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5話目

「く、くるな!!来るなよ!!!」


俺の必死の言葉も目の前にいる猪の魔物には届いていない・・・


その牙は明らかに俺を捉えているのだ・・・


俺は恐怖のあまりに腰を抜かしてしまって、地べたにへたり込んでいる。

それに先ほどまで持っていた弓をすでにどこかに落としてしまっていた。


こ、殺される・・・


ただただ、俺の心は恐怖心に占められるのであった・・・



「大丈夫か!?ハリー!!」


そんな時に聞こえてくるのは・・・俺の幻聴なのだろうか?


そっか・・・おれはついに死ぬのか・・・走馬灯が走っているようだ・・・



「何をしているハリー!!

 早く立て!

 そしてナイフを構えろ!!

 お前は村で最強の男だろうが!!」


走馬灯にも関わらず叱咤激励してくるとは・・・


それに動きたくても動けないんだ!!


魔物の放つ余りの殺気に俺はちびってしまっているののはもちろん、

腰もぬかして足に力が全く入らないんだよ!


そんな時だった!!


今度は声だけでなく、俺の体がいきなり後ろに引っ張られたのであった!!



「大丈夫ですか?ハリー君?」


「・・・え!?」


そう言って俺に声をかけてきたのは、涼しい顔をしている執事のサーターさんだった!


そして、いきなり俺にまた衝撃が走ったと思ったら、

今度はおやじのハリスが俺に抱き着いてきたのである!!



「お、おやじ!?」


「ハリー!!大丈夫か?どこもケガをしてないか!?」


心配そうに俺を見てきて、俺が無事なことを確認すると

おやじが俺に更に力強く抱き着いてくるのであった。



「・・・おやじ。」


そういって、俺もおやじを抱き返すのであった。



「落ち着きましたか?」


その声に俺はハッと現実に戻る!


おやじ達が来てくれたとはいえ、現実何も変わっていないのだ!!


目の前には魔物がいる!!


ただ、さきほどから時間は十分に経過しているはずなのに

なぜか魔物は、ただただこちらを警戒しているだけで

なぜか襲ってこないのである!?



「さてと・・・。」


全然この場には相応しくない落ち着いた口調でサーターさんは、

背負っていた領主を自分の前に持ってきて、

背中から手を通して、無理やり立たせていた。


どうやらこの領主は気を失っているらしい。



「あなた達は生き証人ですからね。」


そういって、こちらに向かってニッコリと微笑むサーターさん。



「はい!!」


おやじはなぜか強張った顔で、勢いよく返事をした!



「い、いったい何を・・・。」


そう俺がサーターさんに尋ねようとしたのだが、

すでにサーターさんは行動を起こしている。


領主の腰から剣を抜くと、領主の手に剣を無理やり持たせて、

次の瞬間!!!



グサァ!!!


何と剣を投げたのだ!?

そしてその剣が見事に猪の魔物の額に命中する!!!


雄たけびを上げる間もなく、絶命したようで、

その大きな巨体は力なく、グラグラと地面へと倒れるのであった・・・


どぉおおおーーーん!!


森の中に広がっていく音と砂煙を

俺はただただ唖然と見るだけだった。


ただし・・・


俺は魔物に襲われることなく、

命が助かったことだけは実感するのであった・・・



「た、すっか・・・たのか?」


俺が思わずつぶやいた言葉に対して、急にこちらを向いてサーターさんが、



「ええ、助かりました。領主のおかげでね。

 残念なのは・・・領主が怪我をしてなかったことだけで・・・。」


ため息交じりに俺に説明をしてくれるのだが、



「え?いや、だって、セーターさんが・・・。」


そこまで言ったところで、おやじが、



「サーター様の言う通り!領主様が魔物を倒されました!いやぁ~素晴らしい!!」


ものすごい歯の浮くような賛辞を並び立てるおやじに思わず唖然とするが、



サーター・・・“様”?


な、なぜおやじがサーターさんに“様”を付けているんだ??


俺の疑問がドンドン湧くのだが、サーターさんとおやじの中では話が進んでおり、



「・・・うあ。」


サーターさんが領主の傍に行き、

領主の意識を戻すのであった!


そして俺は思い出した!!


領主暗殺を俺は謀ったのだ!?


顔から血の気が一気に引いていく。


今すぐ領主に飛びかかって、亡き者にしなければ、

俺が逆に亡き者にされる!!


っというか、一族郎党が亡き者にされる!!


そんな不安が頭の中をよぎるのだが、

そんな俺の不安など全く知らないような顔をしているおやじ!


ど、どうしてそんな顔をしていられるんだおやじよ!?


俺の不安を察したのか、おやじはすっと頭を下げて、



「さすがは領主様です。一撃で魔物を倒されるとは・・・。」


「・・・ふぇ!?」


気絶されていた状態から無理やり起こされて、

呆然としていた領主だったが、おやじの言葉で目が覚めたようで、

当たりをきょろきょろと見回すと、その視界に倒れている魔物が目に入ったようだ。


更にはその額に刺さっているのが自分の剣であることを

確認するように自分の腰を見る領主。



「ど、どうやって・・・。」


呆然とする領主に、淡々とサーターさんが説明をする。



「はい、魔物に我々は恐れおののいていたのですが、

 領主様はまったく恐れることなく、こちらに向かってきた魔物に

 鋭い突きを合わせられて、一撃であの魔物を倒しました。」


「・・・えぇ!?」


「・・・覚えてらっしゃらないと?」


「そ、そんなことはない!!俺はものすごく集中して、

 魔物の動きを見切って、魔物に対して、一撃を加えたのは覚えているぞ!!」


「それはそれは素晴らしかったです!

 そもそも、あの空から降ってきた石が頭に当たってからは、

 急に人が変わったかのように凛々しい顔をして、

 いやぁ~、普通であれば魔物の雄たけびを聞けば、

 逃げてしまうところを、逆に森の中へと入って行き、

 魔物を倒してしまうとは・・・。

 これほどまでの勇者はこの国広しといえども、領主様以外にはおりますまい!」


「・・・ゆ、勇者か?」


「はい!魔物を1人で倒せる者となると“勇者”以外にはおりますまい!!」


「そ、そっか!俺は勇者なのか!!」


「はい!これで、この噂を聞きつけた女性陣が大挙して来ること間違いないです!」


「なんだと!!!・・・ああ、おっほん!

 そっか、まあ勇者が現れたのなら、皆がほおっておくなどありえないからな!

 まあ、勇者としての務めだ!

 仕方がないから、来る女性はお相手せねばな!!」


・・・俺が謀ったことは、空から石が落ちてきたことになったのか・・・


そして、そうしたのは・・・サーター・・・“様”か・・・


先ほども魔物を一撃で倒す実力・・・


この方がいれば、この村は安泰だ・・・


ならば俺がとるべき行動は一つ!


サーター様がすることに賛同するのみ!


そうだよな?おやじ!!


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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