260話目
「はぁ・・・はぁ・・・これで・・・最後です!!!」
アイリーン様の拳はごぉおおおおっといったうなりを挙げながら
ゴブリンに突き刺さった!
その振り出された拳は捻りを入れられており、
俗にいうコークスクリューであった。
ゴブリンが持っていた木の盾で
その拳を防ごうとしたのだけど
そんなモノで防げるようなやわなモノでなかった!!
見事に木の盾を砕いて、
そのままゴブリンの顔にクリーンヒット!!
そして、それでとどまるアイリーン様の拳ではない!!
「グギャァああああ・・ぶふぅうう!!!」
ゴブリンの顔にめり込んでいき、
しまいにはゴブリンの顔を見事につぶしていくのである!
・・・あなたの拳はハンマーか何かでしょうか?
そんな疑問が沸いてしまうほどの威力を
まざまざと見せてくれるコークスクリューパンチ。
「はぁ・・・はぁ・・・フルートが・・・ゴブリンの犠牲に・・・。」
そう言いながら手のひらにあるグニャグニャになったフルートを
慈しむように撫でているアイリーン様・・・
そうしたのはあなたですよ!?
そもそもフルートを握る必要ないでしょう!?
そのフルートもそうですが、
ゴブリン達に突き刺さっているフルートも
本来の使われ方以外の使われ方をして、
本当に無念だと思いますよ!!!
・・・私は使用人ですから口には出しませんけど・・・
「・・・ところでイリス様は?」
戦闘が終わり、無事に商人の娘を保護したため
この場にいない人物について思い出しました。
森のほうへと視線を向けるのですが、
一向に森から出てくることはありません。
保護した娘を軽々とお姫様抱っこをして歩くアイリーン様。
・・・その持ち方で街までもどるのですか?
っと聞きたいですが、もうここまで来ると
驚かないので聞きません。
私は、そちらを向いたら負けだろうと思ってしまい、
一切見ることなく先ほどまでいた森の中へと
歩いて行ったのであった。
「・・・気絶されていたのですか・・・。」
大の字になって白目をむいて倒れているイリス様を見つけるのは
すぐにできた・・・
乙女として・・・
この姿を人目にさらすのはあまりにも忍びないですね・・・
私はそのままイリス様を担いで、
皆と共に戻るのであった。
本当は転移魔法でイリス様を送ろうと思ったのですが、
うちの屋敷には犯罪者がおりますので、
イリス様が気絶していることを幸いとして襲いそうな輩がおりますから・・・
別段捕まってくれてもいいかと悩んだ末、
苦渋の決断で背負って帰ることにしました。
・・・領地を王国に返納するとかなると
本当に残念ですからね・・・
・・・私の希望もそろそろ・・・
その帰り道のことであった。
「・・・ゴブリンというのは・・・本当にしつこい!!」
森を抜けてやっと街道に出たと思った矢先に
ゴブリン達に襲撃されたのである!
間違いなく伏兵のように待ち構えていたのだろう!!
ちょうど森をでてその街道にたどりついた時を狙われたのである!
今度のゴブリン達は先ほど討伐したゴブリン達とは違い、
オオカミに跨るゴブリン達であった!!
その移動速度は当然早い!
こちらが隊列を組もうとしている間にも距離をドンドン詰めてくるのである!!
ここで、先ほど起きて
私に担がれていることに赤面しながら
私の背中から降りたイリス様が、
「任せてください!!」
そう言って、今度は颯爽・・・颯爽?ドスドスと前へと出るのであった。
「イリス様!!」
私が先ほどの失態から残念な子であることを理解しているので
すぐに戻るようにと思って声をかけたのだが、
「こちらに来ないでください!
危険ですからね!!!」
そう言て、私たちが近寄るのを制止するのである。
「しかし!!」
そう言ってイリス様に近寄ろうとした時であった、
「大丈夫です、イリスはやってくれます。」
私の肩を掴んで、前に行くのを止めるアイリーン様。
その力強い言葉・・・
まったく信用できないのですけど!?
「・・・ポンコツって言いましたよね?」
先ほどアイリーン様が言った言葉が口をつくと、
「・・・ダメでしたら、次は私が行きます。」
そう言って、また谷間からフルートを二本取り出して
それぞれの拳で握るのであった。
・・・それ・・・フルートいらないですよね?
思わずそう口にしようとした時にイリス様が叫びながらゴブリン達に突進した!!!
「死にたい奴から前にでな!!!殺してやるからな!!!」
・・・ガラガラと私の中のイリス様像が崩れていくのであった・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




