」
「やっぱりおやじもか・・・。」
魔物と動物の違いは、魔法が使えるかどうかで、
魔法が使えると魔物となり、魔物となると体の中に魔石と呼ばれるものが出現する。
魔力がこもった石・・・それが魔石である。
当然、先ほどまでの解体でも魔石は出てきていない・・・
間違いなく、サーター様が回収していたのだろう・・・・
それは何のために?
・・・わからない・・・
当然、魔石は高く売れる。
領主は借金で首が回らないような状態だ。
それの足しにするのは当然だと思うのだが、
掠めるように魔石を回収したのは一体・・・
「・・・我々は魔石がどこにあるかは知らない・・・それでいいな?」
「・・・ああ・・・わかった。」
おやじの言葉に俺は同意して、静かにうなづくだけだ。
これは・・・俺達は知らない方がいいと直感が注げて来るから・・・。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。