185話目
「おはようございます。」
屋敷を訪れるとサーター様はすぐに出迎えてくれる。
「おはようございます。」
くぅ・・・
サーター様の笑顔がこんなにステキなんて・・・
朝からこんな笑顔を向けられるとは予想だにしていなかったわ・・・
不意打ちにメロメロにされそうになったが、
何とか踏ん張って耐えていたのだが、
「こんなに朝早くに起きられているとは
素晴らしいですね。」
素晴らしい・・・
素晴らしい・・・
私の内面に響いてい来るサーター様からのお褒めの言葉・・・
ああ・・・
これだけでご飯が3杯はいける・・・
・・・
違う!!!
私はすぐに首を振って、自分がなぜここに来たのかを
再度思いださせる!!
こんな言葉を聞きに来たのではないのよ!!
私の目的は!!!
態勢を立て直して、サーター様に対してキッと顔を向ける!
そして私がここに来た意図を説明しようとしたところで・・・
「こんな朝早くからでも身だしなみがしっかりされているとは・・・
素晴らしいですね、やはり。」
素晴らしい・・・
素晴らしい・・・
また私のことをほめていただいた言葉が
私の中で反芻されていく・・・
ああ・・・
なんていい日なんでしょう・・・
って!!!違う!!違うでしょう!私!!!
そんな思いに浸っている場合ではないの!!
目的を見失うな!!
というか、サーター様は意図してやっているの?
そんな思いに駆られてしまうのだが、
それよりもまずはなすべきことを成すべきだ!!
「サーター様、本日は用事がありましてご訪問させていただきました!」
「さようですか・・・。」
何か返事をしようとしたところで
滞ったかと思たら、うん?と声を出して何やら考えことをしだすサーター様。
顎に片手を当てて、下を向いて考えている姿・・・
ステキですわ!
・・・じゃない!!
いや、ステキなのは事実ですけど、
今はそれが本題じゃない!!
だから・・・
そう思ってまた一歩サーター様に詰め寄ろうとしたところで
「大変失礼しました。」
「・・・え?」
「可愛らしいお嬢様のお名前をお聞きしておりませんでした。」
「・・・え?あ、う・・・。」
私のことを“かわいい”って言ってくれた・・・
私のことを“カワイイ”って言ってくれた・・・
私のことを“可愛い”って言ってくれた・・・
頭の中で何度もリフレインする。
あ、鼻血が出そうです・・・
・・・だから!違う!!
危うくその言葉にトリップしそうになった自分を
また正気に戻す!!!
「お嬢様・・・お名前を教えていただけませんか?」
そう優しい声を聴いた私は、
「・・・ア・・・いいえ、マリと申します。」
「マリ様でございますね。」
私の名前を呼んでくれた・・・
家名ではなく、私の名前を呼んでくれた・・・
“マリ様”
ああ・・・
こんな幸せな日がくるなんて・・・
いえ、いつかは来ると思っておりました。
だけど、それがこんなに早く来るなんて・・・
マリは・・・
今、とても幸せです・・・
もう死んでも・・・は、ないですが、
とても・・・とても幸せです・・・
そして・・・
その幸せのためにも・・・
サーター様には私のモノになっていただかないと困りますわ!!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




