123話目
「・・・いやだぁ~!!!!」
情けない声を上げて、サーターの足にしがみ付くバリティッシュ男爵様に対して、
足から冷たく払うサーター・・・
「これも苦渋の決断です。」
「お前!!その口元はなんだ!!ニヤニヤしすぎだろう!!
・・・たしかに・・・
もう嬉しくて嬉しくて仕方がないような笑みを浮かべている。
「さあ、覚悟を決めてください。
王様からの命令書が届いているのですよ。
行くしかないのですから。」
そう言って、サーターはバリティッシュ男爵様に手紙を突き付けるのだが、
目を瞑って、
「いいや!俺は見てない!!見てないから知らないんだ!!」
・・・子供か?
そんなへ理屈が本気で通ると思っているのだろうか・・・
案の定、バリティッシュ男爵様が指をパチンと鳴らすと、
屈強な3バカトリオがバリティッシュ男爵様を羽交い絞めして、
無理やりに目を開かせる。
「ぶ、無礼者!!主人に向かって手を出すとはお前ら!!!」
そう喚き散らすが、子供と大人程の腕力差があるため
ビクともせずに、結局疲れたようでぐったりとしながら、
突き付けられた手紙を読む羽目になったのである。
・・・最初からそうしていれば・・・
「・・・そうだ!!」
何かを思いついたかのようにサーターの方を見るバリティッシュ男爵様だが、
「無理ですからね。
この手紙には領主様自ら行くことが記載させれておりますから。」
「そこはうまく変装をしてだな・・・。」
「無理でしょう。
下の下と比べると上の上では無理でございます。」
「・・・そうか・・・。」
・・・普通に認めているが、今、サーターに
さんざんなことを言われたことに気づいているのだろうか?
容姿についてのダメ出しを・・・あ!!
もしかして、自分が上の上と言われたと思っているのだろうか?
ちょっとさっきまでの様子から急に上機嫌になったし、
きっとそうに違いない!!
・・・意図して主語を言わなかったな・・・
「・・・それで誰が俺と一緒に来るんだ?」
ふてくされたように言うバリティッシュ男爵様に対して、
「グンテとこの3バカ・・・近衛兵3名・・・。」
・・・絶対に3バカっていう言葉を隠すつもりはなかったな、
言い切ってから言葉を訂正していたからな、しかも冷静に・・・
俺は3バカの方に視線を向けると、すがすがしいほど苦々しい顔を浮かべて
サーターをにらんでいるのである。
それを涼しい顔で気にもしていない様子で話をするサーター・・・
「そんなむさくるしい連中に同行されるなんて嫌だ!!」
そう叫ぶと、
「ならば・・・ジョセフィーヌ王女様にお願いしますか?」
その言葉に一気に顔を凍り付く。
今までのブーブー言っていた抗議がいきなりやむ。
・・・そんない嫌なのか?
仮にも王女様なのに・・・
そう言いながら自分に置き換えた時には・・・
・・・いやだな・・・
そう思いなおして、バリティッシュ男爵様の態度に納得がいく。
「・・・まあ、残念ながら我が王国外に王女様を連れ出すなどということは
許されることはないのですが。」
そう告げると嬉しそうな顔を浮かべて、
「それは残念だ!!いやぁ~、残念!本当に残念だ!!」
・・・何だろうあの三門芝居は・・・
「まあ、むさくるしいというのはわかりますので、
一人魔術師をつけようと思います。」
そう言って、サーターが合図を送ると扉からマリが出てくるのであった。
その容姿を見たバリティッシュ男爵様は・・・
すぐに服を正すと席に優雅に座ってから、
「彼女が私の同行者に?」
「・・・ええ・・・。」
一瞬での変わり身に冷ややかな目を浮かべるサーター。
そんな視線を気づいておらず、
舐めるように下から上まで見るバリティッシュ男爵様。
・・・こいつは・・・・
思わずあきれたため息が漏れるのだが、
3バカも同じような態度をしており、
「いいな。」
「・・・いい・・・。」
「・・・。」
・・・この旅の悩みが増えるな・・・
そしてやっと冷ややかな視線に気づいたのだろう、
「お、おほん!それであとはサーターがついてくるというのだな?」
「いいえ、私はこちらに残ります。」
「えええ!?」
思わず目を見開くバリティッシュ男爵様。
彼の中では、サーターは常に一緒だと思っていたのだろうな・・・。
「じゃ、じゃあ、この者たちだけで行くのか!?」
「だから、そう言っているじゃないですか。」
サーターの言葉を聞いて、
愕然とするバリティッシュ男爵様であった・・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




