71話目
お父様、アーサー様に関するお噂は本当のことでした・・・
むしろお噂の方が、まだ優しいとのことを私は知りました。
「な、なぜこのようなことを・・・?」
私が恐る恐る尋ねると、
何か照れているような笑いを浮かべながら、
「いやぁ~、どこまで人間の穴に入れれるか知りたかったんだよね。
ふだんからもここの穴をしようしていたからね。
ただ愛する人には、そんな実験的なことはできないだろう?
だから、まあ、今回は協力をいただいたんだ。」
・・・正気?
真面目な顔して何を言っているんだろうか、
アーサー様は・・・
というか、素朴な疑問なのだが、
アーサー様は・・・今回氷の柱を入れた穴に何かを入れることがあるのだろうか?
ええっと・・・あれって・・・排泄物に使う穴ですよね?
・・・
うん、これ以上何も聞かないのが正解でしょう。
だいたい噂では男もいけると言われていたのは、
どうやら本当であったということが分かったので、
これ以上は何も聞かないし、知りたくもない・・・
笑顔で暗殺者を実験と称して、死に至らしめるアーサー様・・・
暗殺者がもがきながら死んでいく様を笑顔で見続けるジョセフィーヌ王女様・・・
正直に言っていいですか?
私の理解の範疇を越えてます!!
私だって、シエロ侯爵家の令嬢としてだけではなく、
この国を担うものとして、蝶よ花よと育てられたのではなく、
拷問も一通り習っておりますし、実際にしたことがあります。
ただ、拷問している際に笑顔を浮かべることなんてできません・・・
あの悲鳴を聞いたときなど、正直、悲痛に感じてしまっている。
だけど、そこでひるむのではなくてと覚悟を決めて拷問をするのだけど、
この2人は違う!!
嬉々としてやる!!
そんな2人に私に勝てと?
無理ですお父様・・・
ジョセフィーヌ王女様に、以前に受けた屈辱を返してみせると
いきがっていた自分に言いたい・・・
今の幸せを噛みしめて、過去の出来事を思い出してはならない
そして、過去の出来事に触れるなんて考えてはいけない!!
そう伝えたい。
さて、色々と書きましたが、私がここ数日バリティッシュ領で過ごして、
得られた情報、経験から導き出す結論は・・・
チェンジをお願いします!!
私にはこの任務は無理でございます。
私の代わりのモノを我が陣営から送ってください。
早急に!!
可能な限り早く!!
私が潰されてしまう前に送ってください!!
追伸
何か心の落ち着くものを送っていただけると幸いです。
猫か犬などで、もふもふと出来るものが今一番欲しいです。
「・・・どう思う?セバスチャン?」
そう言いながらシエロ侯爵が執事である私に
お嬢様から送られてきた手紙を見せてくれる。
「ご拝見させていただきます。」
そう言って、手紙を受け取り、
私は読みだしたのだが・・・
・・・
・・・
よし!読まなかったことにしよう!!
あ、いや、最後の追伸部分には答えなければなりませんな。
「そうですね、取り急ぎお嬢様がお気に入りであった、
犬を送ってはいかがでしょうか?」
「そうだな。猫は、気まぐれだから、娘が望むように
モフモフさせないかもしれないからな。
そうなると、娘から怒られてしまう可能性がある。
それならば従順になついてくれる犬にしよう。
ふふふ、少しホームシックになりかけているようだが、
これでホームシックも改善されてくれればいいな。」
シエロ侯爵様も私の提案にな納得してくれたようだ。
「それではその手配をさせていただきます。」
そう言って、一礼をして私はシエロ侯爵様の執務室から、
出ようとしたところで、
「セバスチャン、紅茶を淹れてくれ。
少し休憩して心を落ち着かせてから仕事に取り掛かりたい。」
「かしこまりました。」
一礼していた状態からすっと頭を起こして
紅茶の準備に取り掛かろうとした時に、
シエロ侯爵様が、お嬢様から送られてきた手紙をまた閉じて、
机のある引き出しにそっと入れているのを見た。
あそこは・・・・
二度と取り出されることない開かずの引きだしですね・・・
私は声を何もかけずに執務室を出る。
シエロ侯爵様は、手紙を机の引き出しにしまわれた後、
すっと立ち上がったと思うと、窓辺へと歩まれて
スッと外を見ているのであった。
今日もステキな空です。
そう、穏やかな平穏な外の景色です。
今も何もなく、穏やかな日になると思われますよ。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




