38話目
王様から告げらた、
「グンテを・・・確実に殺せ!!!」
その言葉に俺にものすごい衝撃が走る!!
王様から暗殺命令ってどういうこと!?
しかも王国の中心人物をですか!?
「こ、殺せ・・・ですか・・・。」
「うむ。それも・・・確実にだ。」
・・・と、とんでもない現場に居合わせたんですけど!?
え?しかも確実にって念を押される始末なんですが!?
きっと俺の驚きの表情を察してか、
王様が今までグッと力が込められていた手は緩められており、
優しく俺の肩の上にのせられるようになって、
そして労わるように肩を軽くたたく仕草へと変わった。
「グンテはのう・・・変わってしまったのだ。」
「・・・か、変わって・・・しまったのですか?」
「ああ・・・。
ドラゴンスレイヤーという称号を授けてからあやつは傲慢になってしまった。」
ああ・・・なるほどな!!
よくあるやつだ!!
ちょっと立派な肩書を持ってしまって、天狗になるやつだな!!
しょうもない人間がなりそうだな!!
『ご自分のことですか?』
俺はその言葉を聞いた瞬間にあたりを慌てて見回す!?
今の声は間違いなくサーターの声!!
どこにあいつがいるのだ!?
慌てて辺りを見回すがサーターの姿はどこに見られない。
・・・寝ぼけてでもいたのだろうか?
「どうしたのじゃ?」
「あ、いえ、大丈夫です。」
王様の声にハッと我に返る。
そうだ、今目の前にいるのは王様とその取り巻きだけだ。
サーターがこの場にいるはずがない!
「グンテはのう・・・私に忌々しいことを発言してくるようになったのだ。」
「なるほど・・・。」
やっぱりグンテと言う奴は天狗になって、王様に何やら上から目線で告げたのだな!
それなら、殺されても仕方がない!!
「最近でもな・・・。」
そう言いながら、俺の肩から手を離して、窓際へと歩いて行く王様。
そして歩きながら語ってくれるのである。
「王都内の視察をしている最中に、脇道から追いかけっこをしていた2人の子供が
遊びに夢中となってしまい、私の前に飛び出してきたのだ。
その2人の子供を・・・グンテが捕らえたのだよ。」
「なるほど!」
そうか、たかだか子供が飛び出してきたくらいで捕らえるとは、
そんなに技量の狭いことを思ったのだな!!
俺が納得していたことに王様は言葉を続ける。
「そしてグンテは捕らえた子供達を笑いながら、
民がひれ伏せている場所に戻したのだよ。」
・・・ちょっとグンテさんの行動が俺の思っていたのと違う・・・
え?牢屋に入れたとかではなくて?
民衆がいるところまで連れて行って戻したってこと?
それなら普通の騎士のように思えるのだが・・・
あと気になるのは、視察の時って民衆ってひれ伏せさせるんだっけ?
ちょっと疑問が湧いてくるのだが、その疑問を口にすることはない。
「私が・・・
殺せ!と命令したのにも関わらずな!!」
・・・
あれ?おかしいな?俺の耳がおかしくなったのではないだろうか?
今・・・
“殺せ!”って言いませんでした?
いや、だって、たかだか視察中に列の前に飛び出しただけですよね?
え?
それで死刑?
いやいや、おかしいでしょう!!
あ!?
これ、俺の聞き間違いだ!
きっとそうだ!!
そう自分で納得しているとまだ王様の話は続いており、
「先日、大商人の1人が御前に来て、私に贈り物を渡してきたのだ。」
ああ!やっぱり王様になると大商人から贈り物を貰うのですね!!
羨ましいな~!!
俺もいつかは大きな領地を持って、そんな甘い汁を吸いたいな~・・・
「だから、私はその見返りに大商人が欲しがっていた土地を
大商人に貸しつけようとしたのだがな、それをグンテが止めるのだ。」
「なるほど。」
王国の土地なら王様の権限で自由に出来るのに
それを制止しようとしたのですね!!
それは出過ぎた真似をしたんだな・・・・
「その土地には民が住んでいるからと言ってな!」
・・・え?
「私が、そんなの立ち退かせればいいだろうと言ったのに、
それにも賛同せずに1人私に反対をしてきたのだよ・・・。
王命を聞かない騎士など・・・。」
そう言いながら、控室に置かれていた花瓶を手に持つと・・・
“ガシャーン!!”
思いっきり振りかぶって壁に投げつけたのである!?
そんなに怒ってるの!?
いやいや、グンテの発言の前に王様の発言の方がおかしいんですけどね!!
え?
住民をどかせるって!?
そもそも王国の土地かと思ったら、違うんですね・・・
それを無理やりどかせるって・・・
俺が唖然とする中、王様の怒りは収まらないようで
次々と発言がとんでもない発言が飛び出してくる!!
王妃が服や宝石を欲しがるから税金をもっと増やそうとしたのを諫められたり・・・
大臣が気に入った女が王都にいたから、
夫がいるにもかかわらず無理やり奪おうとして諫めたり・・・
兵士が賄賂を貰って、犯罪者を見逃していたのを咎めたり・・・
・・・それ・・・
アウトです!!
それ絶対にアウトです!!
それグンテさんが正しいです!!
え!?
そんな真っ当な人を俺に殺せって?
自分達に都合が悪い人間だから?
しかも今回の決闘であれば、なんのやましいこともないから
殺しても問題ないからって!?
いやいや、その考えが問題でしょうに!?
この王国の良心を殺したらこの王国どうなっちゃうんだよ!?
そんな恐ろしいことできるわけない!!!
俺は何とか決闘を中止にするか、もしくはソウルイーターを使わないようにするのを
提案しようとしたのだが・・・
「ブリティッシュよ・・・
グンテを確実に殺すのだ!!」
その言葉に俺は・・・
「かしこまりました。」
だって!恐ろしいんだもん!!
王様も大臣も兵士も俺に並々ならぬ殺気を込めてくるんですけど!?
・・・自分・・・
長い物には巻かれろタイプなんっス!!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




