251話目
「・・・仲が良いことはいいことですが・・・。」
俺と女査問官アイリーンが仲良く屋敷を出てきたのを見て
イリスが驚きとともに、釘を刺すかのようにアイリーンに告げる。
「そんな・・・恋人みたいだなんて・・・ウフフフ・・・。」
・・・イリスは決して恋人同士というセリフは言ってないし、
なんでいきなり恋人ってことになるんだ?
というか、こいつ・・・
もしかして俺のことが好きなのか!?
いやぁ~・・・たとえ相手が筋肉だるまだと言っても
好意を向けてもらえるのはちょっと嬉しいな・・・
思わずニヤリと笑顔がこぼれそうになるのだが、
それを表に出さないように気を引き締める。
「そうですね。仲がよろしいようで。」
イリスの言葉にサーターも同意するのだが、
「そんあ・・・夫婦だなんて・・・ウフフフ・・・。」
・・・なんか・・・格上げされてないか?
さっきまでは恋人って言っていたのに
次には夫婦になっているのだけど?
それに“みたい”とついていた言葉が
“だ”と断定の言葉に変わってますけど??
・・・好意を持ってくれることはうれしいが・・・
って!?
俺はハッとする!
以前の俺であれば、女はまずは顔!顔!顔!
顔が俺好みでなければ
女としても扱っていなかったのに・・・
・・・いや、体がよければ・・・まあ、受け入れてもいいが・・・
お、おほん!
好みの女のみを受け入れてきたというのに
なぜこんな筋肉だるまを俺は受け入れているというのだ!?
顔・・・まったく好みではない・・・誰がゴリラを好きになるのか?
身体・・・抱きしめられたら、俺の身体が粉々になりそうだ・・・
大木のような感じのアイリーン・・・
うん、どう取ってもないね。
全く趣味ではないというのに
どうしてその好意を受け入れているんだ俺は!!!!
自分のことに愕然としていたのだが、
「・・・ショックを受けるのはいいですが、
今から領主様が望んでいた街を見回りに行くのですが・・・。」
サーターがため息をつきながら
本日の予定を話てくれる。
「・・・そう言えばそうだったな・・・。」
今日はイリスたちもいるから、
俺の良いところを見せたい・・・あのゴリラと一緒の部屋に一日中いるのは
ココロが折れる・・・と思って、
サーターに指示をして街の巡視をする予定にしていたんだった。
「まずは・・・何を見に行かれるつもりですか?」
「・・・え?」
サーターに聞かれるのだが、そんなどこに行きたいなんかは
俺が知っているわけがない!
「・・・それではまずは街の中の治安がどうなっているのかを
見て回りましょう。」
「それだ!」
俺はサーターの意見を即採用してやると、
「さぁ行くぞ!」
「・・・かしこまりました。」
行動の遅いサーターの尻を叩いて急がす。
サーターはいつものように馬車を用意しようとしたのだが、
それでは俺が仕事で活躍することが出来ずに
本当に街中を散歩しているだけになってしまうので、
今日は歩いて・・・は、体力的に厳しいので・・・いや、俺ではなくて
一緒に来るイリスだぞ!
アイリーンは・・・体力なんて腐るほどあるだろうから
なんの心配もいらいない。
俺の支持を受けたサーターは、
すぐにその場からいなくなりあるモノを引っ張ってきた。
「「・・・え?」」
イリスとアイリーンがキョトンとした顔をしてみている。
俺は満足げな顔をしてうんうんとうなづいているのだが。
「・・・これは・・・。」
イリスが漏れるような言葉を出すと、
それに返事をしたのはサーターで、
「人力車でございます。」
そう言って、引く部分から手を離して、
人力車をその場に止める。
「あ・・・いえ・・・それは、わかるのですが・・・。
どうして人力車なのかが分からないのですが・・・。」
その言葉に納得したようにうなづくサーター。
・・・あいつのことだ、うまく説明するだろう・・・と高をくくっていたのだが、
「バリティッシュ男爵様が馬をうまく操れないのです。
なので、視察に行く際には、馬車か、顔を領民に
知らしめたいときに人力車を使われるのです。」
「おい!!!」
ホントのことをそのまま伝えやがった!?
それをイリスの前で言うんじゃない!!!
「そ、そうですか・・・。」
呆れたような顔をするイリスに、俺は
「ち、ちがうぞ!これは・・・。」
何と言ったらいいのか言葉に詰まってしまうと、
「バリティッシュ男爵様のお顔を領民に見せて
安心させたいのです。」
「それだぁ!!!!」
サーター!!
その気の使いができるのなら、
最初から使ってくれてもいいじゃないか!!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




