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領主(クズ) の結末 ・・・ そんなのバッドエンドに決まってるだろうがー!!!  作者: Taさん
間章Ⅲ ~王国一の鍛冶職人アレックス・ロドリゴの栄光への道?~
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196話目

「親方!おはようございます!」


「ああ。」


俺は部下の挨拶に返事をしながら、仕事場へと歩いていく。

だが、その足は重いのを感じていた。



「はぁ・・・面倒だな・・・。」


俺は今日の用事を思い出しながら、ため息をついていた。


鍛冶屋なのだから、武器を作っているだけでいいはずなのに

今日は王に呼ばれていて、城に登城しなくてはならないのだ・・・。


それも何やら急な依頼があるということでだ。



「まったく・・・いい予感がしないな・・・。」


その予感は当たってしまうのだ・・・




重い足取りで入城して、まずは俺は客間に通された。

そして、その時案内をしてくれた侍女に声をかける。



「・・・元気だったか?」


「ええ・・・あなたも元気ですか?」


そういってやさしくほほ笑んでくれるのは

俺の妻である王妃付きの侍女長である。



「ああ・・・。」


「野菜は食べてますか?

 あなたは肉が好きだからって、いつも肉ばかり食べてますからね。」


「食べてるよ!」


「お酒はほどほどにしてますか?」


「してる・・・。」


「ちゃんと弟子たちにはお給金を支払ってしますか?

 支払い忘れがないか確認してますか?

 アレックス、あなたは顔が怖いですからどうしても弟子たちはおびえてしまいます。

 だから、忘れていることがあっても言えないなんてこともあるんですからね。」


「わかってるよ!わかってるから!!」


「あと・・・ちゃんと寝るときは戸締りしてくださいね。

 あなたは、すぐに眠くなったら寝てしまう癖がありますからね、

 だけど、王都も最近物騒になってきました。

 だから、強盗が入ってくるかもしれないのですから、

 ちゃんと戸締りをしてくださいね。」


「・・・ふん!俺を見たら強盗だって逃げ出すわ!」


「ふふふ、そうかもしれませんね・・・。

 あ、寝る前はちゃんと火を落としてくださいね。」


「そんなのはもちろんわかってるわ!!」


「・・・“私たち”の家ですから・・・

 火事で焼失してしまうと・・・

 私が帰る場所がなくなりますから・・・。」


その言葉に衝撃を受けてしまう・・・



「・・・すまない・・・。こんなことになるなんて・・・。」


本当にすまないと思っている。

妻がこの城に来てから、もう何年になることか・・・



「謝ることなどありませんよ。

 私はあなたの妻になることを決めてから・・・

 王国一の鍛冶屋になると信じていたあなたの妻になると理解したうえで

 あなたの妻になったのですから・・・。

 娘たちもそのことを理解しておりますわ。

 この間も会った時に、


 「父を誇りに思っている」


 そう伝えてほしいと言われましたから。」


そういってニッコリとほほ笑んでくる妻を見て、

どうしようもなくいたたまれない気持ちになってしまう・・・。


その言葉がどれほど重たい言葉か・・・


言葉を発しようとして思わず涙が漏れそうになってしまった・・・。


だが何とか言葉を紡ぐ。



「・・・娘たちは・・・元気・・・か?」


「ええ。元気にしております。

 何やら仕える主人が最近変わってしまったようで、

 ・・・どうやら良きように扱われているようです。」


「だ、誰に変わったんだ!?」


「ジョセフィーヌ第二王女様ですよ。

 噂とは違う・・・点もあるらしくて、

 娘たちには大変良い思いをさせているようです。」


「・・・そうか・・・・。」


点もあるという言葉に少し引っかかるが、

それでも良いように扱われているのが救いだ・・・


本当に俺は・・・父として失格だな・・・


そんな俺の思いを悟ったのか、妻が、



「私たちは幸せな生活を送っております。

 庶民ではありますが、それでも王族に仕えることができて、

 大変なお給金もいただいておりますし、

 食べるものにも着る服にも何も困ることはありません。

 この王都であっても一般庶民であれば、明日食べるものに

 困ることすらあるというのに

 そんな苦労を一度も味わったことがありませんよ。」


「そうか・・・。

 俺たち二人の時は・・・貧しかったからな。」


俺は昔を思い出して笑ってしまう。

明日食べるものがないという日を何度も過ごした。


二人で一つのパンを一日かけて食べる日もあった・・・


その時にこいつときたら・・・



「私は少食ですので、あなたが食べて。」


そんな言葉を掛けてくるのであった・・・


辛い・・・辛い思いをさせてしまった・・・



「ふふふ、懐かしいですね。

 食べ物もないという悲しい思い出ですが、

 それもまた私の中では幸せな日々でしたよ。」


俺が何を思い出しているのかを悟ったように

話してくれる妻に俺は・・・


そんな時だった、扉がノックされて、



「すぐに王の間に来い!」


王の使いの者が俺を呼びに来たのであった。


俺の幸せな時間はこうして急に打ち切られたのであった・・・。



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ない。

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