186話目
「サーター様・・・お願いがございます。」
「はい、なんでしょうか?」
「私の愛玩具・・・ちょ、ちょっと言葉が間違えましたわ。
まずは私の使用人になっていただけませんか?」
「・・・ありがたいお話ですが、お断りさせていただきます。」
「・・・どうしてもですか?」
「は。私の主人はバリティッシュ男爵様ですから。」
この忠誠心の高さ!!
いいわ!!
この忠誠心の高さが私に捧げられることを想像しただけで・・・滾る!!!
「そうですか・・・・残念です。」
「申し訳ございません。」
「いいえ、謝る必要はございませんから。」
「・・・というのは?」
「実力行使でサーター様を拿捕すればいいのですから。」
私はニッコリとほほ笑むと
その微笑みにサーター様もニッコリとほほ笑み返してくれる。
「・・・拿捕・・・ですか?」
「そうですわ。」
そう言って私は自分の杖を取り出す!
「今日は逃がすつもりはございません!!」
「その・・・ようですね!!」
私が構えるよりも素早く私のもとへと駆け寄ってきたサーター様!
思った以上に早い!?
そこら辺の騎士なんか目ではない!?
「どうして!?・・・って、普通の方はおっしゃるのでしょうね!!」
「え?!」
サーター様から驚きの声が上がる!
それもそのはずだ!!!
一瞬で距離を詰められて、魔法を使う余裕すら与えらなかったのだから
そのまま崩されてしまうと思ったのでしょうね・・・
だけど・・・そう思い通りにはなりませんわ!!
詰め寄ってきて、私の腕を掴んで杖を取り上げようとする選択が
間違いではないと思いますわ。
私が貴族であると考えれば傷をつけるわけにはいかないため
その選択肢が普通は正解です!
で・す・が!
普通の貴族であればですけどね!!
私は掴まれていた腕とは逆の腕を
掴んできたサーター様の手と重ねる。
その行動に驚いたような表情を浮かべたサーター様ですが、
その一瞬の驚きの間が失敗ですわよ!!
私はそこを起点として・・・投げの一手を打つのであった!!
予想だにしない投げ技ため
見事に私の投げ技を受ける羽目になってしまったサーター様!!
詰めてきた勢いそのままに私の後方へと
転がって行ってしまうのであった・・・
ただ・・・
「地面にたたきつけるつもりでしたのに・・・。」
そう!私の狙いは投げて地面に受け身も取らせることなく
たたきつけることであった!!
だけど、それをさせなかったのだがサーター様である!!
投げ技に対して、防ぐことが無理だと判断したところで
なんと自分から突っ込んできたのである!?
自らが進んで技にハマることで
本来以上の勢いがついてしまって叩きつけられることなく
後ろに転がっていくことになったのだが・・・
ベストの回答ではないですが
あの瞬間にベターな回答を見出して、実行するなんて・・・
ますます・・・
ほしくなってしまいますわ!!
私はサーター様がころがっているとは言え、
油断するつもりは全くない!
今のうちに杖をしっかりと取り出して、
さらには準備していた10個の指輪に軽く魔力を流して
いつでも魔法が発動できるように構える。
「・・・油断していただければいいのですが・・・。」
「ふふふ、そうも言っていられる相手ではないと思いますので・・・。
何より私は言ったことは必ず実現しなくては気が済まない質なのです。」
「それはそれは・・・もし使える主人がそのような方であったのなら
これほど頼もしいことはありませんね。」
「大丈夫ですわ。
だって、これからサーター様は私に仕えるのですからね。」
私たちが会話をしている間に態勢を整えるサーター様。
そこに油断があるかと思っていたのだが、
隙もなく油断もなかったため攻撃をしなかった。
いや・・・
隙はないわけではなかったけど、
あれは罠だなっと悟るには十分であった。
罠に自分から突っ込んで今の私の優位を崩すなんて愚の骨頂ね。
そう自分に言い聞かせて、
次の先頭の準備をしながら片時もサーター様から目を離さない。
そんな私を見てなのか苦笑するサーター様。
「もう少し可愛らしい方のほうが仕えるほうとしては
楽なのですがね・・・・。」
「なぁ~に、すぐになれますわよ。」
私とサーター様の間に緊張感が走るのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




