21話目
「話は戻しますけど、その手紙の中身をご覧ください。」
「・・・無理!!俺、これ開ける勇気がない!!」
そう言いながら、手紙は机に投げおいて、自分はイスにしがみつく・・・
しかも、机の方を見ないように後ろを向いた状態で・・・
「・・・なに、嫌がっているんですか・・・子供じゃあるまいし・・・。」
ため息交じりに領主に注意するのだが、
「い・や・だ!!
こんな恐ろしいモノ開けたくない!!
よし!これは見なかったことにしよう!
そうすれば何もないのだからな!」
「・・・それは無理でしょう?それに王国からの手紙を無視する方が、
後々痛い目にあう可能性がありますよ?」
「・・ふぬぬぬ・・・わかった・・・・じゃあ、代わりにサーター!お前が開けてくれ!
そして中身を確認して、都合の悪いことが書かれていたら、そのままお前の責任で捨ててくれ!
私は見ていない!王国から使者がきたら、サーターが捨てたと言えるようにしたい!!」
「・・・私にすべての責任を?」
「・・・お前は私の使用人なんだ!使用人は主人の命令には絶対に従うんだ!!」
怒気を込めて私に罪を擦り付けてくる領主に思わずグゥで殴りたくなる気持ちを抑えて、
・・・呼吸を整えた後に、手紙へと手を伸ばす。
手に取って手紙を確認すると蝋で封をしているが、
そこい押されているのは紛れもなく王国の家紋である。
パキ!
ついに蝋の封を割ると、領主はイスの上で丸まって、耳を手でふさぎ、
目を瞑って振るえているのであった・・・
・・・領主は何か王国に対して悪いことをしたのでしょうかね?
・・・ああ・・・そう言えば、前領主を毒殺したな・・・
それがバレたとでも思っているのでしょうか?
私にはここに書かれている用件はすでに分かっているため
何の躊躇もなく、手紙を開いていく・・・
・・・やっぱり・・・
私は中身を確認して、また手紙を丸めだすと、
「や、やっぱり悪いことが書かれていたか!?
さ、サーター、ど、どどう、どうすればいいんだ?」
ガタガタと震えながら私に聞いてい来る光景が・・・滑稽だ・・・。
思わず口角が上がってしまう。
更にもっと見たいと思ってしまうのだが・・・
すでに私にしがみついてきていて、思いっきり私の体を揺さぶってくる!!
「さ、サーター!!!」
「・・・ぃ!」
「な、なんだ!!サーター!!何だ!!」
私が返事をしようとしても振ってくるのでうまく言葉が話せないでいると
それが聞き取れない領主は、更に私を前後左右に振るわせてくるので・・・
「やめんかこら!!」
そういいって、思わず突き飛ばしてしまうのであった!
「あ・・・。」
壁まで飛んで、直撃を受けた領主は泡を吹いて白目をむくのであった・・・
「・・・やりすぎましたね・・・。」
苦笑しながら、領主の元へと向かい、気絶から目を覚まさせる。
その間にハリーにはお礼を述べて、退席してもらう。
「領主様!領主様!」
「・・・あ、ああ・・・。」
頭がぼぉ~とするのだが、サーターの声で目が覚める。
私の目の前には・・・恐ろしいまでに冷たい視線をしたサーターが、
起こしてくれたようだ・・・一応、これでも心配してくれてるんだよな?
・・・どうして、俺はここで倒れているんだろうか?
周りを見回すと、すぐ横には壁がある。
そんな所に行く用事などないのだが・・・
「領主様、お目覚めになられて良かったです。」
・・・そう言いながら表情は全く変わらない。
恐ろしいほどまでの冷たい視線は一体何なんだろうか・・・
「大丈夫だ・・・。」
とりあえず、その視線から逃げたくて、返事をして、自分で立ち上がると、
「手紙の内容ですが・・・。」
そう言われて、そう言えば王国から手紙が届いたことを思い出した!!
「ど、どういった内容だった?」
「はい、正式に領主に任命するので、王都に来て欲しいとのことです。」
その言葉を聞いて、背中に寒気が走る!!
それは王都に出頭せよってことじゃないのか?
お、俺が・・・
毒殺したことがバレたのか!?
そんな危惧をしていると、サーターが、
「これは私が王都に依頼をかけていた案件です。」
「・・・え?」
「今の領主様は、正式には当主がなくなったため、当主代行という立場です。」
「そうなのか!?」
てっきり、親が死ねば勝手に俺に引き継がれると思っていたのだが・・・
「・・・はい、なので、正式な領主になるためには王様より
拝命式を受けねばならないのです。」
そう言いながら、ため息をつき呆れたような顔をするサーター・・・
・・・ますます視線が冷たく感じるのは気のせいだろうか?
・・・気のせいであって欲しいのだが・・・
「そ、それで・・・。」
「はい、その準備が整ったようで、王都に来て欲しいという内容です。
早速ですが、王都に行きましょう。」
「・・・へ?」
「だから王都に行きましょう。代行のままでもいいですが、
めんどくさいことはとっとと済ませてしまいましょう。」
「・・・。」
俺は思わず呆然としてしまう。
え?サーターは何って言った?
王都に行くって言っているような気がするのだが・・・
「・・・王都に行くのは嫌なんですか?それなら・・・。」
そこまでサーターが言いかけたところで、俺は食い気味に!!
「行く!絶対に行く!!死んでも行く!!」
「・・・死んだらいけませんけど?」
「そんな冷静にいうなよ!!行くったら絶対に行くからな!!」
「はいはい、それでは明日の朝出発をしますので、準備をしておいてくださいね。」
そう言いながら、王都に向かう準備を開始するため
サーターは執務室から出ていった・・・
行きたいと思っていたら叶うものだな・・・
「やったー!!王都だ!!ついに・・・ついに・・・
都会の女を食せるぞ!!!」
思いっきり大声で喜びを叫ぶのであった!!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




