表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
229/266

228話目

「・・・本日は休暇の中、お時間を割いていただきありがとうございます。」


査問官たちを代表して一人の女性が深々と頭を下げると

それにつられてほかの面々も頭を下げる。


・・・これ・・・聞かれていたよね・・・


だって、この女、今休暇って言ったよ?



「・・・うむ、貴族たるものの務めだ。

 そなたたちも遠方より遠路はるばるこんな辺鄙な領まで

 ご苦労であった。」


もう開きなるしなかいな。


そんな俺の言葉に、笑顔で返してくれる査問官・・・


あれ・・・


どうしたことだろうか・・・


俺の声が遅れて出てくるぞ・・・



「・・・ここまで・・・遠いいところを・・・ご苦労さま・・・であったな。」


なぜか自分の頭の中に流れる言葉と

口から出る言葉がワンテンポ遅れてしまう。



「・・・そのセリフは先ほど言われておりますが?」


不審そうに俺にそう告げるサーター。



「・・・ああ・・・そ・・・そうか・・・。」


俺は気づいてしまった・・・


目の前の女性査問官・・・が・・・


俺のハートをロックオンだ!!!



「・・・古いですよ、その言葉・・・。」


「はぁ!?ど、どうして俺の言葉が聞こえてるんだ!?」


「それよりも、こんなところで査問官様達を立たせておくわけにはいきません。

 執務室にお通ししたらどうですか?」


サーターに言われてハッと気づいた!

そうだ、まだお互い扉の前にいたのである!



「・・・これは・・・失礼・・・した・・・『スパコーン!!!』」


見事な音が部屋の中に響いていく。

片言の俺に対して、



「何、一人腹話術をやられているんですか?

 せめて手に人形でも持ってやってください。」


どうやら何かで見事に頭をはじかれたらしい。

痛みはないけど、頭を何かが当たったのは感じる。



「そ、そう『どうぞ、こちらへ。』」


俺の言葉に被せるようにサーターが査問官たちを

執務室内に招き入れると、その言葉に従うように

査問官たちは執務室の中へと入ってくるのであった。


・・・俺は招いてないんだけど・・・


ソファーに座るように促すサーターに従い、

査問官たちはいそいそとソファーに座る。



「ルイス様はこちらに。」


そう言って、俺はあの美人査問官の対面の位置に座るように促されて

ちょっと足取り軽く座る。

その俺の後ろにスッと立つサーター。

うんうん、ちゃんと主を敬えるじゃないか!



「ところで、今回はどのようなことがありまして、

 バリティッシュ領へとお越しなのでしょうか?

 手紙には具体的な内容が書かれておりませんでしたので

 対応が難しいのですが・・・。」


サーターが美人査問官に尋ねると、美人査問官は、



「手紙ではお教えすることは難しいことです。

 そもそも査問官が来るという意味はご理解されておりますか?」


「ええ、こちらに何かあったということで

 確認をされに来たのかと思いますが・・・。」


「そうです。

 我々のところにある情報がもたらされまして

 その真偽を確認するためにこちらに来させていただきました。」


「そのような嫌疑をかけられるようなことを

 我々はしているとは思いませんが・・・。」


「皆、最初はそうおっしゃります。

 ・・・正直に言って我々が来たということは、

 ある程度の確証を得て、こちらに来たということです。」


そうハッキリと断言してこちらを睨みつけてくるのだが・・・


睨んでくる美人査問官も・・・いいな・・・


ちょっと興奮してしまう・・・



「・・・その笑みは・・・しっかりと隠されているということですか?」


「え!?」


美人査問官の冷たい睨みに興奮して

笑みを浮かべていたとは口が裂けても言えないので

どう言おうかと思っていたところで、



「バリティッシュ男爵様は、こちらに叩けども埃が出ない身であると

 わかってらっしゃるので無駄なことをしに来たなぁ~と思って、

 笑みを浮かべてらっしゃるのです。」


「・・・それはどうですかね?」


「疑っておられるようですね。」


肩をすくめるサーターを睨む美人査問官。

だが、サーターはそんな視線を全く気にもせずに

サーターが何しに来たのかを尋ねる。



「それではこうして顔を合わせたのですから、

 我々が何かする時間もありません。

 ですので、要件をおっしゃってもいいのでは?」


「・・・まずは一つ目ですが・・・。」


そう言って、おもむろに羊皮紙を出してきて、

封を切ってからこちらに差し出してきた。



「こちらの領内に・・・

 反逆者である“グンテ”が生きているということですが?」


差し出された羊皮紙にはグンテの顔が描かれていた。


その絵を見た瞬間に、俺は口に当てていた紅茶を

思わず吹いてしまうのであった。



「ぶふぅううう!!!」


・・・それはそれはきれいに美人査問官にかかり、

さらには羊皮紙もきれいにかかったのであった・・


・・・あ、なんか虹がでる・・・


これって幸運が訪れるのかな・・・俺はすでに一人現実逃避をするのであった。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ