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50話目

先ほどから鳴っている音は・・・


もしかして・・・


そう思って、空を見上げているとある方角に黒い影が見えていた。


この距離ではそれが何であるかは分からないですが、

この音とその黒い影で私はある結論に達していた。



“ドラゴンの角笛”


伝説級のアイテムであるドラゴンを呼ぶ角笛が吹かれたことに。


・・・最悪ですね・・・


私が記憶しているのは、あの角笛はドラゴンを呼ぶことは出来ても

制御することは出来ません。

だから・・・


この会場にいる人間はすべて攻撃対象になるということです!!


・・・とりあえず・・・


領主ばかを餌にして逃げますかね?


・・・まあ、それが出来たらとっくの昔にやってますよ。


私はすぐに領主えさの方へと視線を向けると、

あまりの苦悶を浮かべているグンテを目の前にして、

腰を抜かしていたのであった・・・


あまりの情けなさに思わずため息が出るが、

それ以上に、その苦しんでいるグンテの周りにいる王様たち一行の方が

・・・問題でしょうけどね・・・



「大丈夫か!グンテ!!」


部下を心配している王様。


この場面は完全に周りに見物人がいるため

良い人の仮面をかぶって対応しているのは分かりますけど、

その口元と顔をしっかりと隠さないと台無しになりますよ・・・


苦悶の顔をするグンテを見て、

口角はこれ以上にないくらいに上がっていて、

更には目元もゆるゆるである・・・


絶対にこの王様はこちらが本性でしょうね。


うちの領主くずに王妃の愚痴を話かけていた姿は、

完全に猫をかぶっていたのでしょう。


そして、更にはその取り巻き達も嬉しそうにしてしまって・・・


っというか、同じ近衛騎士団の騎士達が・・・


嬉しそうに笑っているのはどうしてでしょうか?


グンテという騎士団長は嫌われているのでしょうかね?


・・・まあ、あの王様の取り巻きにいるのなら、

人間としてクズなので、立派なグンテが本当に邪魔でしかたがなかったのでしょうね・・・



この王様に加えて、この国に勤める人々は・・・


性根が腐り過ぎじゃないですかね?


とりあえずはこの場から逃げることを優先するために

私は領主の傍へと向かうのだが、

その姿を見た領主は嬉しそうにこちらに向かって手を振ってくる。



「どうだ!!俺の実力は!!」


胸を張ってこちらを見てくる領主に、



「ソウルイーターの実力では?」


その言葉に顔を真っ赤にして、



「お、俺に決まってるじゃないか!!

 俺の実力、そして才能があったからこそ

 ソウルイーターが力を発揮したんじゃないか!!」


そう力説する領主だけど、

そもそもそれ・・・


猛毒が塗られたただの剣ですけど?


まあ・・・初心者の領主の実力にはあってるかもしれませんね!


・・・いやいや、そんな嫌味なツッコミを頭の中で流す前に

事情を伝えなければ!!



「領主様、急いでこの場を離れましょう。」


「なぜだ?だって、このままいけば無事にグンテが亡くなるぞ?」


「ああ、そういえばそんなこともありましたね。」


「そんなことって!?おい!?」


「今は別のことで忙しいので、そんなことは横に置いておいてください。」


「結構、大きなことだと思うんだけど・・・。」


私の気迫にモジモジして、語尾が小さくなっていく領主。

・・・どっちが力関係が上なんでしょうね?



「とりあえず空をご覧ください。」


そう言って、私は黒い点が見える方を指さす。



「ああ・・・いい天気だな!」


そのセリフに思わずズッコケそうになってしまうのだが、

何とかギリギリのところで耐える。


・・・想定の斜め上の返答が来るとは・・・


普通は黒い点が見えるな?とか、なるんじゃないんですようかね・・・


まあ、いい!

この領主に普通を期待したらダメだ!



「あそこに黒い点があるのは分かりますか?」


「・・・ああ・・・あるな・・・。」


何とも曖昧なセリフに本当に見えているのか疑いたくなるが、

ここでそんな時間を費やすわけにはいかない!



「アレは不吉の予兆でございます。

 ですので、今すぐにここから離れましょう。」


「え?サーターって占い出来たか?」


・・・こんな所は冷静に・・・


いつももっとこんな風に冷静な判断を下せればいいのですが・・・


・・・ハッキリと伝えるしかないですね・・・


私は、領主の耳元まで顔を近づけて小声で、



「ここからは決して外に漏らしてはダメですよ?

 そして、決して、決して声にしてはなりません。」


「・・ああ・・・。」


どうやら私が真剣に話しているので、話の内容が真剣だと分かったらしく、

真剣な表情で小声で返事をしてくる。



「あれはドラゴンでございます。」


「・・・え?」


私の声を聞いた領主は最初は思考停止のような状態になって、

次にゆっくりと首をこちらに回してきた。


どうやら領主の中で私の言葉の意味が粗食できていないようだ。

そのため私が再度小声で、



「ドラゴンです。災害級の魔物がこちらに飛んできているのです。」


・・・


フリーズしたままの領主。

まあ、理解は出来るので、とりあえずフリーズしたままの領主を担いで、

どこかに避難して事が治まるのを待とうかと思ったのですが・・・



「ドラゴンだと!!!」


いきなり大きな声を上げる領主!!


慌てて、私は領主の口を塞ぐだが、すでに時遅く・・・



「ど、どう言うことだ!?」


領主の声を聞いた王様がこちらに向かって声をかけてくるのであった・・・


ああ・・・


せっかく・・・


この王様や大臣達をドラゴンの餌にしてやろうと思ったのに・・・


計画がとん挫して残念だが、

終わったことは仕方がない!!



次案に移ります!!


固まっている領主に代わり、私が王様に跪いて話す。



「あちらに見える黒い点がドラゴンだと、我が領主が申しております。」


私が指さす方にみんなが一斉に向く。


すでにずいぶんと知覚にまでドラゴンは近づいていて、

ここからでも翼がある魔物が飛んでいることが認識できる距離となっていた・・・


私の説明を聞いて、皆が振り向いて、その黒い影が目に入って、

皆固まっていたが、誰かが叫ぶと一気にその声が伝播していき、

辺り一面恐慌状態に陥ったのであった。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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