67話目
ああ!!忌々しい!!
着いて早々にこの男に会うなんて!!
しかも・・・
私がぼやいた言葉を聞いているなんて!!
それもここぞとばかりに口に出すなんて・・・
ホント、この男は性根が腐っている。
今も私が困っている顔を見て、ニヤニヤと笑みを浮かべているし・・・
だけど、その程度でびくつくほど私は軽くてなくてよ!
「わざわざ扉を開けていただきありがとうございます。」
「いえいえ、これくらい。」
アーサーにお礼の言葉を述べて、
そのまま室内へと入る・・・
・・・犬小屋?
目の前に広がる光景は、あまりに狭いのだ!
玄関ホールよりも小さな部屋?なんて・・・どうやって住んでいるのかしら?
疑問がわきますけど、とりあえずは・・・バリティッシュ男爵様に
挨拶をしなくてはいけませんわ。
そう思って、当たりを見回すのだけど、どこにもバリティッシュ男爵様の姿はない。
「・・・バリティッシュ男爵様はどちらに?」
そうアーサーに・・・ホント嫌で嫌で仕方ないけど、アーサーに尋ねると、
「いやぁ~、王女様が怖いらしくて逃げ出しましたよ。」
クククと笑いながらそんなことを言いだすアーサー!!
「な!?」
思わずキッと睨みながらアーサーを見る。
そんな時だった、急に奥の扉が開いて、
「アーサー、どうしたんだ?いつまで経っても執務室に戻ってこないから
探しにきたら、こんなところで・・・。」
そう言いながら、扉を開けて中に入ってくる・・・バリティッシュ男爵!?
更に私は、アーサーを睨むのだが、
すぐに睨むのを止めて、笑みを浮かべる。
・・・睨む姿なんてバリティッシュ男爵に見せるわけにはいかないわ!
そんな私の一瞬の動きをまたニヤニヤしながら見ているアーサー。
・・・本当にこいつは・・・
「あれ?逃げたとおもったんですけどね。
そう言えば、僕が執務室から出たんでしたよ。」
「うん?何を言っているんだ?」
バリティッシュ男爵は首をかしげている。
・・・アーサーの方は、してやったりと笑みを浮かべている・・・
その時だった、どうやら私の姿が目に入ったようで、
驚いたような顔をするバリティッシュ男爵。
「あ、貴方は・・・。」
あわわと震えている様子のバリティッシュ男爵に対して、
私は優雅にスカートの端を掴んで挨拶をする
「お久しぶりでございますわ。バリティッシュ男爵様。」
「ど、どうしてジョセフィーヌ王女様がこんなところに・・・。」
絞るように声をだすバリティッシュ男爵様。
・・・これが普通の対応だというのに、
アーサーはまったくそんな気配を微塵もだしてこない・・・
絶対にこいつは私がここに来ることを知っていたに違いない。
私は、今回の敵が王子陣営で最も厄介な相手である
アーサーであることを理解したのであった。
相も変わらず爪の甘いジョセフィーヌ王女様。
扉の前に来て、掘っ立て小屋なんてことをいうとはねぇ~。
僕が扉の前で聞き耳を立てているとは、露知らずに・・・
だから、ちょっとしたいたずら心で、
ジョセフィーヌ王女様が扉を開けるのを躊躇してしているところを
こちらから開けてあげると・・・
いやぁ~、想定通りの間抜けな面が拝めたよ。
しかも、その後、僕を見たジョセフィーヌ王女様の顔が
一気に変化していく様まで見れるとは♪
その後も睨まれ続けたけど、
そんな可愛らしものじゃないか!!
色仕掛けしか出来ないジョセフィーヌ王女様なんて、
赤子の手をひねるよりも簡単に相手が出来てしまう。
ただ、その美貌が良いのはこちらも認めているのだから、
その点だけは注意が必要だろう。
まあ、たとえその色仕掛けにルイスが落ちたとしても
そこから僕の良さに気づかせる技術は十分に持っているから
何の問題もないからね。
・・・いや・・・
いっそ、この王女に一度わざと落とさせるか?
そこから、僕が再度奪ってあげれば・・・・
どんなに絶望的な顔を浮かべるかな、この王女様は・・・
以前にも王都にいる時に少しばかり遊んであげたことがあるけど、
その時の顔といったら・・・
噂の王女様と思えないような顔をして僕の所へと
殴り込みに来てたなぁ~・・・
もう一度ここで見てもいいかもしれない・・・
まあ、それでは我が父上から叱責を受けてしまうかもしれないから
止めておくけどね。
じゃないと、その叱責と共に引き戻されてしまう可能性もある。
せっかく僕のルイス(いとしのおもちゃ)の元に来れたんだから、
そのチャンスを活かさないわけにはいかないよ。
だから、しっかりと対立しようじゃないか。
僕の相手はジョセフィーヌ王女
しっかりと勝たせてもらうよ。
僕のステキな生涯の伴侶を手に入れるためにね。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




