23話目
「昨日は気づいたらベッドに寝ていたよ~!
準備も途中だったから、朝慌てて準備するハメになったわ。」
そう言いながら、笑う領主。
どうやら昨晩のことはキレイに忘れているようだ。
よかった、よかった。
「それでは、王都に向かいますね。」
業者なんて村にはいないため、私が業者の仕事もこなす。
領主は・・・無理だな・・・不安しかわかないですし・・・
一週間ほどの道程すべてを1人でこなすことを心に決めるのであった。
「あ、あれが王都エトワールか・・・。」
まだまだ、距離があるのに、俺の目に飛び込んできた城壁!
その大きさに思わず圧倒されるのである。
サーターから王都が遠目に見えてきたときいて、荷台から業者台の方へと顔を出すと
遠くにあるというのにも関わらず、大きな王都が目に飛び込んできた!!
「さようでございます。あれがこの王国の王都でございます。
まだあと2時間ほどかかるかと思いますので、
馬車の中でごゆっくりとお休みください。」
「いや、このまま見ているよ。
俺の村も必ずこのような立派な街にして見せるためにな!」
「さようでございますか・・・それなら馬車から振り落とされないように
気をつけてくださいませ。」
それだけを言って、また前を向いて馬の手綱を握るサーター。
俺はそのまま王都を・・・
「う、うわぁ!!!!」
そう叫びながら、思わず馬車の荷台からまえへと飛び出すのであった!!
ガシ!!
そんな音が聞こえるように・・・
業者台にいたサーターが・・・
俺の顔面を鷲掴みして受け止めてくれるのであった・・・
「あ!い、いたたたた!!」
「あ、すいません。つい・・・。」
そう言って、鷲掴みしていた手を離すサーター!!
「な、なんだ『つい』って!?今、絶対に力をいれたよな?指に!?」
「ええ、つい・・・。」
「何なんだ!?ついって!?そもそも、なんで捕まえるのが顔面で
しかも鷲掴みなんだよ!?
他にももっと掴みやすい部位はいっぱいあるだろう!?
腕や肩、今は体も出ていたんだから、そこら辺を掴むだろう!?
何でピンポイントで顔面なんだよ!?」
「ちょうど手に収まるサイズでしたので。」
「なるほどな!それなら仕方がない・・・ってなるわけないだろう!?
絶対にわざとやっているだろう!?」
「領主様・・・それならお聞きしますが・・・。」
「なんだ?」
「領主様は突然ボールが飛んで来たらどうされますか?
それがちょうど自分手に収まるサイズであれば?」
「たしかに・・・手でつかむな・・・。」
だ、だが、それに力を加えるのはどういうことだ!?」
「それなら掴んだボールはどうされます?
そのままではなくて、しっかりつかまれるのではないですか?」
「・・・掴むな・・・なるほど・・・そういうことか・・・。
確かにサーターの言う通りだな・・・。」
「人にあらぬ疑いをかけるのは止めてくださいね。」
「・・・分かった。」
「それでは今度こそ、気をつけてください。」
「・・・ああ。」
俺は返事をしながら、今度は荷台の取っ手の部分をしっかりと握って
気を取り直して王都エトワールをみるのであった・・・
その壮大な光景を・・・
また道行く人々が多くの荷物を抱えている姿を・・・
これほどの量の取引ができる街なのか、王都エトワールは・・・
そして・・・
道行く女性の可愛らしさに目を奪われるのであった・・・
荷台から見えるのは、乗合馬車なのだろう。
幌もなく、荷台に座っているだけの平民たちの姿があるのだが・・・
その平民の女性すら美しく見えるのだが!!!
ああ!!今、確実に貴族が乗っているであろう馬車が横をすれ違ったが、
そこから一瞬顔が覗かれた女性の何と美しいことだ!!!
俺は・・・
俺は・・・
この時を待っていた!!
この地を待っていた!!
ここから俺の伝説が始まるんだぁー!!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




