210話目
「あなた・・・。」
心配そうに俺を見てくる妻に、
「大丈夫だ。」
俺は力強くうなづいて見せる。
俺の命に代えても妻と子供を守ってみせる!!
後ろからの追手がこちらに迫ってくる様子はない。
何とか無事に門のところまでたどり着けるのでは・・・
そう思っていたのだが・・・
「いたぞ!!!捕まえろ!!!」
その声と共に騎士たちがいたるところから
現れ始めたのであった!!
「馬鹿な!?」
俺は驚愕してしまう。
逃走をし始めて多少時間が経過したとは思うが、
すでに追手がここまでくるなんてことがあるのだろうか?
もしかして・・・
さっきの黒い影の者が俺たちを裏切っていたのか!?
じゃないと、逃走が発覚して、手配をするまでの時間が
こんなに短いなんてあり得ないだろう!?
「くそぉーーーー!!!」
思わず天を仰いでしまう!
ここにきてジョセフィーヌ王女に裏切られるとは!!!
あの女のことだ!
この光景をほくそ笑んでどこからか見ているに違いない!!!
「くそがぁ!!!お前たちの手の平で平民の命を弄びやがって・・・
くそ!くそ!くそがぁ!!!!」
俺は叫びながら妻と子供を自分の背後へと引っ張る。
「絶対に妻と子供には手をださせやしねえからな・・・。」
近づいてくる騎士を威嚇する。
絶対に妻たちを・・・
こんな命を弄ぶ連中の手にかけさせるわけにはいかない!!!
「ふん!たかだか鍛冶屋の分際で
俺たちに勝てると思っているのか?」
「しかも素手でな・・・あははは!!」
笑っている騎士たち。
完全にこいつらは俺たちを弄んでやがるぜ・・・
「安心しろよ、お前の妻と子供は
お前の遺体の前で遊んでやるからよ。」
「ふははは、何人俺たちの相手ができるのか
死にながら拝んでろよな!」
笑いながら剣をこちらに向けて取り囲んでくる。
どんなにクズな人間どもとは言え、
剣を持っているだけで俺たちの命はあっちが握っている。
「くそぉ・・・。」
せめて俺にも剣があれば・・・
剣があれば切り込んでそのすきに逃がせるのに・・・
そんなことを考えているときだった!!
“ふわ”
その表現が正しいかどうかはわからないが、
目の前に一つの影が空から降ってきたのである!!
「・・・じゃま。」
その言葉と共にその影は騎士たちへと切り込んでいくのである!!
「はぁ!?」
「な、何だ!?」
困惑する騎士たちを簡単に一人、また一人と切り倒していく影。
その速さは凄まじいもので、外から見ているから
次はだれを狙っているかはわかるが、騎士たちが密集している中では
騎士たち視線ではわからないだろう。
それもこの暗闇の中だとますますわからないはずだ・・・
「くぅ!!離れろ!!密集隊形を散開させろ!!!」
すでに騎士が何人も切り捨てられたところで
やっと適切な指示が飛び交いだす!!
ただ、そこでも恐ろしいことが起きるのだ!!!
「うらぁあああ!!!」
「俺たちの前は、何人たりとも走らせねえぜ!!!」
騎士たちの後ろから今度は大男が2人、
戦斧を振り回しながら現れたのであった!!!
そうすると先ほどまで騎士たちの中へと切り込んでいた
影が俺たちの前へと戻ってくると、
「・・・誰も走ってない・・・・。」
・・・あ、そこにはツッコむんだな・・・
大男が訳の分からない言葉を叫びながら来たことに
冷静にツッコむ影・・・ただ小声だけど・・・
絶対にあの大男たちには聞こえてないだろうな・・・
「兄ちゃん!!これで俺・・・何人倒した?」
「知るかよ!!!っていうか、兄ちゃん言うな!!」
恐ろしいほどの速さで戦斧を振るっているのだが、
その口から出る言葉が・・・全然その光景に合っていない。
「朝ご飯・・・魚がいいなぁ~。」
ブオン!という風切り音と共に鎧を着こんだ騎士が
真っ二つになったというのに・・・
なんで朝ご飯の希望を出してるんだ・・・
「俺はやっぱりキャベツだな!!
あとは大根!!ああ、もちろん人参も忘れないでくれよな!!」
・・・ちょっと待て!
そのガタイで・・・ベジタリアンか?
しかもこんな時に言うセリフじゃない!!!
「・・・コーヒーでいい・・・。」
目の前の影まで・・・何を言ってるんだこいつらは!?
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




