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33話目

俺の名前はアレックス・ロドリゴ!


王都エトワールでは、俺のことを神のゴッドハンドと呼ぶものがいたり、

この世に並ぶ者なし!と呼ぶものがいる鍛冶師だ!


自分で言うのもなんだが、俺は腕がいい・・・王国で一番の鍛冶師だと自負している!


当然それほどの腕を持っているのだから、

宮廷鍛冶師筆頭という役職もいただいている。


さらに鍛冶の腕もそうだが、俺の鑑定眼もまた王国一だと自負している!!


そんな俺の手に今、一本の剣がある・・・


その剣は王様のご命令で鑑定を依頼された剣であり、

現在、その王様の御前で受け取ったものだ・・・


今いる場所は王の御前であり、周りには宰相・大臣はもちろんのこと、

王国を代表する面々がおり、こちらを固唾を飲んで見守っている・・・


なかなか緊張する状況ではあるのだが、

宮廷鍛冶師筆頭という役職についている俺にとっては、

緊張というものはまったく無縁である。


そう全く無縁のはず・・・なのだが・・・



手に持っている剣を俺は一目見て、



“なんだこのガラクタは?”


まずは剣としてのバランスが悪い!!


そして、刃の部分についてはナマクラか?というくらいにガタガタで、

研ぎも十分に出てきていないため、なかなかモノがキレるような状態じゃない。


っというか、豆腐を切ろうとしてもキレずに潰してしまうんじゃないだろうか?


それに下手に少しでも固いモノを切ろうとすると、

このガタガタの部分が引っかかってしまって、

そこから変な力が加わり・・・


折れるぞこの剣!?


うちの10歳の息子が、先日打った剣・・・


まあ、どう贔屓目に見てもひどい剣であったが、

その剣よりも数段劣る剣だ・・・


うちの息子の剣・・・というよりかナイフかな?

リンゴの皮むきなどは出来る代物になっていた。


だけど・・・


だけどさ・・・


今、手に持っている剣は・・・


リンゴの皮をむこうとしたら、折れる可能性があるほどの剣である!?


ちょっとまてよ!!


うちの息子の作ったナイフよりもひどいモノがあるなんて・・・


それが・・・


俺の正直な感想である。


だが・・・


そんな俺の感想が・・・許される状況ではないのは分かっている・・・


この剣は・・・あの!!



“ルイス・フォン・バリティッシュ男爵”の愛剣なのだ!!


その名も



“ソウルイーター”


そう呼ばれている剣なのである!!


どんな人でも、いやどんな魔物ですら、

この剣で一撃で殺せると言われている伝説級の一品だ!


そんな伝説級の剣を前に俺の眼は・・・


ポンコツの剣以外なにものにも見えないのだけど・・・


・・・あ!?


もしかして、魔力を込めたら何かあるのか?


そう思って、先ほど魔力を込めてみたのだが・・・


何の反応も示さず!!


というか・・・


刀身にヒビが入っちゃったんですけど!?


マジかよ!?


危うく俺の手で木端微塵にしてしまうところだったぜ・・・


王様の目の前で・・・


そしたら、俺自身が木端微塵にされていたな・・・


・・・ピシ!っていう音、誰にも聞こえてないよね?


・・・どうしよう・・・これ・・・


王様の期待の眼はヒシヒシと感じている・・・


固唾を飲んで見守る貴族の方々・・・


その視線を感じて、俺は分かっているんだ・・・・


どれほど素晴らしい剣であるのかを

俺の口から言って欲しいと言ってほしいのかを・・・


そう・・・宮廷鍛冶師筆頭である俺の口から言われてこそというのも分かる・・・


だけど・・・


だけど!!


それを俺のプライドが言わせないのだ!!


だって、オンボロだもん!!


こんなクソ剣を褒めるなんて出来るわけがない!!


鍛冶師としてのプライドが許すわけがない!!


よし!!


決めた!!


オンボロと告げよう!!


だって、実際オンボロでしかないのだから!!


俺はスッと顔を上げて王様に真っ直ぐと視線を捧げる・・・


そして・・・



「ロドリゴ・・・いかがだ・・・この剣は?」


なんと先に王様から声をかけられるのだ!!


先を制されてしまって、言葉に詰まってしまう!!


そして、言葉が詰まったことで・・・俺はあることに気づいてしまうのだ!!



「・・・はい・・・この剣は・・・素晴らしい剣でございます。

 この世に二つとない・・・剣にてございます・・。」


俺が発した言葉を聞いた周りの人間が一斉に歓声を上げるのであった・・・


王様もご満悦の顔をしている・・・


俺は・・・ウソをついてしまった・・・


プライドを曲げてまで・・・


だけど・・・


王様のあの殺すような視線を浴びて、この選択肢以外ありえないだろう!!


何だよ!!


あの完全に俺を殺すように見てきた視線は!?


顔は笑顔でも・・・目は全く違うじゃないか!?


俺があそこで何か変なことを言おうものなら間違いなく殺されてたし!!


これからの家訓・・・


長い物には巻かれろ・・・テヘ。



俺はアレックス・ロドリゴ。

宮廷鍛冶師筆頭の役職を持つ王国一の鍛冶師だ!


・・・王様が馬を指して、「鹿」だと言えば、喜んで尻尾を振って、

「鹿です!」という男である・・・


どこまでもついていきますぜ~王様~~~!



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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