170話目
「どうするんだサーター?」
「・・・何がですか?」
「彼女たちの今後についてだよ。」
「とりあえず・・・魔人は討伐しときますか?」
そういってニッコリとほほ笑むサーターに
顔を青くしておののく二人。
「・・・サーター、冗談が過ぎるぞ。」
そう俺がたしなめると
「まあ、場を和ますウィットにとんだ冗談ですよ。」
「・・・まったくその効果はないけどな・・・。」
俺がそういうのも当然で、当の二人はガタガタと震えているのである。
魔人ともなれば強いはずだから、
そんなにおびえることはないかと思うけど・・・
・・・いや・・・相手がサーターだと・・・そうなるかもな・・・
「場が和んだところで、彼女たちをどうするのかを考えましょうか。」
「・・・まったく和んでない・・・。」
「気のせいでしょう。
とりあえずは、彼女たちは間違いなく生きていることが分かれば、
カンナ殿たちから刺客を送られること間違いないでしょうね。」
そう言いながら、嬉しそうに笑うサーター・・・
こいつにとって人の不幸は蜜の味なんだろうな・・・
「なら、どうするんだ?俺は反対だぞ。」
俺は彼女たちを殺すことに反対だという自分の意見をだす。
確かに魔人ともなれば世界を滅ぼす存在である。
だが、彼女は自分で望んで魔人になったわけではない。
それに彼女は自分の意思をしっかりと持っているのだ!
狂ったように魔人として町や世界を破壊しようとはしない。
「それはわかっておりますよ。
私だってむやみやたらと殺すなんてことはできないですからね。」
「・・・なら?」
「当然、私たちが保護することが大事でしょう。
グンテ殿が私と同じ意見ということが確認できたので、
すぐにでも行動に移しましょう。」
「ああ・・・。」
そう俺が返事をするや否や、すぐに席を立ったかと思ったら、
「では、お二人の部屋に行って、荷物を確保したらすぐに私の魔法で
我が領へと行きましょう。」
「・・・いきなりだな・・・。」
すでに夜半になっているというのに、
すぐに行動に移るとは・・・
「気づいてらっしゃるのでしょう?」
「うん?ああ・・・そういうことか。」
俺にサーターが尋ねてきたのは、
俺たちに監視役がつけられていることを聞いているのだろう。
俺たちが王城を出た時に、すでに俺たちを後ろから追ってくる一団がいた。
距離を取り、俺たちに気づかれないようにしながら
俺たちを尾行していた。
まあ、当然俺たちだけではなく、ほかの組にもつけられていたんだろうな。
「サーター、お前の方の監視役たちはどうしたんだ?」
そういえば、ここにサーターがいるというのは問題になるのでは?
と思って、質問したら、
「ふふふ。」
ニヤリと笑い、不吉な笑みを浮かべるサーターに
俺はこの問題には触れないように決めた。
俺は何も知らないし、何も聞いていない!!
「それではお二方、お部屋へ。」
サーターの言葉に二人はすぐに部屋へと戻っていく。
そして、部屋に入り、荷物を取ると、
「それではお二人を我が領へと案内します。」
そういって、サーターが闇を展開したかと思ったら
一瞬で消えた二人。
サーターがも体が半分ほど沈んだところで、
「そういえば、これからどうするかの算段なのですが・・・。」
「帰ってきてからでいいぞ?」
すでに沈みかけているのだ、
そのタイミングで俺に今後の算段の話などしなくてもいいのだが・・・
「そうですか?それならいいのですが・・・。」
そう言いながら、一瞬沈むのを途中でやめたのを
再度止めてまた沈み始めるサーター。
それを俺は見送りながら・・・
「ああ、じゃあ、お言葉に甘えて先に彼女たちを我が領にお連れて致します。」
「ああ・・・。」
そんな返事をしながらサーターを見送っていると、
「そういえば言い残したことがありました!」
「・・・それも後でいいんじゃないか?」
「そうですね・・・。
いや、まあちょっと腐ると問題なので先にお話をさせていただきますね。」
「?腐る?」
俺が小首を傾ける。
何が腐るんだ?
「ええ、早めにしないと腐ってしまうので。」
「だから何が腐るんだ?」
俺が尋ねるのだが、なぜか今度は沈んでいく体をまったく止めないサーター。
「宿の裏においておりますから、お早めに。」
結局止まることなくそのまま沈んでいくサーター。
「何が置いてあるんだ?」
俺はそのまま部屋を出て、裏手へと向かうと、
そこには・・・
「・・・は?」
俺は思わず開いた口が塞がらない。
・・・山のような死体がそこに転がっていたのであった・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




