25話目
「これからどこへ向かうのだ?」
「まずは役人のいる役場へと向かい、
拝命式をしてもらうにあたっての手続きをしてもらいましょう。」
「うん?そのまま城に行くのではないのか?」
「弱小貴族が訪城したところで、王が即会ってくれることはないですよ。
それも拝命式までしてくれるなんてことは間違ってもないです。
領主様の拝命式は・・・良くて大臣級、たぶんそれ以下の取り巻きの貴族が
代わりにやってくれるのではないですか?」
「・・・何か侮辱されている感じがするのだが?」
「そうはいっても、向こうはこの王国を治める王様。
こちらは小さな、それはそれは小さな村を治める領主代行。
その差は歴然とされておりますが?」
「・・・サーター・・・お前の言い方に悪意を感じるのは気のせいか?」
「事実を述べたまでですが?」
「そうかもしれないが、言い方ってものがあるだろうに・・・。」
「はぁ~・・・それでは、人口100人・・・いえ、最近やっと150名にまでになった
バリティッシュ村を治めておられるルイス・フォン・バリティッシュ様と・・・。」
「もういい!もういい!!それ以上言うな!こっちがむなしくなってしまうわ。
はぁ~・・・分かった。十分に理解した。
俺程度の階級では王様に会うことすら叶わないんだな。」
「おっしゃる通りでございます。所詮下級も下級の貴族でございますから。」
「・・・その下級にお前は使えてるんだぞ?」
「・・・今回を機に、少々お暇をいただいて、次の勤め先を探して・・・。」
「ダメだ!お前に暇などあたえない!!暇を与えようものなら
絶対にお前は戻ってこないだろう!!」
「・・・それは買いかぶりすぎかと・・・。」
「いいや。これ幸いに逃げる!それは断言できる!」
そういうとサーターはニヤリと笑うのだが・・・
その笑みが黒い黒い・・・
完全に悪意に満ちた笑みをしている・・・
こいつ・・・気をつけないと俺を完全に見捨てるつもりだ・・・
何より俺の発言を否定しやがらない!!
「あ!役場が見えてきました。それでは私は一度役場に行って、
手続きをしてまいりますので、
領主様はこちらに待機しておいてください。」
「!?いや、お前をはなすわけには・・・。」
「大丈夫ですよ。・・・まだ・・・お仕えさせていただきますので。」
「今、まだっていったな!?まだって!!」
「それでは行ってまいります。」
「ちょっとまて!俺の質問に答えろ!!まだって言ったよな!!」
俺の発言を全く無視して、手紙を持って役場の中へと入って行くサーター・・・
どうしよう・・・
このままあいつが戻ってこなければ・・・
そんな一抹の不安を抱えながらサーターを待つこと30分。
サーターが無事に役場から馬車へと戻って来るのであった。
「どうだった?」
「はい、我々は運のいいことに、今日すぐにでも拝命式を行っていただけるようです。」
「そうなのか!?」
「ええ、他にも拝命式をする貴族がいるようで、
それに合わせてやるみたいです。
ですので、お城の方へと向かいましょう。」
「・・・完全についでじゃないか・・・。」
「ええ、まさにその通りです。」
「・・・俺の気分を害するのだが?」
「・・・で?」
「で!?いやいや、まて主人が気分を害するっているんだぞ!?
それにお前の主人が完全についでとして扱われていることに
不服はないのか!?」
「え?特には?」
「・・・お前・・・俺を主人とちゃんと思ってるのか?」
「・・・まあ・・・一応・・・。」
「まあってなんだ!?それに一応ってなんだよ!?
俺はお前のしっかりとした主だ!!いいか、俺がお前の主なんだ!!」
「・・・はぁ~・・・。」
「なんだよ!その覇気のない返事は!!!そこはハイだろう!!」
「・・・はぁ~・・・。」
「だから!!俺がいってる・・・。」
俺が注意をしようとしたところに被せるように発言をしてくるサーター!
「それでは時間がありませんので、すぐに向かいますよ。
それと、馬車の中に一応、一着だけ正装を
用意してありますので、着替えてください。」
「ちょっとまて!?動き馬車の中でか!?」
「それじゃあ、行きます。」
そう言って、馬の手綱を掴んで鞭を打ち出すサーター!
「ちょっと待て俺のはなしを・・。」
そう言いかけたところで、急に発進しだしたため
俺は足がもつれてしまい、派手に転ぶのであった!
派手な音が荷台の中に響き渡るのだが、
それでも馬車の動きは止まることなく進むのであった・・・
せめて、大丈夫ですか?の一言があってもいいのでは!?
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




