131話目
ここまで来ると逃げ出すわけにはいかない・・・
というか・・・
「さあいけ!お前たち!彼女を助けろ!!いいか!絶対に死なせるなよ!!」
鼻息荒く指示をだすバリティッシュ男爵様・・・
いや、お前もいったらどうだ?
と思ってしまうのだが・・・
「スカイ、ポテト、準備はいいか?」
俺がそう声をかけると二人はうなづく。
まずは俺とこの二人で突撃をして周りの盗賊たちを蹴散らして・・・
「まずは先制の魔法を・・・マリ!」
「大丈夫です!すでにゴミどもは捉えていますわ!!」
「・・・ゴミって・・・。」
「寄ってたかって女を襲いかかろうとする男なんて
クズ以外何があるのですか?」
「・・・クズに変わった・・・。」
「害虫駆除は基本です!
この世のすべての女性のために!!!」
「・・・害虫・・・なのか・・・。」
・・・マリはいったい過去になにがあったのだろうか?
間違いなく過去の男で悪いことをしたやつがいたに違いない・・・
そんなことを思っていると、すでに詠唱の体制に入り始めていたマリ。
「闇より出でてその刃にて我が敵を貫け!!・・・闇の刃!!」
その詠唱が終わると同時に盗賊たちの足元にあった影が蠢いたと思ったら、
鋭く影から黒い尖ったものが突き出してくるのである!!!
そして・・・
「ぐわぁぁあああ!!」
「ぐふぃ!!」
「ぐぎぎぎぎぃいぃ!!!」
凄まじい絶叫が辺りに響き渡るのであった・・・
・・・
正直に言っていいか?
ここは・・・地獄か?
地面から突き出てきた黒い刃・・・まるで串のような形状をしているのだが、
それが地面から何本も突き出てきている・・・
その刃が・・・
それぞれの盗賊の股の部分から突き刺さっていき、
頭のてっぺんから突き出ているのである・・・
・・・人間の串刺し・・・
まさにその一言である。
それも一人だけではなく、そこにいた盗賊20名ほどいたのだが、
そのすべての盗賊が股から突き刺されているのである・・・
それが串のせいで人間がプラプラと浮いている・・・
なかなか想像を絶する光景だな・・・
刺さりだし始めは盗賊たち全員が悲鳴に近い声を上げて、
実際にその刃がある程度刺さったら、一瞬で絶命したのであろう。
先ほどまで響いていた声が一斉に止んだのである。
まあ・・・その代わり・・・・
「うぷぅ・・・。」
そう言って先ほどまで俺たちに逃げろと言っていた女性騎士が口元を押さえて
そのまま地面に座りこんでしまうのであった。
他にもいた護衛らしき者たちも座り込んで放心してしまう者、
ガタガタと震えてしまう者が出てしまうのであった・・・・
みんなが一斉に目をそらしている中で、
「ふふふ・・・悪は滅びるのです!!」
嬉々としているマリ・・・
すまないがマリ・・・
俺の目には・・・
お前が悪にしか見えないのだが?
「悪・即・斬!!!」
そう言って胸を張り決めポーズまで取るマリに、
思わずツッコミを入れないわけにはいけなくなってしまって、
「・・・その場合、真っ先に切られるのはマリ・・・お前だ。」
「ええ!?どうしてですか!?
あいつら女性を襲っていたんですよ!?
そんなカスは、即刻抹殺されても仕方がないでしょう!」
「・・・それもそうかもしれないが、
周りの人間を見てから言えよ・・・。」
そう言ってマリに周りを見るように促すのだが・・・
まずはうちのバリティッシュ男爵様が、
あまりの凄惨な光景についに我慢が出来なくなったようで・・・
「ゲロゲロ・・・。」
口から汚物を吐き出したのである。
その光景が目に入ったり、あの臭いが漂い始めたのだがいけなかったのか、
「うぷぅ!!・・・ゲロゲロ・・・。」
あの美人騎士までもが吐き出したのである。
それに引きずられるように次々と生きている人間たちが
吐き出したのである。
その場には、生きている人間が吐いた汚物の臭いととともに
串刺しになった盗賊たちの血の臭い、さらには死体から出された汚物の臭いが
立ち込めるのであった・・・
絶対にこの光景がトラウマになる・・・
そう確信するには十分であった。
「根性なしばっかりっですね!!」
あ、そういう風にとらえちゃったのね・・・マリさん・・・
ちなみに今後、この美しい女性騎士としばらく一緒に行動するのだが、
「・・・目を閉じるとあの光景がよみがえってきて、寝れなかった・・・。」
毎朝そう聞かされることになるのであった・・・
今後、マリの魔法について把握しておかないと
また更なるトラウマが生まれるなと思い、
すぐにでも確認しようと心に決めるのであった・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




