204話目
「は・・・はぁ!?」
思わず俺は二度声を上げた!
だって、そうだろ!?
なんでそんなことになるんだ!?
というか、そもそもその剣は飾り用であって、
戦闘になんか向くような剣ではない!
なのに・・・それを使って模擬戦なんて・・・
いい予感は全くしない。
むしろ悪い気配しかしないのだ。
どうする?
どうするんだ?
すぐにでもその場から離れたい気持ちになったのだが、
・・・それを許してはくれな・・・かった・・・
「カリグラ様の剣、素晴らしいですな。」
そういって、俺の横に貴族がいた。
「ひぃ!?」
思わず短い悲鳴が口をつく、
「何をそんなに驚かれているのですか?」
その貴族はニッコリとほほ笑みながら
俺が驚いたことに首をかしげていたが、
驚いて当然だろう!!
だって、さっきまで俺の隣に人なんかいなかったのだ!!
そして俺はそこで気づいた!!
「はぁ!?い、いつの間に・・・。」
すでにその貴族を中心として
俺の周りには兵士が配備されていたのである!
・・・この貴族の護衛のために?
・・・いいや違うか・・・
その配置は護衛というよりも
俺が逃げないようにするために囲んでいるのである。
それを察するのには十分だ。
“嵌められた”
それが俺の率直な思いだ。
この模擬戦が罠なんだ!!
確実に俺の剣は不良品とされて、
その不良品を作ったとして俺を処分するつもりだろう!!
どうするよ・・・
どうするよ・・・
手に汗がにじみ出ているのが分かる。
仕事でもここまで出ない手汗が出ていた。
ゴクリと唾を飲み込みながら
俺はあることに気づいた!!
それでだ・・・それでジョセフィーヌ王女の元に俺の家族は集められたんだ!!!
それならすべてが納得いく!
そう!ここで俺の失態で家族ごと処分するつもりなんだ!!
それを簡単にするためにも
ジョセフィーヌ王女の元に全員を集めたということか!?
・・・そうなってくると・・・
今頃俺の工房にも多数の兵士が集まっているんだろうな・・・
すまない・・・
ふがいない師匠で・・・すまない・・・
俺のせいであいつらが・・・
申し訳ない気持ちでいっぱいになるのだが、
それを覆すだけの力が俺にないことはわかっている。
それに・・・
「・・・どちらに行かれるのですか?」
俺が一瞬席を立とうとした瞬間に
貴族と取り巻きが俺に対してプレッシャーをかけてくる
間違いなく・・俺はこの場を離れることはできない・・・な・・・
俺だけなら俺も覚悟を決めることはできる。
だが・・・妻に子供たち・・・さらには弟子たちまでとは・・・
くそぉおおお!!!
何とかこの状況を打破しなければと思っている中で、
気づけば模擬戦が始まろうとしていた。
余裕綽々のカリグラを見るとどうしてそんなに余裕なのかがわからない。
ろくでもないことしかないはずなのに・・・
そんな俺の心配は当たることになった・・・
「ゴーレムって・・・。」
そこに現れたのはストーンゴーレムである。
そもそも固いストーンゴーレムに対して、
剣など役に立つものか!!
そこらへんで売っている剣なんてゴーレムに傷をつけることすらできない!
・・・念には念を押してきているのか・・・
仮に普通の魔物や動物程度であれば、
勝ってしまう可能性がある。
その可能性も微塵も残したくないのだろう・・・
やると決めたら徹底してやる。
それがこの国の最悪な王の考えなのだろう。
俺は神に祈ることしかできない・・・
偶然でもいい・・・
あのゴーレムを倒せるだけの力を
カリグラが討伐してくれることを
今日ほど神に祈ったことはなかった・・・
頼む!
頼む!!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




