132話目
「・・・大丈夫か?」
そう言って、水を女性騎士に差し出す。
「・・・すまない・・・。」
そう言って、俺から水の入ったコップを受け取るために
体を起き上げるのであった。
「・・・生きている者は半数にも満たないのか・・・。」
そう呟く女騎士に
「あの状況で生きている者がいるのが幸運だったな。」
話を聞いたら、あそこに生きていた盗賊たちは20名ほどであったが、
実際に襲ってきたのは50名ほどいたそうだ。
それを倒しながらなんとか逃げようとしたのだが、
結局逃げ切れることはできずにあそこの場所で
盗賊たちに囲まれてしまったらしい。
この女騎士の仲間たちは12名だということであれば、
全滅していても間違いない状況である。
「・・・そういう通り・・・だな・・・。」
そう言いながらも無念なのだろう小さな手を
グッと握りしめて震えていたいのである。
だが、そのしぐさもすぐに止めて、
「そういえば、貴公たちは一体何者だ?
偶然こんなところを通ったわけではあるまい?」
「うん?そうだな・・・まあ、仕事だ。」
「・・・もしかしてだが・・・お前たち・・・いや!
あなたたちはバリティッシュ男爵様の一行なのか!?」
その言葉に思わず目を見開いてしまう!!
ここで一発で当てられるとは思ってもいなかったのだ!!
「そうなのか!?」
俺の反応を見て、確信したような顔をする女騎士、
そして次の瞬間・・・
何んと俺に抱き着いてきたのである!!
「バリティッシュ男爵様!!!お助けください!!」
泣きそうな悲痛な声を上げる女騎士!
「お、落ち着け!俺はバリティッシュ男爵様に仕えているグンテと言う者だ。」
「え!?あ!?違うのか!?」
抱き着いたままであるが、顔だけをこちらに向けてあげてくる。
「違う!ちなみにバリティッシュ男爵様だが・・・。」
俺が指さす方向にバリティッシュ男爵様はいた。
・・・気絶してるけど・・・
その間抜けな面を見張る女騎士・・・
最初はちょっと嬉しそうな顔をしていたのだが、
その顔はどんどん曇っていく・・・
そして不審そうな目をこちらに向けてくるのだが・・・
「・・・気持ちはわかるが・・・。」
「・・・アレは・・・ちょっと・・・。」
気絶しているからなのか、すでにアレ呼ばわりされている。
あほ面をさらして、よだれと寝ゲロを出しているバリティッシュ男爵様を見ると・・・
まあ、そうなるよな・・・
「・・・チェンジで・・・。」
「いやいや、ここはキャバクラじゃないからな!
バリティッシュ男爵様をチェンジはできないぞ!!」
・・・その気持ちはわかるけど・・・
「・・・ところでどうして俺たちのことを知っていたんだ?
それに助けてくださいって言うのは・・・。」
「!?そうです!いますぐ我が領であるシンガーに来てください!!」
「どうした!?」
あまりの剣幕にただなることが起きていることを察する。
「魔人が・・・。」
「魔人が?」
「魔人が我が街に現れたのです!!!」
「・・・本当か?」
「本当です!!
それで我々は街に留まることなく、すぐに街を出て、
こちらに向かっているとお聞きしたバリティッシュ男爵様に
ご助力いただくために急ぎ向かっていたのです。」
本当に魔人が現れたとは・・・
その言葉を聞いて呆然となってしまう・・・
というか、助けてと言われても・・・
「・・・我々が王から依頼があったのは、
魔人の調査をすることなのだが・・・。」
そう本来は魔人の調査をするだけだった!!
だから、この女性騎士が期待しているような魔人討伐までは
含まれていないのである。
その言葉を聞いた女騎士が絶望的な顔をする!
・・・心がいたい・・・
だが、あのバリティッシュ男爵様がこの話を聞いて了承するとは思えない・・・
ならば、ここは汚れ役を俺が演じるしか・・・
そう思ったところで、
「うわぁ~、最低だな・・・。」
「最低な男ですね!!!」
「あれこそクズだよな。」
「・・・。」
・・・四人からの罵声が俺に飛んでくるのであった・・・
そして・・・
「わし・・・女性の敵はすべて滅するしかないと思うんですよね。」
「「「うん。」」」
妙に息があってるな・・・君たち・・・
そんな冷静に思っている余裕はない!
すでにマリが本気で詠唱を始めているのであった!?
「ま、待て!!しないと言ってないじゃないか!?」
「・・・じゃあ、助けに行くんですね?」
・・・その言葉にうなづく以外の返答があるわけない!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




