34話目
・・・哀れな男ですね・・・あの男は・・・
あんな鍛冶職人の見習いが造った剣に太鼓判を押すことになるとはね・・・
まあ、正直な目利きの感想なんて言えないでしょうけどね。
こんな御前の前で正直な目利きの感想なんて言おうものなら、
鑑定力なし!!
この男に宮廷鍛冶師筆頭なんて相応しくない!!
そう言われるのは間違いないでしょう。
むしろそれで済めばいい方で、
あの王様の殺気・・・
間違いなく自分の希望通りの回答以外を言おうものなら・・・
殺してましたね・・・
・・・最悪だな・・・この王国・・・
どれだけ暴君なんでしょうか・・・あの王は・・・
そしてそんな哀れな宮廷鍛冶師筆頭の言葉を聞いて、
喜んでいる王様と貴族達・・・
更にドヤ顔をする我が主であるルイス・フォン・バリティッシュ男爵・・・
何であんなにドヤ顔ができるんでしょうね?
うちの領主はいったい・・・
そもそも使っていて気づかないんでしょか?
自分が使っている剣がナマクラだってことに?
というか・・・
そもそも毎回戦いがある度に、あの剣が新品の物に変わっていることに
使っていて気づかないって、どんな神経をしてるんでしょうかね?
し・か・も!
“俺の愛剣だ!!”
そう言って、いつも後生大事に抱えているというのに、
すでにあの剣は4本目に変わっているんですけど・・・
猪の魔物
ゴブリン
そして、魔人
その度に剣は曲がったり折れたり粉々になったりしているから、
コソコソと代えているんですけど、よく気づかいないですよね・・・
いや・・・領主だから当然か!
納得!
だいたい持った時の重さが毎回バラバラなんですけど・・・
柄に至っては、装飾が違うものすらありますけどね?
刀身の長さもバラバラだし・・・
それでどうして・・・気づかない?
剣を抜いて、毎日の日課として毎晩、
「愚民ども・・・俺の名前を言ってみろ!」
そう言いながら、顎を上げて、勝ち誇ったような顔をする。
・・・あれって決め顔ってやつでしょうか?
ただ単にくしゃみが今にも出そう!ってわけじゃないんでしょうかね?
毎日やっているので、そうではないんでしょうけど・・・
だったら、わざわざ目を瞑って、口を半開きにしないで欲しいです!
紛らわしいったら、ありゃしない!!
その後、剣を前に突き出して、
「ほら、言ってみろ。」
そう言われておりますが・・・
私には見えない何かがそこにいるのでしょうか?
もしくは・・・
馬鹿にしか見えない霊でもそこに?
まあ、たぶん何かを想定していると思うのですが、
その想定だとたぶん捕まった囚人の首筋に剣を当てて、
恐怖に駆られた状態にした上で、領主の名前を言わせてるんでしょうけど・・・
ちょっと心が歪み過ぎてないですかね?
もしくは・・・そんな危ない性癖が?
・・・そんなプレイを女性に求めたら、絶対に逃げられますよー!
あ!?逃げられてましたね!!
いや、まあ、あれは無理やりでしたから逃げられても仕方ないか・・・
殺されなかっただけ良かったですからね!
あの時の名主・・・私が止めなかったら、間違いなく殺しに来てましたよ!
・・・ちょっと話が脱線してしまいました。
普通、仮想で想定するのなら、そんな囚人をいたぶるような想定をするのではなく、
敵などを想定して、打ち負かすような想定をするのではないでしょうか?
・・・あ!!
無理でしたね!!
そんな根性も勇気もない、更には力もない最低な領主でした!!
納得!
それで囚人想定か!!
なるほど!そこまで考えきれてませんでした!
そしてその後に、剣を思いっきり振ってから、
「ふ・・・またつまらぬものを切ってしまった・・・。」
って、セリフを吐いて剣を鞘に戻されてますよね?
・・・いや、もうお腹いっぱいなので、
セリフについてのツッコミは割愛させていただきます。
ただ!!そんな日課をこなしているにも関わらず、
その剣が度々変わっていることに気づかない?
何でしょう・・・
頭の回転が鈍いと重さを感じる機能や剣を見る機能も
低下しているものなんでしょうかね?
私としては、
「ソウルイーターは生きている剣なので、時にその姿・形状を変えるのです。」
という言葉を用意しているのに・・・
一度も使わずにいるのですが・・・
領主は少し馬鹿がいい・・・そういう格言もありますし、
確かに操りやすいのでいいですよね。
これからもずっとそのままでいてくださいね・・・
生暖かい目で領主と宮廷鍛冶師筆頭を見守るのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




