70話目
「殺してしまっては誰の差し金か、分からないじゃないですか。」
そう言うアーサー様に、ジョセフィーヌ王女様は、
「まだ一人残っておりますので、
しっかりと情報を聞き出してくださいね。」
・・・うん、やっぱり殺す気だったみたいだ。
その言葉を言われたアーサー様はやれやれと言いながら、
捕らえているもう一人の暗殺者の方へと向かう。
アーサー様の方は、捕まえている縄を解くようなことはなく、
そのままどうやら尋問をするようだ。
「こんにちは、雇い主を話す気にはなったかな?
じゃないと、さっきの人みたいになりますよ。」
「・・・。」
優しく微笑んでいるが、そんな脅しには屈しない様子で
何も話さない暗殺者・・・
「何も話していただかないのであれば少し手荒にしないとダメですね。」
そう言いながら、どことなく嬉しそうなアーサー様。
何やら詠唱を唱えだしたと思ったら、
「氷の柱!!」
そう唱えると、その暗殺者の前にいきなり円錐の氷の柱が出てきたのである。
そして、腰に付けていたナイフを取り出し、
何やら粉を吹きかけて、暗殺者の肩に小さな傷を入れる。
「・・・な、なにをされているのですか?」
私は何をしているのか分からないため
思わずアーサー様に尋ねると、そんな私に笑顔を向けて、
「少し、体をしびれさせる毒を塗らせてもらったんだよ。」
「は、はあ・・・。」
何のために?という疑問がわいてくる。
というか、氷の柱もなんのために出したのだろう?
それも中途半端な高さで、腰よりも少し高いくらいの高さである。
「まあ、口は動いて、体は動かないといった感じになるので、
それまではゆっくりと彼に頼んでみます。依頼人が誰かをね。」
そう言いながら、先ほどと変わらずに優しく尋ねるアーサー様。
・・・この人・・・
王都での噂は嘘だったんだろうか?
人がいい感じの好青年にしか見えない!
・・・これがこの人の手なのかもしれない!?
人が良いからこそ、人が集まる。
そのために悪い噂が立っているのかもしれない!?
そんなことを思って、私は一瞬自分が噂に騙されていたと感じて
反省をしていたのだが・・・全く反省などする必要はなかった!!!
ここからが本番である!!
「そろそろ体がしびれて動かないでしょう。」
ニッコリと微笑むアーサー様。
無言であるが、体が動かないことは感じているのだろう。
少しだけ焦っている感じがする暗殺者。
「まだ何も言うつもりはないのですよね?」
再度尋ねるが何も言わない暗殺者。
「それでは・・・少し、お話がしやすいようにしますね。」
そういうと徐に暗殺者に近づいて、
「え!?」
いきなり暗殺者を抱えだすアーサー様。
そのまま氷の柱の前までに運んだと思ったら、
徐に子供が小をするような体勢にして抱えるアーサー様・・・
・・・
・・・も、もしかして・・・
私が察したのだから、当然暗殺者も察するのである。
「あ、ああ・・・。」
思わず声が漏れ出すのだが、
そこで優しく尋ねることないアーサー様!!!
ブチ!!
ズボンにまず氷の柱の先端が刺さったようだ・・・
「や、やめてくれ!!」
いきなり声を出し始める暗殺者!!
だけど、その声を聞いてもやめることもなく、
そのまま下へと下ろしだすアーサー様!!
・・・どんな状況かって?
そんなの乙女が口に出せるわけないじゃないですか!!!
「いたぁーーーー!!!」
痛みを訴える暗殺者であるが、そんな悲鳴を聞いても
氷の柱の上におろすのを止めないアーサー様。
「お、俺の依頼者は・・・。」
そこまで言ったところで、一瞬止めだすアーサー様。
助かった・・・
そんな空気が暗殺者から漏れたと同時に、
何といきなり手を離すアーサー様!!
だけど、真っ直ぐ氷の柱の上にしっかりと落ちるように
手は傍で誘導するためだけに備えている!!
体はしびれており、自重を支えることもできない暗殺者は、
そのまま氷の柱の上へと落ちるのであった・・・。
「ぎゃぁああああ!!!」
悲鳴だけがあたりに響き渡って・・・
そして、静かに息を引き取る暗殺者・・・
私が呆然としていると、
「・・・殺してしまっては情報が得られませんわ。」
「大丈夫です。彼らの懐に割符が入っておりました。
これにかけられている魔法の痕跡を辿れば雇い主にたどり着けます。」
そう言って、ニッコリ笑うのだけど、
だったら、殺す必要はないのでは?と思ってしまうのであった・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




