54話目
「ふぅ~、なんとか間に合いましたね。」
私の腕の中には先ほどドラゴンの口から吐き出された領主がおさまっている。
ドラゴンの口から吐き出された瞬間・・・
このまま見捨てようかな・・・
と思いましたけど、断腸の思いで助けることにしました。
もしこの領主が死んで、別の貴族が派遣されてきた場合に、
あの王様と取り巻き達の息のかかった貴族だと・・・
本当に最悪なイメージしかわきませんからね・・・
それよりも、馬鹿でのろまでクズなうちの領主の方が
100歩譲っていいでしょうから。
とりあえず唾液でべっとりしたこの領主を・・・
私は地面に捨て置いて、ドラゴンの傍へと近づいていく。
もし、これでドラゴンが生きていたのなら、
めんどくさいので、死んでいることを確認しないといけないですからね。
それに、落下してきた位置が幸運にも闘技場外で、
まだ誰もここにまで来ていないので、いないうちに生きている場合には止めを
それと死んでいるのなら、アレを取り出しておきたいですからね・・・
ドラゴンの傍に近寄って、首筋に手を当てると脈を打っていないことが確認できて
すでに絶命していることが確認できた。
「じゃあ・・・。」
そういって、手短に魔石があるところを切り裂いて・・・・
「いやぁ~、大きいですね。」
そこら辺にいる魔物とは全然違うサイズの魔石が取り出せたのである!
取り出した後は・・・。
「じゃあ、他の人が来る前に、この傷がどうしてできたかの
状況を作り出さないダメですね・・・。」
私は開いている口に近づいていき、口を広げて、
舌に刺さっているソウルイーター(ただのけん)を引っこ抜く。
「ホント・・・無駄に悪運だけはありますね・・・。」
私が見ていたのは、
ドラゴンの滑空している新路上に、なぜか飛び出していった領主!
そのまま開いていた口の中へと入り込んだ時に、
無意識なんでしょうけど、ドラゴンはすぐに口を閉じようとしてましたね。
その時にたまたま、顎の方をクィッとあげたのですが、
そこにその顎の向きに剣先が向いていたから、見事に突き刺さったと・・・
それだけでもずいぶん運がいいのに、
さらに運がいいことになぜかこのドラゴンは領主に限っては
かみ砕きにいかなかったんですよね・・・
なぜでしょうか?
まあ、そのおかげで、無事に・・・少々唾液を浴びておりますが、
体のどこにも怪我することなく、無事にドラゴン討伐ができたと・・・。
まあ・・・
結果オーライですね!
元々はドラゴンを討伐するという次案に移行していましたからね。
もうちょっと苦労していただいた後で討伐してもらった方が
こちらとしては良かったのですが、
そこはまあ、しかたないですよね。
欲をかいてはいけません!
遠くから声が聞こえて来たので、
私は領主を起こすことにした。
「まずは領主を洗脳・・・事実を教えこないといけませんからね。」
気絶している領主は間違いなく、恐怖ですから、
ちょっと手荒な起こし方をしても問題ないでしょう。
パーン!!
まずは頬にビンタをする。
ただ、思っていたよりもすぐに気絶から戻ってこようとするので・・・
パーン!!
もう一丁、
パーン!!
「さ、・・・。」
パーン!!
「さーた・・・。」
パーン!!
「ちょっとまてサーター!!俺は意識がある!意識があるからな!!
止めろ!!もう大丈夫だ!!」
「・・・まあ、今日はこのくらいで。」
「このくらい!?どういうことだこのくらいでって!?
しかも顔にあからさまな残念感が出ているぞ!?」
「それよりも領主様。」
「それよりもって!?まずはこの問題について、
お前に追及をしないといけな・・・ぅあわ!?」
グキィ!!
言葉を話していた領主の首を私を方向から、
ドラゴンが倒れている方へと向き直す。
「ちょ、ちょとまて!!今、グキィって言ったぞ!?
そんな人の体から聞こえてはいけない音が聞こえたぞ!?」
「そんなことよりも、アレをご覧になって何も思い出しませんか?」
「あれ?」
・・・
ドラゴンの遺体がある方を見る領主は、しばらく固まっていたかと思うと
いきなり目を見開く!!
「あ、あれ、あ、あれってぁああ、ど、どどいう、ことだ?」
ガクガクと震えながら私の方へと首を向けて尋ねてくる領主。
・・・なんだ、首は無事なのか・・・残念・・・
残念な思いになりながらも、ちゃんと執事の仕事はする。
「ドラゴンの遺体です。」
「そんなの分かってるわ!!
どうしてそんなものがこんな目の前にあるんだってことを聞いてるんだ!!」
「・・・また覚えてらっしゃらないと?」
「・・・え?もしかして・・・。」
ゴクリと生唾を飲み込みながら私に尋ねてくるので、
「はい、領主の手で。」
私の声を聞いた領主はそれはそれは驚いた表情になるのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




