78話目
「いやぁ~、あの時はですね、猪の魔物が大変大きかったのですが、
傍にはハリスとハリーがいたものですから、領主としての務めをしなければと思い、
向かってくる魔物に対して、気持ちを奮い立たせて向かったのです。」
・・・先ほどから、ご自分が果たされた武勇伝について
流暢に話されるバリティッシュ男爵様。
まだ誰のことをおっしゃってるのかは、
ご説明はいただいておりませんが・・・
この方は・・・説明が苦手なのでしょうね・・・
あと気になる点としては・・・
まるで当事者ではなくて、
第三者の視線のようにご説明をしてくださります。
・・・どうしてでしょうか?
そんな疑問が私に沸いていることを気づいている様子もなく、
今度はゴブリンの群れの討伐についての話へと移った。
とりあえずは私は、
「すごいですね。」
「そんなことをされたのですか!?」
そんな言葉を相槌を打っているだけで、
ご満悦な様子で色々と話をしてくれるバリティッシュ男爵様。
こうして話しているとよくわかるのですが、
まあ、典型的なダメ貴族の一例です・・・
先ほどの武勇伝では、守るべき領民と言っていたにも関わらず
ゴブリン討伐の時には、
「本来は自分で自衛するべきことなのすが・・・。」
っと、すでに自分で守るといった意見とは180度違う意見になって、
「こちらの命を危険にさらすはめに・・・。」
っと、苦笑しながら私に説明してくださる・・・
それに領地の拡大には興味があるようなのですが、
「具体的な対策としてはどのようなことをされているのですか?」
と尋ねたところ、固まってしまって、
言葉をうしなうバリティッシュ男爵様。
・・・
あれ?
普通は開発方法ややり方などを考えているのが領主ではないのだろうか?
そんな私の疑問がわいてしまうのだが、
そこでバリティッシュ男爵様の上げ足をとることになって、
気分を害されては今の段階では許されないため
聞きはしないけど・・・
そんな私の空気を察するのは、サーター様であり、
村の開発に関する説明や村の主産業等々、
必要な情報を端的に説明してくれるのである。
それを横で・・・
「そうなのかぁ~・・・。」
・・・え?
どうしてバリティッシュ男爵様がそんな反応なのでしょうか?
いや・・・
まあ、分かってはいたのですけど、
本当にそうだと意外と困りますね・・・
領地の統治は丸投げして、自分は自分のしたいことだけをする領主。
・・・よくありますね。
さてさて、食事をしながら、私の中での判断で、
バリティッシュ男爵様を査定するとすれば、
下の中!!
・・・それもまけにまけてだ・・・
お父様がおっしゃっていたように
王国のためにソウルイーターを振るって命を捨てるような方には見えないのですが?
国民のために動きそうには見えないのですが?
うぅ~ん、どういうことでしょうか・・・
もしかして、こちらの様子をみるために
その鷹の爪を隠しているということでしょうか?
・・・そんなことはないかと思います。
だって・・・
領主様の傍にいるサーター様が、
先ほどから頭を抱えているのですから・・・
あれは・・・本気だ・・・
本気で投げている。
そうなると私の考えていることは、的外れであることを
確信してしまうのであった。
まあ、これなら人畜無害・・・とまでは、領民にとってはいかないのでしょうけど
貴族社会では十分にどこにでもいる凡庸タイプですね。
なので、王国的には害がございません!
セーフ!!
だけど・・・
それはバリティッシュ男爵様個人のことであり、
これに王国2大凶悪のジョセフィーヌ王女様とアーサー様が、
このバリティッシュ男爵様を説き伏せてしまうと
少々・・・いや、この王国に大きな災害をもたらしそうな気がします・・・
あの二人なら、赤子の手を捻るよりも簡単なことでしょう。
今日の朝ご飯は大変有意義な時間になりました。
お父様、バリティッシュ男爵様の独り立ちは無理です!!
間違いなく、あの凶悪の手によって、籠絡されてしまうでしょう!
そうなると大変困ったことになってしまいます!
この国にバリティッシュ男爵様という、悪役を作り出すことになるでしょう。
あの二人・・・
絶対にどうやってバリティッシュ男爵様を活用しようかと考えているはずですし!!
それだけだは・・・
それだけは絶対に止めねばなりません!!
この王国の将来のためには、害になるべきものは
極秘裏に排除しなと・・・
私は、今後のことについて決心しましたわ!
ただ・・・
ジョセフィーヌ王女様とアーサー様のことを思い出すと、
簡単にその決意が折られます・・・
無理でしょう・・・
私の手には負えないけど・・・
それでも王国のために何としないといけません!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




