166話目
拍手をする魔人、それを嬉しそうに頭を掻きながら、
「まあな。」
満足げな顔で返事をするバリティッシュ男爵様・・・
・・・帰りたい・・・
「・・・とりあえず、敵同士ですが。」
俺の言葉を聞いてハッと驚く魔人とバリティッシュ男爵様!
お互いを見つめあったかと思うと・・・
お互い後ろに飛びずさって武器を構えなおす!
魔人の方は、先ほどと変わらない構えを
バリティッシュ男爵様は剣を高々と上げる!
「魔人!!行くぞ!!」
「くぅ!!」
緊迫した空気がそこに流れる!
ただ・・・
それを崩したのは・・・
「・・・なあ、さっきの言葉の続きはなんだった?」
「まだこだわっていたんですか!?」
バリティッシュ男爵様の間抜けな言葉であった。
「だって、言葉があったのほうがかっこいいじゃんか!!」
この期におよんでぇ~・・・
っと思っていたら、
“コクリ”
無言でうなづく魔人・・・
「お前もかい!!!」
・・・もういやだ・・・・
この二人を相手にするには俺じゃあ、役不足だ!!
サーターにチェンジをお願いしたい!!
そこで神の声が下りてくるのであった!!
『バリティッシュ男爵様に第一王女のことを伝えなさい』
・・・それだ!!!
「バリティッシュ男爵様・・・第一王女がさらわれているのですよ!」
「・・・は!?」
俺の言葉で目が覚めたようなバリティッシュ男爵様は、
すぐに剣をまた高々と掲げて、
「俺は・・・俺は・・・
第一王女を救わなければならないんだ!!
ゆ、許してくれ!!」
「くぅ・・・し、仕方がないです・・・。
私たちは敵同士なんですから・・・。」
バリティッシュ男爵様の方は、震えながら構えて、
魔人の方は、本当につらそうにそんなセリフを言っている。
・・・なんで魔人に許しを請っているんだろうか?
っというか、なんで、涙声になりながら
魔人は返事をしているんだろうか・・・
いろいろと言いたいことはたくさんあるけど、
言ったら負けな気がして、俺はあえてここは何も言わずに見守ることにした。
そう、見守ることにしたのだ・・・
また剣を構えるバリティッシュ男爵様。
それに合わせるかのようにまた構えなおす魔人。
いよいよか!!
・・・っと思ったら、二人とも構えを解いて、
「俺には・・・やっぱり・・・できない・・・。」
「私には・・・できない・・・。」
そう言いながら両者がうなだれるのであった・・・
・・・なんで?
二人ともが膝から崩れ落ちてしまう・・・
・・・だから、なんで?
だが、二人ともがこのままではいけないと思ったのだろう、
またお互いが構えだす!!
が!?
また二人ともが崩れ落ちるのであった!!
・・・だから、なんでなんだよ!?
お前らさっき偶然に出会った二人だろう?
なのになんで昔から親友みたいになってんだよ!?
俺は呆然と見守ることしかできない・・・
というか、俺が魔人を討伐するか?
・・・うん!決めた!
俺が魔人を討伐するぞ!!
そう思ったのなら、すぐに俺は行動に移す!
魔人がうなだれている間に討伐するのだ!!
腰に収めなおしていた剣を素早く抜いて、
一気に魔人との距離を詰めて、一太刀で終わらせようとする!!!
が!?
「ま、待てグンテ!!」
そういって、魔人の前にバリティッシュ男爵様が
立ちはだかるのであった!!!
「バリティッシュ男爵様!?」
「俺は・・・俺は・・・こいつを見捨てることなんてできない!!!」
体を張って魔人の前に・・・俺の剣の前に立ちはだかるのであった!!
・・・だから、なんでだよ!!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




