12話目
「・・・なんだこのボロは?これに人が住んでいるとでもいうつもりなのか!?」
「領主様、開拓前は立派な住まいなどあるわけがないですよ。
建物よりもまずは拓けた土地の確保が先ですから。
それからみなが住む住宅に開拓が移っていくのです。
ですから、今は・・・まあ、テントに住むのもおかしくないかと思いますが・・・。」
そう言いながらも、私は自分の目を疑ってしまう。
そこには村というのもおこがましい光景が広がっているのです!?
まずは家なんてもの一切ない!
テントのみ!
っというか、テントと言うのもおこがましくて、
布で天幕を貼っただけの簡易テントだなんて・・・。
それに開拓も全然できていないではないですか!?
畑などないですし!
まだ木を伐りだしている段階ですかね?
「・・・今はどこの段階ですか?」
私は思わずレイに尋ねるのですが、
「え?どこの段階とは?今は、すでに我々はここに定住しているですが・・・。」
・・・分かりました!
こいつリーダー失格!!
何も考えてはいないじゃないですか!!
とりあえず木を切っていけばいいとかって思ってるんでしょうね・・・
そうすれば勝手に畑が出来るとでも?
勝手に自分達が住むことができる建物が出来るとでも?
それに木を切るのはいいですけど、株をそのままにしているって・・・
これを抜いて、整地していかなければいけないんじゃないんですかね?
「レイ殿、この切株はどうされるおつもりですか?」
恐る恐る例に尋ねてみると・・・
「はい?いえ、このままにしますけど・・・。」
「畑を作るのに邪魔になりませんか?」
「え?勝手に腐っていくんじゃないんですか?
数日経てば腐って、畑の栄養になると聞いたんですが?」
・・・誰だ、そんなデタラメを教えた人は?
「・・・そもそも開拓をしたことはあるんですか?
もしくは開拓経験者がいるとか?」
「いいえ、誰も開拓など経験したこともございません。
ただ、王都で知識は得てきております!
こうやって、木を切って、そこに種を蒔けばいいのでしょう!」
そう言って、ドヤ顔をするレイに私は呆れてしまうしか出来ない・・・
・・・ここに村ができることはないな・・・
私は確信するのであった。
・・・しかし、なんでそんな間違いを教えられているのでしょうかね?
しかもそれが間違いだと気づくだけの知識も経験もない人間をリーダーに選ぶなんて・・・
どういった意図かがさっぱりわかりません・・・
まあ・・・いいでしょう!
このくらいの人間が村に来てくれる方が楽でいいですし!
たぶん、こちらが指示したことに何も考えることなく、
二つ返事で受けてくれるタイプだということは分かりましたしね!
もうこれ以上は何も聞きません!
だって、めんどくさい気配しかしないんですもん!!
ということで・・・
「それで、レイ殿。ゴブリンの足跡はどこに?」
「あ、はい。こっちです。」
とりあえずレイに案内をしてもらう。
とっとと目的である討伐を先にすませてしまおう!
そして、有無も言わさず、うちの村に連れて帰って、
こちらの休耕地を任せればいいでしょう!
我が領のためでもありますが、彼らのためになるはずですからね。
っというか、このままほっておくと間違いなく死人がでますからね!!
そんなのもったいない!!・・・おおっと!間違えました!!
尊い命が失われるなんて・・・そんなことが許されることではないでしょう?
断じて許されてはならないのです!!
・・・こんなものでいいですかね?
そんなことを考えていると、ゴブリンの足跡が見つかった場所にたどり着く。
思った以上に、近場までゴブリンが下見に来ていたようで、
10メートルほどでテント?が設置している場所にゴブリンの足跡がある!?
「確かに・・・ゴブリンの足跡ですね。」
そこには子供がつけたような小さな足跡が無数に存在していて、
その足跡は森から出てきて、ここで立ち止まり、また森へと戻ていたのが分かる・・・
さてとどうしましょうかね・・・
まだ、日も高いですし・・・
「じゃあ・・・
領主様、行きましょう!」
「え?どこへ?」
「森の中へですよ。ゴブリン討伐です。」
「分かった。」
すでに私に言った言葉に何の疑問を持たない領主。
ああ・・・なんて楽なんだ・・・
だけど、そんな簡単には話が進まないのは世の常だろう・・・
「森の中へ入られるのですか!?」
驚いた声を上げるレイ。
君の言いたいことは分かる!
日が高いとはいえ、すでに昼は過ぎている。
そうなると森に入って少しすれば夜になってしまうと心配してくれているのでしょう・・・
この場合、君が言うことが正論なのですが、こちらとしては後ろめたいこともあって、
ここでは中々実行できないのです・・・
だから、我々は森の中へと入らなければならないのですよ!!
「はい、当然です。村で戦えば犠牲が出ます。
それにまだ日も高いですから、これが日が暮れてしまっていたら、
さすがに森の中へと入りませんよ。」
「で、ですが・・・。」
「ゴブリンは夜行性です。今は、寝ている時間帯なので今こそ狙うべきでしょう!」
「・・・。」
「大丈夫ですよ。レイ殿は村で警備をしておいてください。
行くのは私と領主様2名です。」
「何だって!?」「なんですと!?」
・・・おおっと領主まで驚くか・・・
レイが余計なことを言わなければ、今頃何ごともなく森の中へと行けていたのに・・・
余計なことを言いやがって!!・・・っと、内心で毒を吐きつつ、
「楽して、討伐するのがいいと思いませんか?」
「そりゃ~、楽な方がいいだろうな。」
「ゴブリンはこの時間寝てますけど。」
「・・・なるほど・・・寝込みを襲うのか・・・。」
そう言って、何かを考え出す領主。
結論はどうせ、討伐しに行くという結論なんだから
そんな考える必要なんかないだろうに・・・・
誰だろうな・・・
どんな時でも考えているふりをした方がいいってこのバカに吹き込んだのは?
それとも自分で見つけて、やっているだけでしょうかね?
「行くぞ!今のうちに討伐してしまおう。」
「かしこまりました。」
「し、しかし!?」
まだ何かを言おうとするレイに対して、私は右手を差し出して、言葉を制す。
「夕方までには戻ります。それでは。行きましょう領主様。」
「おう!」
我々はこうして森の中へと入って行くのであった・・・。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




