213話目
気がつけば無事に門の傍までたどりつけていた。
「あ!?」
俺はあることを思い出す!
「どうした?」
「いや、俺たちをここまで逃がすのに女が・・・。」
「あ、大丈夫だ。」
「大丈夫。」
「・・・。」
「いや、しかし、あっちにも大勢の敵が・・・。」
「大丈夫だ。」
「大丈夫。」
「・・・。」
男たちが何の心配もいらないというのだけど、
それでも女の子を一人置いてきたことに不安がよぎるのだが、
「少なくともあいつを仕留めたかったら
一国にある戦力すべてぶつけないとダメなくらいの強さだぞ。」
「・・・は?」
「少なくとも俺たち3人が100人いても勝てない相手だ。
だからなんの心配もいらないぞ。」
その言葉に驚愕してしまう。
この男たちだって、騎士を相手にまるで草を刈るようにしていた男たちだ。
その男たちが束になっても勝てないって
いったいどんな女の子なんだろう・・・
それに一国すべての戦力を当てないと勝てないとは・・・
「い、いったいあの女の子は何もなんだ・・・。」
「うん?メイドだぞ。」
「そう、メイド。」
「・・・メイド・・・。」
・・・そんなメイドがいたら見てみたい。
「メイドって・・・あのメイドか?」
「ああ、そうだ。
朝、主人を起こしに行ったり。」
「給仕をしたり。」
「・・・。」
いや、最後は何か付け加えてくれ。
無言でこちらを見つめられても俺には何も伝わってこないからな・・・
後話を聞く限り普通のメイドのように思えるけど、
普通のメイドがなんでそんな力を持っているんだろうか?
「・・・も、もしかしてそんなメイドばっかりなのか?」
恐る恐る聞いてみると、
「いやぁ・・・ほかのは・・・普通か?」
「そうだね兄ちゃん・・・普通に給仕をしてくれたりするな・・・。」
「・・・。」
「そ、そっか安心した・・・。」
「あ、だけど、魔法は使えるぞ。」
「・・・は?」
「いや、だから魔法は使えるって言ったんだよ。」
「・・・ど、どういうことだ?」
「なあ、ポテト、新しく入った二人のメイドは魔法つかえたよな?」
「そう言えば、そうだね兄ちゃん!」
「ま、まあ使える人間がいてもおかしくないが・・・。
メイドだし、火を起こしたりするのに便利かもしれないけど・・・」
「うん?あいつらの使う魔法は“広範囲殲滅魔法”だぞ。」
「そうそう。」
「・・・うん。」
「・・・はぁ?」
思わず間抜けな声が漏れてしまうのだが・・・
俺の聞き間違いか?
「い、今、広範囲殲滅魔法って聞こえたけど・・・・。」
「だから、そう言ってんだよ。」
「そうそう。」
「・・・うん。」
・・・ちょっと落ち着こうかな・・・
俺の知っている広範囲殲滅魔法ってのは・・・国が亡ぶような魔法だぞ?
・・・あ、こいつらが魔法のことを知らないのだろうか?
ちょ、ちょとあの強さで知らないってことはない気もするが、
それでも物理的攻撃に長けていて、魔法に疎いという可能性もある。
「確かこの間、ゾンビに埋め尽くされた街を
一撃で滅ぼしていたよな?」
「そうそう、あれは爽快だったね~兄ちゃん!」
「・・・。」
・・・うん、こいつらはしっかり魔法を理解しているな。
じゃあ、嘘じゃないんだ・・・
そう言えば最近シンガー王国が滅ぼされたとかいう噂を聞いたなぁ・・・
「・・・そんなメイド・・・いや、メイドじゃないだろう!?」
「うん?いやだってな・・・
お前を助けたメイドも同じくらいだし、
それにまだもう一人同じような魔法を使える奴がいるぞ。
まあ、魔人と同等クラスだからな。」
・・・そんなメイドがいるところに行くのは嫌だ・・・
粗相をしただけで、きっと殺される・・・
今、俺の亡命の決心が揺らいだのは言うまでもない・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




