178話目
「・・・マリ?大丈夫ですか?マリ?」
「・・・え!?は!?」
サーター様の声でハッと気づいて、
どうやら気づけばちょっと現実から離れていたようだ。
「あ、だ、大丈夫です。」
「そうですか・・・。
お疲れなようですから少し寝ますか?」
「あ、いえ、大丈夫です。」
こんな貴重な時間をなくすなんてできるわけがない!!!
ワシはチラチラとサーター様を見ながら
自分の入れた紅茶を飲むのだが・・・全く味がしない!?
「うぅ~ん、今日もマリの淹れてくれた紅茶は美味しいですね。」
そういって笑顔をワシに向けてくれる。
「そ、そうですか・・・よかったです。」
・・・サーター様は味がするのにどうしてワシは味がしないんだろうか?
不思議に思いながらまたワシが紅茶を啜ろうとするのだが、
そこで自分の異変に気付いた。
カップを持った右手が揺れているのであった。
・・・え?地震?
そう思って周りを見るのだが、揺れている様子はない・・・
もしかして・・・ワシが震えている!?
・・・き、緊張してるんだ・・・
自分が緊張していることをやっと理解して
紅茶の味もさらには風味もしない理由が理解できた。
ど、ど、ど、ど、どうしよう!!
緊張していることを理解すると言葉を発することにも緊張してしまうし、
何をしゃべったらいいのかが分からなくなってきて、
ますます緊張してしまうのであった!!
そんなワシの心中を察してなのか、
「ふふふ、こうやって二人で話していると
最初に出会った時のことを思い出しますね。」
感慨深い顔をしながらサーター様は
こちらに微笑みかけてくれるのであった。
・・・ワシとサーター様の最初の出会い・・・か・・・
ワシはエトワール王国の王都出身で、
まあ所謂貴族出身で勝ち組の人間である。
・・・五女だけど・・・
そんなワシは当然貴族だけが通う学園、
しかもその中でとりわけ優れた魔術を扱う学園に通っていた。
王都で最も・・・いいえ!
この王国で・・・いいえ!
この世界で一番の学園に通っていました!!
そしてその学園で・・・
“百年に一人の逸材”
そう呼ばれていました。
まあ、これは二つの意味があって、
自分でも言うのもなんですが、
一つは言うまでもなく魔法のことです。
入学当時で学園にいたどの先生方よりも
すでに高位の魔法を使うことができたため
先生から教わることもなく、逆に教える羽目になっていましたね・・・
あともう一つ!
それは・・・
この美貌!!
その見た目からも百年に一人の逸材と呼ばれていましたわ!
・・・
嘘じゃなくて!
・・・まあ、若干・・・
そう言わない方々もいましたけど・・・
ワシは!!
ワシはそう思っていましたし、
周りの仲が良かったご友人たちもそう言ってくださったわ!!
何人か、そう!本当に何人かの人たちが、そういわなかっただけですからね!
だから、ワシの中では美貌のために呼ばれていたと思っています!!
・・・え?
何人くらいワシのご友人がいたかったですって?
ワシは広く浅くではなく、本当に大切な友人のみと
付き合うことにしていましたので・・・
・・・え?だから何にかって?
・・・3・・・いえ、4人!!
え?ワシ付きの侍女は含まれない?
そんなの横暴ですわ!!
ワシと彼女は心からつながった友人でした!!
その友人を友人とはカウントしないなんて・・・
そんなのできるわけないじゃないですか!!
・・・え?だから、侍女を外すと何人かって?
・・・
・・・
・・・1人ですわ・・・
・・・
何か言いなさいよ!!
ワシに対して何か言いなさいよ!!
・・・え?続きをお願いしますって!?
ここで何も言われなかったら、本当に痛い子じゃない!!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




