19話目
「・・・なぁ、サーター・・・。」
領主が私に視線を投げかけてくるのだが、
それを無視して気づいてない風に返事をする。
「何でございましょう?何か問題でも?」
「・・・たしかにお前の言う通り、人口は50名ほど増えたな・・・。」
「喜ばしいことじゃないですか・・・。」
「たしかにな。これで空き家も半分ほど片付いたしな。
それに、休耕地になっていた畑を耕す者も増えたな。」
「はい!それも50名で100名分の働きをする者達じゃないですか!
いやぁ~、こんな熟練した村人が増えるのはイイことですね。」
「・・・たしかに・・・その点は認めよう・・・。
いや、その点だけは認めてやる・・・。」
「え?何かご不満な点が?」
「あるに決まっているだろう!!
サーター!お前、言ったよな!!人数が増えれば女も増えるって!!」
「はい、言いましたし、実際に増えているじゃないですか?
今日も朝も早くから畑を耕しに行ってくれていますし、
今はちょっと休憩がてら井戸端会議をしていますが。」
「そう!我々の目の前の広場で井戸端会議をしているよな・・・
婆どもが!!!」
「女であることは変わりないかと思いますが?」
「ある!!全然違う!!
女って言うのは若い女のことを指すんだ!!
すでに片足を棺桶に突っ込んだ女のことを言っているんじゃない!」
「大変失礼ですよ!
あの方々は敬われこそすれ、そんな罵倒していい方々ではありません!
あの方々の力があるからこそ、畑も休耕地がなくなったじゃないですか!!」
「そ、それはそうだが・・・・。」
「それにここの村は若いモノもいますが、
やはりそこは労働力の担い手です!
どうしても村の大事には駆り出されてしまうじゃないですか!」
「そ、それはそうだ・・・・。」
「その時に子供がいてはどうしてもできません!
そこで彼女達です!今も井戸端会議とは言うものの、
子供達のお世話をしっかりとしてくれているでしょう!!
あの光景が見てわかりませんか!!」
「・・・いや、わかる・・・。」
「そうでしょう!彼女達がいなければ、成り立たないのです!!
それなのに婆とは・・・上に立つ者の発言ではありません!!
猛省してください!!」
「・・・分かった・・・って、そんな正論を俺は聞きたいんじゃない!!
俺は村にいる若い女から、敬われたいの!!
チヤホヤされたいの!!
ベッドでギシギシアンアンしたいの!!!」
「・・・ちょっとあの方々を連れて、お楽しみされるとは・・・
ストライクゾーンが広すぎやしませんかね?」
「いやいや、あれでいて技術がすごい可能性も・・・って、違う!!!
俺のストライクゾーンには入ってない!!」
「・・・は!?も、もしや・・・それはダメです!犯罪です!
あそこにいるあの方々が相手をしている女達に手をかけるのは!!」
「そうか?俺のストライクゾーンにはしっかり入っているぞ?
あんな幼い子だからこそ・・・って、
そっちもストライクゾーンには入っていない!!
どっちもボール球だ!!!打てない!!
俺が言いたいのはそれじゃない!!」
「え?ですと、なんですか?」
「・・・お前、本気で分かってないのか?」
「それはそうと、あの村の村人構成をご覧になってどう思われますか?」
「うん?・・・まあ、50名はいたな。」
「・・・それを聞きたいのではないのですが・・・。」
「それならなんだ?別にボロボロの衣服に身を包んだ爺と婆がいただけじゃないか。」
「その通りでございます領主様!
さすがは領主様、私の考えをやっぱり分かってらっしゃいますね。」
「も、もちろんじゃないか!!と、当然、き、きづいて、気づいていたさ!!」
ハッキリと分かる動揺をする領主・・・
よし!
とりあえず若い女がいなかったことから、話題がすっかりと切り替わったようだ!!
いやぁ~、こんなに単純な領主で良かったですよ!!
どうせ、若い女がいないじゃないか!って、俺に文句を言おうとしていたんでしょうけど、
そんなことに時間を割くのはもったいないですからんね~!
安堵を自分の内心で浮かべながら、意識を話しへと戻す。
「まるであの村・・・姥捨て山のようでしたね。」
「うばすてやま??」
・・・知らないのか・・・
「うばすてやまとは、口減らしです。
年老いた者達を減らして、食料を確保しようとしているということですよ。
これは・・・この王国で干ばつや争いごとが起きているかもしれませんね、
どこかの地域で・・・。」
「・・・干ばつとは?」
その言葉に思わずずっこけそうになるが、こいつの馬鹿さ加減だと
このくらいでズッコケそうになっていては身が持たない。
「食物が育たない状況です。」
「・・・なるほど・・・あれ?それってマズくないか?」
「ええ、危険な状態です。我が村はここまで食物は順調に育っていますので
問題は起こっておりませんが、もしかしたら、
他の村からの流入や盗賊や野党に襲われる可能性があるかもしれません。」
「な、何だって!?ど、どうすればいい?どうすればいいんだ!?」
私の胸倉を思いっきり掴んで揺れ動かす領主・・・
それを考えるのがあなたの仕事では?といいたいのですが、
このバカが何かを考えると余計にめんどくさいのでこちらから知恵を授ける。
「巡回には注意を払うようにしましょう。
昼間の警備はもちろんですが、夜も数を増やして、巡回させるようにいたしましょう。」
「そ、そっか!宜しく頼むぞ!!特に警備はこの領主の屋敷は厳重にな!」
「かしこまりました。」
そんな会話をしている時だった、
コンコン!
執務室のドアをノックする音が聞こえてくる。
「はい。」
私がドアを開けるとそこには、隣の町に使いに出しいてハリーが立っていたのであった。
「どうしたのです?そんなに慌てて。」
「はい、実はこれを・・・。」
そう言いながら、私に王家の家紋が入った手紙を渡してきたのであった。
そして・・・この手紙が、この後大変なことを引き起こすことに・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




