58話目
「・・・どうしてこいつが馬車の中にいるんだ?」
「え?どうしてとは?」
「いやいや、分かってるよね!?
分かって逆質問を俺にしてきてるよね?」
「・・・え?ちょっとなにを言っているのかわかりませんが・・・。」
サーターは馬車の中に横たわっている男の姿を見ながら、
俺に分からないと言ってくる・・・
「・・・馬車の用意をしたのはサーターだよな?」
「はい、そのとおりでございます。」
「じゃあ、この男がいるのも知っているんだよな?」
「ええ、当然じゃないですか。
何を私に聞いておられるのですか?」
「いやいや!それだけ分かっているのなら俺が聞いている理由も分かるよね?
どうして馬車の中にグンテがいるのかって聞いてるんだ!?」
「どうして?
いや、そこがわかりませんが・・・。
一応、スカウトしてこちらに来てもらうことにしたのですが・・・。」
「スカウト!?
・・・お前のスカウトというのは・・・
轡をして
体中を縄で縛った状態を
スカウトというのか!?」
「ああ、そういうことですか。
この縛りはですね、亀甲縛りという縛る系趣味の中では、
一般的な縛り方をしているのです。」
「ち、がーーーう!!
俺の聞きたいことはそいうことじゃない!
縛り方を聞きたいんじゃないんだよ!!
どうしてこいつがここにいるのかということを聞きたいのだ!
それとなんだ縛る系の趣味って!?
どんな趣味の奴がそんな縛られて喜ぶんだよ!!」
「だから、スカウトしたからここにいるのですよ。
まあ、少々抵抗をされましたので、
すこし動けいないように自由を抑制しただけです。」
「・・・それは有無も言わさず連れてきたってことじゃないのか?」
「・・・有能そうだったので。」
「そこは否定しろよ!!
まじで無理やり連れて来たって事かよ!?」
「はい、それにこのまま王都に残っているとどうせ殺されてしまうので、
それなら残りの命をバリティッシュ領で活かした方が、
グンテ殿にとっても我々にとってもいいかと思いまして。
まさにWin-Winの関係です。」
そう言って、笑うサーターの顔なのだが・・・
黒い!黒いよ!その笑み!!
完全に悪役がピッタリの笑みになってるから!!
「・・・まあ、確かに腕は立つのは事実だが。」
「はい、領主様のように偽物ではないですから。」
「偽物だと!?」
俺は抗議のためにサーターへと詰め寄る!!
「俺の実力は本物だ!!俺がドラゴンを討伐したのだぞ!!!」
「・・・ソウルイーターがあったからでは?」
「ち・が・う!!
俺の実力があったからこそ、ソウルイーターが俺を認めて
俺に力を貸しているんだ!!
だから、それを含めて俺の実力なんじゃないか!!」
「・・・まあ、100歩譲ってそうしましょうか。」
「なんだ!その渋々の妥協は!!
サーター!お前!これ以上、俺を馬鹿にするようなら・・・。」
「するようなら?・・・もしかしてお暇を?」
・・・また俺に対してあの笑みを浮かべている・・・
俺が首にすることなど出来ないことを確信しているように・・・
「いや~、それは残念です・・・。
ですが、領主様がそうおっしゃるのであれば、仕方がありません。
今までお世話になりました、それでは・・・。」
「悪かった!許してくれ!!だから、お願いだからどこにも行かないでくれ!!」
そう言って、懇願する俺に対して・・・
やっぱり悪い笑みを浮かべてやがるぞ!?
確信犯だ!!!
・・・執事に頭が上がらない領主って一体・・・
心で泣いていると、ふとしたことで気になることが出てきた。
「・・・そういえば、グンテは俺の剣を受けたのでは?
ソウルイーターでは一撃で命を奪う剣のはずだが・・・。」
そう言って、グンテに近づくと、
「うぅーー!うぅうう!!」
・・・もがいてたし、うめき声をあげていた・・・
あ、まだ縛りっぱなしだったね・・・
解こうかと思ったのだが、どこをほどいていいのか全く分からず、
「サーター、これをほどけないのだが・・・。」
「素人には無理でございますね。」
「・・・じゃあ、お前は玄人なのか?」
「どう見えますか?」
・・・何だろう・・・この女性に年を聞いた時の返事の言葉みたいな感じでの返し方・・・
ただ・・・真顔でオッサンから言われると相当怖いということだけはわかった・・・
「もう・・・この話題には触れない・・・。」
「それでよいかと思います。」
あ、解いてはあげないんだな・・・それだけは分かった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




