128話目
「グンテ!さあ、行こうじゃないか!」
バリティッシュ男爵の声に呼応するように、
馬に鞭を入れて馬車が進みだしたのであった。
「拾い食いには気をつけてください!」
「・・・子供じゃないわ!!」
見送りのサーター様に言われた言葉に、
ちょっと怒りながら返事を返すバリティッシュ男爵。
そんなやり取りもすぐに終わる。
見送りのサーター様が見えなくなったところで
「はぁ~、やっと解放された!!」
満面の笑みで場所の中で手足を広げてくつろぎだすバリティッシュ男爵。
そして、
「なあ、マリ。」
「はい?」
「俺の横に座ってもいいんだぞ?」
・・・サーター様の目がなくなったとたんに、
マリを口説き始めるのであった・・・。
「領主様の横は、恐れ多くて座れません。」
「何を言う!これから俺たちはしばらく一緒に行動しなくてはならない!
だったら、お互いの親交を深めるためにもだな、俺の横に座って、
ゆっくりと将来について語り合おうではないか!!」
「・・・わしではなくて・・・ジョセフィーヌ王女様やアイリス様、それと・・・
アーサー様ではないのですか将来を語り合う相手は?」
「ふごぉ!?」
その言葉を聞いて、吹き出すバリティッシュ男爵。
それだけにはとどまらず、ガタガタと震えだす始末である。
・・・アーサーと何かあったのだろうか・・・
その言葉を言えば、バリティッシュ男爵の口説きが止まることを確信していたのだろう、
マリは喋らなくなったバリティッシュ男爵に安堵して、また外を見だしたのであった。
こんな風に自分の仕える相手に対して、
難なく袖にすることが出来るマリなのに
なぜかサーター様には怯えつつも
断ることもなく、受け流すことがないことに疑問を思う。
「マリ。」
「はい?何ですかスカイさん?」
「いや・・・、どうしてサーター様に従っているんだと思ってな。」
「?どういうことですか?」
「今みたいにバリティッシュ男爵も軽く受け流すのに対して、
サーター様には言われたことを受け流すことなく、
言われたことをしっかりとこなすだろう。」
「・・・はぁ・・・。」
何を言っているんだ?というような顔をでこちらを見てくるマリに、
「・・・何か弱みでも握られているのか?」
「弱みって・・・。」
苦笑しながら答えるマリだったが、
「弱みは何も握られていないですよ。」
「だったら、なんであんなに素直に従っているんだ?」
「わし・・・。」
「私?」
「・・・好きなんです・・・。」
その声は小さくて聞きそびれそうになったのだが、
なんとか俺の耳に届いた!?
・・・・好き?
今、サーターのことが好きって言ったのか!?
あんなサドが好きだと!?
どういうことだ!?
「サーターがか!?」
そんな叫び気味に尋ねる俺に対して、
「・・・ええ・・・。」
乙女のようにもじもじしながら、顔を真っ赤にして答えるマリ。
「知っているのかあの性格を!?」
「・・・ええ・・・。」
「笑顔で人を傷つけるやつだぞ!?」
「・・・ええ・・・。」
「性格何てサド以外何もない奴だぞ!?」
「・・・ええ・・・。」
「笑顔で暗殺者を撲殺するようなやつだぞ!?」
「・・・ええ・・・。」
・・・こ、これは本気だな・・・
恋は盲目とはいうものだが、
まさにピッタリな状況だな・・・
断言できるほどにマリがサーターに恋していることを
確信するには十分な反応をするマリ。
「そ、そうなのか・・・どこが・・・いいんだ?」
ハッキリと言って、あの性格の人間がモテるとはとてもとても思えない!!
ちょっと・・・無理だな・・・
そんなことを思っていると、顔を真っ赤にしてモジモジしながらマリは、
「・・・顔が・・・。」
「ああ・・・顔か・・・確かに顔はいいな・・・ほかにはないのか?」
「いえ、顔だけです。」
力強く断言するマリ。
っていうか、顔でサーターが好きになったのか!?
「いや、あの性格だぞ!?」
「はい・・・。ですが、あの顔ならすべて受け入れれます。」
そう力強く断言するマリ・・・
「あれだけいじめのような仕打ちを受けてもか?」
「はい!」
・・・顔か・・・
こうまでハッキリと答えられるといっそ清々しいな・・・
優しい人とか言う女もいるが、
そんなものよりも絶対に大事なのは顔だからな・・・
何度・・・それで・・・悔し涙をのんだことか!!!
・・・グスン・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




