230話目
そこで俺はハッと気づいてイリスたちに視線を戻すのだが、
イリスからは明らかな軽蔑の視線が俺に注がれていた・・・
「あ、いや、そ、それは・・・。」
なんと説明したらいいのかを必死に頭で考えるのだが、
全く妙案が浮かばない。
それなのに・・・
「バリティッシュ男爵様は未亡人がお好みなのですね。」
サーターからのいやぁ~な指摘を受ける始末である!!!
「いや、あ、あそ、それは・・・。」
「あとは欲望って言葉が好きなんですね。
確かにバリティッシュ男爵様は欲望のままに
行動するのが好きですからね。」
・・・なぜか嫌な予感しかサーターの言葉を聞くとしないのだが・・・
そして、その嫌な予感は見事に当たるのであった!!
「毎夜の日課に修道女の沐浴を覗きに行ってますからね。」
・・・もう査問官たちの方を向けないんだけど・・・
凍えるほどの冷たい視線を横顔に感じるのだけど・・・
「それに・・・『ああ!!思い出した!クーズだろ!!思い出した!!』」
サーターが何かをしゃべろうとしたので、
俺は慌てて被せるように発言をする。
これ以上サーターに何かを言われて、いいことなど一つもない!
むしろ俺の立場がどんどん悪化していくことしか想像できないし!!
「それでクーズがどうしたというのだ?」
俺は思いっきり開き直って査問官たち・・・イリスの方を向きなおす。
・・・想像していたよりもひどいくらいの冷たい視線と頬の筋肉がちゃんと動いている?と
聞きたくなるほどの無表情・・・いいや、表情自体も冷たいな・・・
「・・・クーズ氏から、グンテ殿から依頼を受けたと言っております。」
・・・何をしてくれてるんだグンテは!
自分が王国では死亡されたことを理解していないのだろうか?
あいつめ・・・後できっちりと説教をしておかないとダメだ。
今回を何とかうまく逃げれたとしてもまたあるかもしれない。
そうならないために絶対に注意、いいややっぱり説教だ!!
「はて?グンテという方はおられませんが。」
本当に思いあたるふしがないように答えるサーターに
思わず
『役者だな~こいつは・・・。』
と感心してしまうほどだ。
「いない人物が依頼をするとでも?」
そんなサーターを睨むイリス。
だが、そんな睨みなど受けていないようにすました顔で、
「はい、いませんね。
ところで、そのクーズ氏に依頼をしたということですが、
いったい何を依頼したのですか?そのグンテ氏という方は?」
「それも聞いてあります。」
そう言いながら懐から一枚の羊皮紙を取り出して、
「ここにクーズ氏が依頼を受けたモノのリストを記載しております。
ええっとですね。
まずは王都産の赤ワインが2本、続いて干し肉がワンブロック、
そして、
“未亡人の濡れ濡れ絡み合い”
が一個、そして外套が1つ、王都産の白ワインが1本、
“未亡人の欲望のままn・・・”・・・え?」
そこまで読み上げたところで、やっと気づいたのだろう。
顔を真っ赤にして恥ずかしいのはわかるのだが、
それでも仕事のためだということを理解しているようで、
睨むように俺に対してを視線を向けた。
ほかの査問官たちも視線を俺に向けてくる・・・
たぶん、俺が後ろを振り向けば、
サーターもきっと俺に視線を向けてくるだろう・・・
「・・・なるほど・・・グンテ氏というのは、
未亡人がお好きなようですね?」
なぜか俺に対して疑問形で尋ねてくるサーター。
そこは俺に質問してくる場面じゃないよな・・・
「それに“欲望”を持っている未亡人が特にお好きなようで?」
だから、なぜ俺に尋ねてくるんだ・・・
「お、俺じゃない!俺じゃないからな!!」
そんな俺の否定な言葉も全く誰にも届かない。
「・・・グンテ氏の名を語って・・・。」
「自分の名前を出すのが恥ずかしいから・・・。」
「しかも注文のちゃんそしたモノとモノの間に
こっそりと潜ませているなんて・・・
思春期の男の子ですかね?」
・・・なぜかイリスだけからの指摘だけではなく、
味方であるはずのサーターからも指摘を受けている。
「グンテだ!これは本当にグンテの仕業に違いない!!!」
「・・・グンテ殿がいるということですか?」
し、しまったぁ!?
グンテはいないことになっていたのに、
言ってしまったじゃないかぁ!!!
「・・・お戯れを・・・。
我々はグンテ殿を知らないし、
ここにはグンテなる人物はおりません。
グンテ殿は王国では超有名人でありますから、
どこかで聞いたことがあってバリティッシュ男爵様が
語っているだけですよ。」
「・・・本当にそうなのですか?」」
「なら、お聞きしたいのですが、クーズ氏はグンテ殿にお会いしたと?」
その質問を待っていたかのようで、
目を光らせたイリスは、
「ええ!そうですとも!」
「お顔は間違いなかったのですか?」
「それは・・・何やら金ぴかな趣味の悪い兜をかぶっていたとのことで・・・。」
「それは・・・これですか?」
そういってサーターが取り出したのは、我が家に伝わる家宝の鎧兜であった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




