119話目
「・・・ここは・・・つぅう!!」
体を動かそうとすると手足の付け根の部分に
鋭い痛みが走り出すのだ!!
とりあえず首を動かしても痛みがないため
首だけを動かして現状を確認するのだが・・・
「どうして俺はベッドで横になっているんだ?」
俺はベッドに横たわっているのだが、
そのベッドはいつも泊っている宿のベッドとは異なるベッドである。
・・・普通はこういう場合は、立派なベッドのはずなのでは?
今、横になっているのは宿のベッドよりも質の悪いベッドだ。
辺りを見回すのだが、そこには・・・
「・・・掘っ立て小屋なのか?」
部屋には何もなく、木でできている壁があるのだが、
そこには隙間が見えており、外の景色がチラリと見えるのだ。
自分の首が動かせる範囲では、それ以上の情報は得られそうになかったのだが・・・
“キィィィィ”
そんな音が足元の方から音が聞こえてきたのである。
扉が開く音なのはわかるのだが、
体が動かせないため何が起きているのかが把握できない。
さらに警戒のため体を動かそうとしても
痛みのために体を動かすことが出来ないのである。
「意識が戻りましたか?」
足元の方から声が聞こえてくると、
その声には覚えがあった。
「・・・執事か?」
「はい、ちなみにではございますが、
私の名前はサーターでございます。」
「・・・サーター・・・か・・・それでこれはどういった状況だ?
俺は・・・治療されているんだな?」
首が動かせる範囲で体を見ると包帯らしきモノが体にまかれていた。
「ええ、スカイさんは重傷を負われてましたので治療をさせていただきました。」
「・・・負わされたんだがな・・・。」
体が動かない以上、覚悟を決めていた。
俺は、暗殺を謀ったのだ。
それでも尚、活かされているとすれば、
俺の持つ情報を聞き出すためだろう。
これから拷問にあうのか・・・
だが・・・それでも情報を漏らすわけにはいかない・・・
覚悟を決めつつ、サーターに対して、
「なぜ治療をした?」
答えがわかっているが、自然と尋ねてしまった。
すると意外な・・・本当に意外な言葉がサーターより返ってくるのである。
「それは当然価値があるからですよ。」
「・・・価値か・・・。」
「ええ、我が村・・・いえ、我が町で領主様の近衛兵として
働いていただきたいと思っておりますから。」
「・・・はぁ?」
言っている意味が理解できなかった。
「耳が遠いいのですか?」
「違う!聞こえてるよ!!だが、聞こえた言葉が想像外だったんだよ!!」
「そうですか?」
「そうだろう!?俺たちは、バリティッシュ男爵を暗殺しようとしていたんだぞ!?」
「ですが、死んでおりませんよ・・・残念ながら・・・本当に残念ながら・・・。」
「・・・2度も言わなくても・・・。」
「・・・本当に残念です・・・。」
「いや、また言ったし・・・。」
本当に悔しそうな顔をするサーターに対して、
どうやら本気で残念だったのがひしひしと伝わってくる。
「暗殺には失敗したのですから、王都には帰れません。
ならば、野に下らねばなりませんが、
それなら我が領でその技量を活かしてほしいのですよ。」
「・・・どれだけ豪胆なんだ・・・。」
俺はサーターの言うことに思わず唸ってしまう。
サーターが言うことは確かで、暗殺に失敗したのだから、
今度は俺が狙われる番になっていた。
その状況で王都に戻るなどそんな死にに行くようなことはできない。
ならば・・・
「信用するのか?もしかしたらまた暗殺するかもしれないのだぞ?」
「・・・信用ですか?
正直に言えば、信用はしておりません。
むしろ殺してもらったほうがお灸を添えられていいかと思っておりますが・・・。」
「いやいや!死んだらお灸を添えるなんてことにはならないだろう!?」
「バカは生き返れないんでしたかね?」
「いやいや!“バカは”じゃない!!
普通に人間は生き返れないというか、生き物すべて死んだら
生き返ることはできないからな!!」
「・・・それならお灸を添えれないじゃないですか。」
「いやいや!お灸を添えるのが死ぬことしかないわけがないだろう!?
他にもお灸を添える方法ならあるだろうに!?」
「・・・ありますか?」
「あるから!!!
殺すことしかないわけないだろう!?
だいたい死んでしまったら、お灸を添えられた効果が得られないだろうに!?」
「ふぅ~む・・・生きていてことが前提でお灸を添えないといけないんですか・・・。」
そういって、考え込むサーターに、
「そんなに真剣に悩むことか!?」
「ちょっと領主様は・・・都合のいい記憶喪・・・
ええっとですね!たまに記憶をなくされることがあって、
お灸を添えてもその部分だけ記憶をなくす可能性があるので・・・。」
「今、都合のいい記憶喪失って言ったな!!どんな記憶喪失だよ!?」
サーターの言葉に目を見開いて驚くのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




