171話目
「・・・は?」
思わず二度声が漏れてしまった・・・
いや、だけど誰だって同じ状況だったらきっと同じ言葉が漏れるはずだ!
だって、いきなりこんな死体を目の前にさせられたら
誰だって言葉が詰まるし、呆然としてしまう!
・・・とりあえず・・・見なかったことにして部屋に戻ろう・・・
俺は何も見ていない・・・
サーターからも何も聞いていない・・・
・・・よし!戻ろう!
そう心に決めてから、俺は部屋へと戻る。
当然途中でバリティッシュ男爵様も拾って。
まあ、部屋にいればそのうちサーターも戻ってくるだろう。
・・・
・・・
チュンチュン
・・・ああ、スズメが今日も元気に鳴いているな。
朝日もいつも以上にきれいに見えるな。
うぅ~ん!今日も良い一日になりそうだ!
・・・って、なるわけないだろう!!
こっちは徹夜してサーターを待っていたんだぞ!
それなのにあいつは微塵も現れたりしないじゃないか!!
というか、こんな状況で寝れると思うか?
いくら俺でも寝ることなんてできないぞ!!
おかげで全く眠気に襲われなかったからな!!!
「はぁ~・・・絶対に次にサーターに会ったら、
文句を言ってやる。」
ため息交じりに言いながら、俺はコーヒーの一杯でも飲んで、
意識をはっきりさせようと思い、部屋を出ることにした。
・・・バリティッシュ男爵様は・・・置いておいても問題ないだろう。
男だし、襲われるなんてことはないはずだ。
というか、バリティッシュ男爵様にかまっている余裕はない。
俺はそのまま宿の食堂へと向かって、
食堂入り口にいた店主に、
「おはようございます。お客様、何かお飲み物をお持ちいたしましょうか?」
「ああ、すまない。とりあえずコーヒーを一杯もらえるか?」
「かしこまりました。すぐにご用意いたします。」
そういって、奥へと向かった店主をよそに俺は食堂へと入り、
空いている席を物色する・・・
・・・
・・・は?
俺の目に飛び込んでくるのはよく見慣れた後ろ姿がそこにあった!!
「な、なんで・・・。」
そんな俺に気づいたようで後ろを振り返ってきて、
「おはようございます、グンテ殿。」
優雅にコーヒー片手に挨拶をしてくるサーターが居たのであった。
「お、お前!?」
思わずその姿を見て叫んでしまうのだが、
「・・・そんな朝から大声を出さないでください。
周りのみなまさにもご迷惑をおかけしますよ。」
やれやれみたいな感じで俺をさそして来るのだが・・・
「いやいや、お前のせいだからな!!」
「・・?何がですか?」
何を言っているの変わらないようなしぐさを見せるサーターに、
「よし!お前が思い出すまでここで殴り倒してやるよ。」
そう言いながら、俺は腰に帯びていた剣に手を当てる。
「それは殴るとは言わないんですけどね・・・。」
そう言いながら、乾いた笑いを浮かべるサーター。
その首筋を一本の汗が垂れるのを確認できた。
「・・・はぁ~、残念ですね。
私のウィットにとんだジョークがわかっていただけないようで。」
「・・・どこら辺がウィットに飛んでいる?」
カチャりと剣を鞘から抜きだそうとすると、
慌ててサーターが、
「やれやれ、こんなところで止めてください。
これでも急いでこちらに戻って来たんですからね。
彼女たちもさすがにあちらに放置してくるわけにはいきません。」
「・・・まあ、そうだな。」
確かにサーターの言うとおりだ。
俺は納得して、剣を鞘に戻しながら
サーターの座っているテーブルの対峙した席に座ろうとしたところで、
「隣でも構わないんですけど?」
「・・・どうして男の横に座らないといけなんだ?」
「私とあなたの仲じゃないですか。」
「・・・俺とお前の仲ってのはどんな仲なんだよ。」
「・・・友達以上、恋人未満ですかね?」
「そんなわけあるか!!!そもそも友達でもないからな!」
「い、ひどいです・・・。」
そういって、鳴きまねをするサーターに、
「・・・そんな茶番に付き合う気はないからな。」
「・・・もうちょっと乗ってくれてもよろしいんじゃないんですかね?」
すっと顔を上げて、またコーヒーを飲みながら
そんなことを言ってくるサーター。
・・・微塵も泣いてないな・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




