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45話目

今日この日を俺は待っていた・・・


渡された角笛を吹きながら、俺はある一角に視線を向ける。

そこにはとある貴族に盗られた妻の姿がある・・・。


ついに俺はその妻を取り返せる日が来たのだ!!!


俺は持っていた角笛を口元に当てると

そのまま角笛を鳴らすのであった・・・




今から2年前になるが、俺は王都エトワールで宿屋を妻と共に営んでいた。


口下手な俺は料理や掃除を担当して、

明るく陽気な妻は接客を担当していた。


小さな宿屋だったけど、夜になれば自然と王都の人間が集まって、

ワイワイと飲んで、食事して楽しんでいて流行っていたんだよ・・・


それが・・・


いつものように食材を買いに妻と二人で行った時に

偶然遭遇した大臣たちの視察の時・・・



「こんな可愛らしい人が・・・・。」


そう言って、妻に一目惚れした男がいたんだよぉ!!!


俺達は当然困惑をしたし、



「私達は夫婦なんです!!」


そう訴えかけた妻であったが、

そんな話を全く聞いてくれないその男。


俺達が夫婦であることを聞いた後も



「貴方に惚れたのです。」


そう断言する男に妻はただただ困惑するばかりであった。

ただ、俺達は所詮庶民であるため権力者には・・・逆らえない・・・。



「私と一緒に少しお話していただけませんか?」


そう言ってくる男の言葉についに妻は折れてしまって、



「あなた、少し話してきますね。」


妻はあの男にしっかりと夫婦であることを説明してきてくれるんだろう。

その場に口下手な俺がいても邪魔だろうし、妻1人の方がうまくいくだろうと思い、



「ああ・・・。」


そう返事をして、大臣たちの集団の中にいた男と妻が離れていき、

二人ですぐ近くの食事処へと向かっていた。


俺はその二人を見守ることしかできなかったんだ・・・


ただ、気になる点があったのだが・・・


妻の足取りが軽やかなのは・・・気のせいだろう・・・


きっと権力者たちを前にして、緊張していているんだろうな。


すっと手を差し出されると、妻はそこにスッと手を差し出して

その男と手をつないでいるんだが・・・気のせいだろう・・・


あれは・・・何でだろうな?


まあ、妻には何か考えがあるんだろう。

思慮深い妻だしな!





そこに現れたのはまるで白馬の王子のような美形の青年!


し・か・も!!


こんな街にはどこにでもいるであろう平凡極まりない顔の私に対して、



「こんな可愛らしい人が・・・・。」


そんなことを真顔で、しかも目をキラキラさせながら

私に告げてくるなんて!!


・・・マジで?


視力がおかしいとかではなくて?



「視力は普通よりもいい方です。

 そんな冗談を言っているように見えますか?

 私は・・・本気なんですよ。」


そう言って、何とこの青年は私に向かって片膝をついてくるのであった!?


完全に最近忘れていた心のドキドキを取り戻しながら

私は何と答えたらいいのかに窮していた。


今、私の横には夫・・・


いや、すでに私の心の中では“元”夫が・・・横にいる。


そこで、私とこの青年と愛を語り合うなんて、

絶対に邪魔してくるに違いない!!


そんなことは絶対にあってはならないのよ!!


私の本能はこう告げている・・・


玉の輿にのるチャーンス!!


絶対にこれを逃してはならない!!


どんなに一生懸命働いても

ご飯を食べるのが精いっぱいで、

欲しい洋服なんて買うこともできない生活・・・


それに対して目の前の青年の着ている服や大臣達と一緒にいるということは

彼も貴族なのではないだろうか!!


貴族達の優雅な生活・・・


正直に言って、ボキャブラリーの少ない私には想像も出来ないけど、

きっとお腹いっぱいにご飯が食べられて、

たまにゆっくりと休んでも起こられない生活がそこにあるのではないだろうか?


今のまったく休むことが出来ない宿屋の営みに比べて

雲泥の差がうまれるんじゃないだろうか?と漠然と思う。


さて・・・


あなたならどっちを選ぶ!?


私は・・・


この貴族の青年を選ぶわよ!!



「私と一緒に少しお話していただけませんか?」


その青年のお誘いに二つ返事で返してから、

夫・・・いいえ、間違えた“元”夫に、



「あなた、少し話してきますね。」


そう告げるのであった。


・・・ダメダメ!!


歩く足取りがどうしても軽やかになってしまう!!


ここで浮かれている気持ちをさらけ出してはいけないわ!!


何とか自制心を働かせようとしているのだけど

そんな私の気持ちを知ってか知らずか、



「どうぞ。」


そういって、さりげなく差し出される右手。


ああ・・・


こんな生活を夢見ていたいのよぉ~!!


子供の時のお姫様ごっこの世界が現実に現れるなんて!!


私は戸惑いながらも、すっと左手を彼の右手の掌に差し出す。

その時のお互いの顔は笑顔である。


差し出した私の手は優しく握りしめられて、



「では、そこのテラスでお茶でも。」


そう言って、指さされたところは、

私達、庶民が入ることなど出来るわけがない、

貴族達御用達のお店であった。


ああ・・・


私の選択は間違って等いなかった・・・


そう確信しつつ、彼のエスコートを受けながら、



「はい。」


そう返事をするのであった。



“バイバイ、元あなた”


そう心でつぶやきながら・・・



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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