43話目
剣を鞘に納めて自分の前に突き出して、叫ぶ領主!!
「ソウルイーターよ!!
俺の捧げた命によって、今こそ、その力を開放せよ!!!
そして・・・目の前の魂を食らいつくせ!!」
・・・私が教えた言葉と・・・まったく違うのですが・・・
まあ、いいか・・・
とりあえず満足げなドヤ顔をしているんだし。
ただ・・・
そんなドヤ顔を相手であるグンテ殿に向けるのではなく、
シエロ侯爵のご令嬢に向けているのは・・・止めた方がいいんじゃないでしょうか?
いや、決め顔と決めポーズを見せたい気持ちは分かりますけど、
相手を無視しないでくださいね。
・・・これが本当の決闘だったら、間違いなく相手に一撃を入れられてますね。
っていうか、さっきも油断も隙もしていなかったのに一撃を入れられたの覚えてませんか?
それなのに相手から視線を外すって・・・
進歩もなにもあったものじゃないな・・・
まあ、これだけ王様からの反則的な贔屓をさせている場なので
特に問題はないでしょうけどね・・・
良かったですね!悪党側についてて!!
進行役からさんざん言われて、やっとグンテ殿の方へと向かう領主。
あきらかに不貞腐れた様子で・・・
心中察しますよ進行役・・・
まあ、あとはその猛毒を仕込んだ剣で少しでも傷を付けたら
私の仕込んだ・・・
一欠けらでゾウもイチコロ!!
猛毒 虎狩りX!!
が発動しますからね!!
・・・
どっちを殺すんだろう・・・
ゾウ?それとも虎?
っていうか、キャッチフレーズが“一欠けらでゾウもイチコロ”って書いているんだったら
『猛毒 ゾウ狩りX』ってした方がいいんじゃないですかね?
何でそこで虎狩り?
虎狩り採用をしたいのなら、キャッチフレーズも虎で統一するべきでは?
・・・まあ、そんなの言っても仕方がないですよね。
そんなツッコミどころが満載の猛毒薬ですけど、
効果はバッチリなのは確認済みですからね!!
先日、我が村を襲おうとしていた野党ども数人を捉えて、
ひそかにためしたんですよねぇ~♪
いやぁ~、本当にこの猛毒薬の粉一欠けらでバッチリでした!!
もがき苦しみながら、ドンドン顔色が悪くなっていき死んでいきましたからね♪
あまりの楽しさに捕まえていた野党ども全員に無理やり飲ませましたよ!!
いやぁ~、あの苦しみ方と言ったら・・・・
・・・おっほぉん!!
そんな噂を聞いただけでした。
決して私がやったのではなくて、噂として聞いただけでしたね。
私が領主の方へと目を向けると・・・
ゆっくりと鞘から剣を抜く領主の姿が映るのですが・・・
・・・おやぁ~?
何でしょうか・・・あの・・・もや!?
鞘から抜いた剣にはなぜ靄が付いていた!!
っていうか、鞘から黙々と靄が湧き上がってきている!?
・・・私が使った時は・・・うぉおほぉん!!違った!!
話で聞いた時は、あんな靄が出ることなんてなかったんですけどね?
血で溶かしたのがまずかったのでしょうか?
血で溶かしてしまったせいで何かいけない化学反応が?
・・・まあ・・・
被害を被るのは領主ですし、いいでしょう!
それにものすごく満足げな顔を領主もしているし!!
あの靄が出ている絵図がいいんでしょうね領主にとっては!
・・・なんて単純な・・・
それに進行役ももちろん、相手のグンテ殿も驚いてますしね!!
結果オーライで!
いよいよ、決闘が再開された!
靄が立ち上る剣を前にして、グンテ殿は緊張した面持ちで構えている。
まあ、初見で見たら間違いなく警戒しますよね・・・
そんな緊迫した空気の中、進行役がグンテ殿に、
「先ほどの反則をしたグンテ殿・・・
バリティッシュ男爵様が動き出すまで、動かないでください!!」
「な!?」
驚いた表情を浮かべるグンテ殿!
それもそうだろう。
当然、あの怪しい靄が発せられているのだから、
その効果が現れる前に何とかカタをつけようと先制を考えていたに違いない!
それを禁止されたのなら驚くだろ。
・・・その言葉を聞いてニヤニヤしているうちの領主は・・・
完全に悪役にピッタリですね・・・
二人の距離が動かずとも、お互い一撃を入れれる距離まで詰めて構えをとらせる進行役。
動き出したらということで、相当にうちの領主に有利な位置での再開していますね・・・
当初の距離であれば、動き出したらというのなら、
一歩前に動いたら動き出しと判断できるものの
今の距離では間違いなく一撃を加えようとしたらの距離になっている。
それに・・・
それをしっかりと理解して、上段にソウルイーターを構える領主。
・・・卑怯とかはまったく思わないんでしょうかね?
だって、その構えだとだと、剣を振り下ろしが、動き出したらに該当しますよね?
・・・それを防げと?
しかもちゃんとグンテ殿の方は剣を鞘に締まった状態にしていますからね・・・
どこまで卑怯なんですか!?
・・・いや、いっそ清々しいですけどね。
そこまで徹するなら・・・。
いよいよ再開される決闘?公開処刑?を見ている観衆は、
固唾を飲んで見守っている。
一撃で決まる!!
皆がそう思っている!!
むしろ公開処刑のように皆が思っているのではないでしょうか!
グンテ殿は、ものすごい緊張が漂っている。
何とかして一撃目を防がないといけないのだから当然だ!!
それに対して、余裕の領主・・・
これだけアドバンテージを貰ってればそうなりますよね・・・
いよいよ刻は決する!!
「行くぞ!!」
そう言う領主!!
・・・何でわざわざ声を出すんでしょうかね?
わざわざ声をかけると・・・ああ、一段と緊迫した空気となるグンテ殿!
自分がわざわざ攻撃するタイミングを
教えてしまったことにやっと気づく領主!
「くぅ!!」
そこで止めればいいものを動き出すのであった!!
「死ね!!」
そう言って、剣を振り下ろすのだが・・・
遅い!!
何で振り下ろすだけなのに、一旦後ろに引いたよ!
そんな動作をとるから・・・
カキーン!!
見事に防御されてしまうんですよ!!
驚愕の顔を浮かべる領主ですが・・・当然ですからね!!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




